掲題の今朝の朝日社説。
かなり説得的。
ご参考まで
北朝鮮がまたも「軍事偵察衛星」の打ち上げに踏み切った。失敗に終わったが、弾道ミサイル技術の使用を禁じた国連安全保障理事会決議に違反し、東アジアの平和と安定を守る努力にも背を向ける暴挙である。これ以上の打ち上げの中止を強く求める。
打ち上げは日中韓の首脳会談が約4年半ぶりに開かれた27日の未明に予告された。
北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる日韓と中国の温度差をあぶり出し、3カ国の接近を牽制(けんせい)する意図があったのではとの疑念がぬぐえない。
首脳会談では朝鮮半島の非核化問題が議論されたが、北朝鮮はこれが気に入らなかったようだ。「『朝鮮半島の完全な非核化』はすでに死滅した」とする談話を発表。深夜に打ち上げを決行した。
北朝鮮は、米国などの軍事行動を監視し、準備態勢を強化するために不可欠だと主張して、偵察衛星の開発を正当化している。昨年11月に初めて打ち上げを成功させたとし、今年中にさらに3基を打ち上げるという。
偵察衛星として実際に機能しているかについては懐疑的な見方も根強い。だが、北朝鮮は核・ミサイル開発でも試行錯誤を重ねて性能を高めてきた経緯がある。最近はロシアの技術支援を受けているとされ、軽視は禁物だ。
北朝鮮は米韓などへの強硬姿勢を続ける一方、ロシアや中国との関係強化に動いている。米ロ、米中の対立を利用し、中ロを後ろ盾にして日米韓に対抗する構図をつくりたいのだろう。
留意すべきは、ロシアと中国では北朝鮮への向き合い方が異なることだ。
ウクライナへの侵略が長期化するロシアは、武器や弾薬の提供などを受ける見返りに、安保理の制裁などから北朝鮮を守る構えだ。
一方の中国は、ロシアと北朝鮮の過度の接近を警戒している模様だ。日米韓の連携強化などを「(陣営対立をあおる)小グループ」と批判する手前、「中ロ朝」の枠組みで見られることを嫌がっているともいわれる。
米ロの核軍縮が停滞し、中国の核増強も進む中で、冷戦さながらのブロック化が進む事態は、朝鮮半島のみならず世界全体の重大なリスクになりかねない。北朝鮮の思惑に振り回されてこうした構図が固定化しないよう、関係国が緊張緩和に向けていかに状況を動かせるかが問われる。
朝鮮半島と北東アジアの平和や安定の維持が「共通の責任」であることを日韓首脳との会談で確認した中国の責任は、とりわけ重い。