政府の基金見直し 無駄の温床一掃すべきだ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 財政の無駄をなくすには、まだ踏み込み不足ではないか。

 

 政府は、複数年度にまたがる事業を推進するために設けた基金の見直し策をまとめた。多額の国費をつぎ込んだが、放置されているケースが目に付き、昨年秋に「総点検」を宣言していた。

 

 内閣支持率が低迷する中、改革姿勢をアピールする狙いがあるのだろう。だが152基金が実施する全200事業のうち、廃止するのは15事業にとどまった。

 

 管理に当たる独立行政法人などが国に返す資金は5400億円強となったが、点検前にめどが立っていた分を除くと、2300億円余りに過ぎない。16兆円超の残高全体のごく一部だ。

 

 一例が、2兆円超で中小企業の業態転換を支援してきた基金の存続が決まったことである。有識者の意見を聞く政府の会議では「安易な支給が目立つ」と廃止を求める声が相次いでいた。

 半導体生産や脱炭素を進める基金もほぼそのまま残ることになった。兆円単位の巨額資金を官主導で効率的に活用できるのかとの疑問が出ている。毎年度審議される予算と異なり、国会などによる監視の目が届きにくいためだ。

 

 政府は今回、設置から原則10年以内に終了させる方針を示した。2006年に閣議決定していたが、形骸化し、3割以上が期限を設けていなかった。成果が出なくても温存されてきたのが実態だ。ルーズな対応にあきれるばかりだ。

 

 有識者ら第三者の意見を反映させ、国会のチェックも強化するなど、実効性ある監視体制を整えることが急務だ。不断の見直しで廃止や縮小をさらに進め、無駄の温床を一掃しなければならない。