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19日の金融・証券市場は中東情勢の緊迫化で一気に安全資産需要が膨らみ、日本株が急落して日経平均株価は終値で1000円を超す値下がりとなった。リスクオフで債券が買われ、円も上昇している。
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イスラエル国旗(テルアビブ市内)
Photographer: Kobi Wolf/Bloomberg
台湾積体電路製造(TSMC)の半導体市場見通しの引き下げと米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派寄りの発言を受けて下落して始まった日本株は、中東情勢がエスカレートしたことで下げが加速した。地政学リスクの悪化で米国の長期金利が時間外取引で急低下、日本国債も買い戻しが優勢になった。為替相場では円が対ドルで買われた。
米金融政策や中東情勢、日本株をけん引していた半導体市場の先行きという内外のリスク要因が一気に顕在化した。日本銀行の金融政策決定会合を来週に控え原油価格も上昇しており、各市場価格の大きな変動は日銀の政策判断に影響を与え得る。日本企業の決算も来週から始まることで、相場の変動要因が重なる。
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SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは日本株の急落について、日本企業のファンダメンタルズよりも地政学リスクやTSMCの見通し引き下げが嫌気されており、投資家心理の変化による影響が大きいと電話取材で指摘した。報復の連鎖につながれば瞬間的な下落が続くため、投資家心理的にも良くない展開だと見ている。
リスクオフの動きは暗号資産(仮想通貨)にも波及し、ビットコインは一時6%超下落、イーサやソラナに加え、ミームコインとして人気のドージコインも値下がりした。一方、相対的にリスクが低いとされる資産の需要が高まり、金相場は急伸し最高値に迫った。
19日の金融・証券市場の動き-午後3時 |
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株式
東京株式相場は急落し、日経平均終値の下落率は約1年半ぶりの大きさとなった。イスラエルがイランに対しミサイル攻撃を実施したとの報道を受け、投資家の投げ売りが加速した。
中東情勢の不安定化に対する懸念や半導体受託生産大手のTSMCが前日に今年の半導体市場の成長見通しを引き下げたほか、FRB高官によるタカ派寄りの発言で利下げ観測が低下したことなどを受け、市場ではリスク回避ムード一色となった。
日経平均は最高値を付けた3月22日終値からの下落率が9%を超え、調整相場入りを示す10%に近づいている。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「イランが報復する可能性もあり、泥沼化する懸念がある」と指摘した。被害状況がまだはっきりせず、展望ははっきりしないが、「リスクを取っていた人はポジションを落とすだろう。イスラエル内部の政権交代などがないと終わらないのではないか」と話していた。
レーザーテック、東京エレクトロン、ディスコといった半導体関連株の下落が目立った。トヨタ自動車を含む自動車株も安い。半面、中東情勢の緊迫化で運賃が上昇するとの思惑から日本郵船をはじめとする海運株、原油高からINPEXといった鉱業株は値上がりした。
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債券
債券相場は上昇。中東情勢の緊迫化を受けて米国債が時間外取引で急上昇し、日本国債にも買い戻し圧力が強まった。金融市場でリスク回避の動きが広がり、安全資産としての債券需要が高まった。
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、リスク回避に伴う金利低下は持続しないとみているが、イスラエルとイランの報復の応報がエスカレートした場合は次元の違う話になるため、一段と金利が低下するリスクもあり、「まさに中東情勢次第で予想できない」と言う。
新発国債利回り(午後3時時点)
先物 | 2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
144円67銭 | 0.255% | 0.450% | 0.830% | 1.590% | 1.875% | 2.215% | |
前日比 | 26銭高 | -1.5bp | -2.0bp | -3.5bp | -3.5bp | -3.5bp | -2.5bp |
為替
東京外国為替市場の円相場は、リスク回避の円買い一巡後に上げ幅を縮小。対ドルで一時前日比0.7%高の153円59銭を付けた後は、154円台前半まで戻している。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、中東での対立エスカレートへの懸念から、リスク回避の株下落、金利低下、ドル買い・円買いになったと指摘。「円売りのポジションが膨らんでいたこともあり、より米金利低下に反応し、円は対ドルで上昇した」と言う。
ただ、各施設には関係がなかったことへの安心感でドルの下げが一巡すると、「ファンダメンタルズ的には利下げの遠のくドルの先高観から、ドルを押し目で買う動きが出やすい」と述べた。
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