【米国市況】S&P500が連日で最高値、ドル3月来の大幅安-151円台 | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アセモグルら)

掲題の今朝のブルーンバーグ記事。
ご参考まで。
 
Rita Nazareth

  • FOMC、2024年の利下げは3回という従来予想を据え置き

  • FRBに強気相場の邪魔するつもりない-クリス・ザカレリ氏

20日の米株式相場は3日続伸。S&P500種株価指数は5200を上回り、連日で最高値を更新した。連邦公開市場委員会(FOMC)の政策発表後に買いが優勢となり、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言を受けて上値を伸ばした。

株式 終値 前営業日比 変化率
S&P500種株価指数 5224.62 46.11 0.89%
ダウ工業株30種平均 39512.13 401.37 1.03%
ナスダック総合指数 16369.41 202.62 1.25%

 

   FOMCは2024年の利下げについて、0.25ポイントを3回という従来予想を据え置いた。過去数十年で最も積極的な利上げサイクルの終了で米企業の利益がさらに押し上げられるとの観測が広がり、株式相場はほぼ全面高となった。小型株など今年に入って出遅れていた銘柄も買われた。

FOMC、今年予想する利下げ回数3回で維持-2025年予想は減少

 

  パウエル議長は、物価が下がってきている証拠を当局者はもっと見たいと強調する一方で、「今年のある時点で」緩和を開始するのが適切になるだろうとも述べた。

 

  インディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザカレリ最高投資責任者(CIO)は「今回の会見は総括すれば『ニュースがないのが良いニュースだ』という印象であり、市場には引き続き上昇への青信号がついている」と指摘。「今の米金融当局に強気相場の邪魔をするつもりはないようだ」と語った。

 

  一方でプリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は「この経済予測サマリーは、国内総生産(GDP)成長率がトレンドを上回り、インフレ率が目標に近づく前であっても利下げに踏み切るリスクを米金融当局が覚悟していることを示唆している。これは危険な道であることを歴史は示している」と語った。

国債

  米国債市場では短期債が大きく上昇(利回りは低下)。FOMCで年内3回の利下げ予測が据え置かれたため、根強いインフレを背景に当局が金融緩和策を見直すのではないかとの事前の懸念が後退した。

国債 直近値 前営業日比(BP) 変化率
米30年債利回り 4.45% 1.3 0.29%
米10年債利回り 4.27% -1.8 -0.41%
米2年債利回り 4.60% -7.9 -1.68%
    米東部時間 16時44分

 

  ドットプロット(金利予測分布図)では、2024年末の金利予測中央値は4.625%と、昨年12月の予測と変わらなかった。クレジットサイツの米投資適格債・マクロ戦略責任者、ザッカリー・グリフィス氏は「2024年の中央値に変更がなく、市場が想定していたよりもハト派的な印象だ」と語った。

Traders Versus Fed's Latest Dot Plot | Markets price slightly more cuts than the 75 basis points in Fed's projections

 

 

外為

  外国為替市場ではドルが下落。ブルームバーグ・ドル指数は3月初旬以来の大幅安となった。FOMC政策決定とパウエル議長発言が響いた。

為替 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1236.13 -4.50 -0.36%
ドル/円 ¥151.32 ¥0.46 0.30%
ユーロ/ドル $1.0920 $0.0054 0.50%
    米東部時間 16時45分

 

  円相場はFOMC前に1ドル=151円60銭を挟んでもみ合いとなっていたが、パウエル議長の会見中には150円73銭まで戻す場面もあった。日銀が年内に追加利上げを迫られる可能性があるとの日経新聞の報道も意識された。  

 

Dollar Falls After Fed Policy Decsion, Powell Comments

 

 

原油

  ニューヨーク原油先物相場は反落。前日に終値ベースで昨年10月以来の高値を付けていたが、上昇の勢いが鈍化する格好となった。

 

  原油は最近の上昇で、買われ過ぎの領域に押し上げられ、アルゴリズム取引ではロングポジションが最大限に達していた。TDセキュリティーズの商品アナリスト、ダニエル・ガリ氏は、自動取引での買いという追い風が弱まる中、原油のモメンタムは下方向に転じる可能性があると指摘した。

 

  一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間統計では、ガソリン在庫の減少が示された。ロシアの一部製油所が操業停止に追い込まれていることなどが背景にある。

Oil Falls After Rallying to October Highs | WTI fell below $82 after trading in overbought territory

 

 

 

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)4月限は前日比1.79ドル(2.1%)安い1バレル=81.68ドルで終了。中心限月の5月限は81.27ドルで終えた。ロンドンICEの北海ブレント5月限は1.43ドル下落の85.95ドル。

  金スポット相場が上昇。FOMC政策発表後に買いが膨らんだ。FOMCは年内の利下げについて0.25ポイントを3回という従来予想を据え置き、パウエルFRB議長は会合後の記者会見で「今年中に」緩和を始めるのが適切になるだろうと述べた。

Gold Gains After Fed Keeps Key Rate Unchanged | Easing policy is expected to boost bullion prices

 

 

 

  サクソバンクの商品戦略責任者、オレ・ハンセン氏はFOMCの決定について、金にとって「強材料」だと指摘。「市場はドット・プロットで2回の利下げしか示されないのではないかと警戒していた」と述べた。

  ニューヨーク時間午後3時1分現在、金スポット価格は前日比23.65ドル(1.1%)上げて1オンス=2181.24ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限はFOMC政策決定前に、0.1%高の2182.40ドルで終了した。

 

原題:S&P 500 Closes at Historic 5,200 Mark After Fed: Markets Wrap

Short-End Bonds Rally as Fed Reassures Market of Cuts in 2024

Dollar Slides After Fed Decision, Powell Remarks: Inside G-10

Crude Oil Rally Loses Steam as Technicals Signal Pullback