掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
小出しの対応を続けていては、政治の信頼が損なわれるばかりだ。事の重大性を分かっていないのではないか。 派閥の裏金事件を巡り、自民党がようやく衆院で政治倫理審査会の開催に応じることとなった。だが、出席者を最小限にとどめようとの消極姿勢が目に余る。
関与した衆院議員は51人に上る。しかし、自民が当初出席を伝えたのは、安倍派座長だった塩谷立元文部科学相と二階派事務総長の武田良太元総務相だけだ。
野党が納得せず、安倍派の西村康稔前経済産業相ら事務総長経験者3人を追加した。それでも5人に過ぎない。
党執行部が及び腰の上、両派幹部も逃げ回っているようにしか見えなかった。岸田文雄首相は「説明責任を尽くすよう促す」と国会で答弁していたが、指導力を発揮した様子はうかがえない。
政倫審は、議員が自ら疑惑を解明し、その責任を明らかにする場だ。本来、51人全員が出席して説明するのが筋である。
派閥幹部は組織的な裏金作りの実態を明らかにする責任がある。何に使われたかは、個々の議員に聞かなければ分からない。
とりわけ問題なのが、真相解明の鍵を握る幹部が含まれていないことだ。現職で政治資金収支報告書への不記載額が最も多かった二階俊博元幹事長と、3番目に多い萩生田光一前政調会長である。
萩生田氏は安倍派「5人衆」の一人で、「出席の明確な基準が公表され対象になれば、拒むものではない」と語っていた。派閥の事務を仕切る事務総長を務めたかどうかで線引きしたと言われるが、二階氏や萩生田氏を外すための理屈だとすれば、解明に後ろ向きと受け取られても仕方あるまい。
疑念払拭(ふっしょく)に努めるなら、国民に見える形での開催が不可欠だ。政倫審は原則非公開とはいえ、本人の了解があれば公開は可能で、先例もある。西村氏は「全て正直に話をしたい」と語っていた。そうであるならば、公開の場で包み隠さず説明すべきである。
少人数、非公開の形で幕引きすることは許されない。新年度予算案を巡る駆け引き材料とするのではなく、野党は全議員の出席を求め続けるべきだ。