掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
トヨタ自動車の傘下企業で、車の品質を揺るがす不正が相次いでいる。グループ統治のあり方が問われる事態だ。経営陣は真摯(しんし)に反省する必要がある。
全株式を保有するダイハツ工業では衝突試験などをめぐる不正が計64車種で発覚した。
源流企業である豊田自動織機はフォークリフト用エンジンのデータ改ざんに加え、自動車用でも出力試験の結果を操作していた。
2022年には、子会社の日野自動車でエンジンの排出ガス試験のデータ改ざんを繰り返していたことが表面化している。
中核企業で同様のケースが次々と明らかになっている。グループ全体の問題と捉えるべきだ。
深刻なのは不正の多くが、国が定める認証試験で行われていたことだ。安全性や環境性能が基準を満たしているか、事前に審査する制度である。
国土交通省はトヨタ系3社に対し、特に悪質な不正があった車種やエンジンの「型式指定」を取り消す行政処分を出した。過去に例のない厳しい処分だ。
車にとって最も重要な安全性や環境面への対応をないがしろにする行為だ。ユーザーの信頼を裏切った責任は極めて重い。
トヨタ自動車の豊田章男会長は記者会見で傘下企業の不正について謝罪した。
「責任者としてグループの変革をリードする」と語ったものの、具体的な対策はほとんど示されなかった。
3社の調査報告書には共通点がある。開発スケジュールなど経営陣の方針が優先され、それを守るために現場が法令順守の意識を失っていった。
グループの昨年の世界販売台数は過去最高を更新し、4年連続で世界一となった。
こうした拡大路線やグループの肥大化がゆがみを生み、各社を追い詰めた恐れはないか。不正が横行した原因を徹底して究明することが求められる。
傘下企業任せの対応は許されない。トヨタを含むグループ全体が立ち止まって足元を見つめ直さなければ、信頼回復は望めない。