掲題の昨日の東京新聞社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求を巡り、金融庁がSOMPOホールディングスと傘下の損害保険ジャパンに保険業法による業務改善命令を出した。これを受け、SOMPOの桜田謙悟会長兼最高経営責任者(CEO)が3月末に現在の役職から退くと表明した。
不正問題への対応を誤り、保険業界への信頼を失墜させた責任は重い。退任は当然だ。強い影響力を持つ桜田氏の退任を機に、SOMPOグループは企業文化の全面的な刷新を図らねばならない。
損保ジャパンは、内部告発で不正が表面化したビッグモーターとの取引を2022年6月に停止したが、翌7月に取引再開を決めた。親会社のSOMPOは同年8月にビッグモーターの不正を把握したが、事実上対応策を講じることなく取引再開を黙認した。
ビッグモーターは、預かった車にわざと傷を付け、損保に修理代金を水増し請求するという不正に手を染めていた。ここまで悪質な不正を行った企業との取引を続けたり黙認したりした順法意識の欠如ぶりには言葉を失う。
損保ジャパンが取引関係を続けたのは、上客であったビッグモーターから得る利益を優先したからにほかならない。加えて、金融庁は「都合の悪い報告が親会社や経営陣に上がらない企業文化がある」とも指摘した。
問題ある企業文化を根底から改めるには、経営陣の入れ替えしかない。だが桜田氏の後任のCEOは奥村幹夫現SOMPO社長だ。
桜田氏の下で経営に深く関わった人物の中から次期トップを選ぶ形で人事刷新には程遠い。経営の出直しには若手を抜てきしたり社外から人材を招くなど思い切った人事に踏み切ることが必要だ。
今回の不正により自動車保険に対する信頼は大きく傷ついた。信頼回復に向けて指導的役割を果たすのは金融庁の義務でもある。
SOMPOと損保ジャパンから提出される業務改善計画を精査して、自主的な改善が見込めないと判断した場合には、業務停止命令などの厳しい処分もためらうべきではない。