掲題の今朝の朝日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
能登半島地震に羽田空港での航空機衝突事故と、岸田政権の危機管理が問われる年明けとなった。
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑で失墜した、政治への信頼回復も喫緊の課題だ。震災対応にも、党の体質の一新にも、「先頭に立つ」と言う岸田首相には、その言葉にたがわぬ結果を示す責務がある。
時の首相が伊勢神宮参拝後に行う恒例の年頭記者会見が、今年は首相官邸で開かれた。能登地震への対応を優先し、参拝を延期したためだ。
発生以来、連日、記者団に政府の対応などを説明してきたが、きのうの会見では、「令和に入って最大級の災害」「国難」といった表現を使い、「被災者に寄り添って努力する」と語った。
振り返れば、前任者の菅義偉前首相は、新型コロナ拡大への対応で国民の信を失い、退陣を余儀なくされた。危機に当たって、政治指導者が迅速、的確に情報を発信し、国民に安全・安心をもたらすことの重要性を改めて確認したい。首相には政府の総力をあげた支援と丁寧でわかりやすい説明を求める。
裏金問題が招いた政治の危機への対応についても、首相は「最大かつ最優先の課題」との認識を示し、党に総裁直属の機関として、執行部や若手議員に、外部の有識者も加えた政治刷新本部(仮称)を来週立ち上げると表明した。
検討事項としては、政治資金の透明性の拡大と、派閥のあり方に関するルールづくりをあげた。そのうえで、党としてまずできることと、政治資金規正法などの法改正が必要なことの、2段階に分けて進める考えも明らかにした。
ザル法と言われる規正法を抜本的に見直し、国民が政治資金の流れを監視できるようにするという法の趣旨を貫徹できるかが問われる。
首相が国民の疑念として「政策を研鑽(けんさん)し、若手を育成するという本来の目的から外れ、金やポストを求める場になっている」と指摘した派閥にも、本当にメスを入れられるのか。人事で派閥の意向やバランスを重視してきた首相の覚悟が試される。
9月に自民党総裁の任期満了を控える首相にとって、今年は大きな節目の年だ。
再選をめざすのか。会見で問われた首相は、政治への信頼回復と、経済対策など先送りできない課題に「一意専心」で取り組むとして、「それ以降のことは考えていない」と述べた。その言葉通り、保身は捨て、国民のための政策に邁進(まいしん)することでしか道は開けまい。