神田氏の税滞納 財務副大臣の資格なし | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の朝日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

 税理士でもある国会議員が税金の滞納を繰り返し、しかも徴税を担う財務省の副大臣だというのだから、開いた口がふさがらない。納税者への背信であり、その資格がないことは明白だ。自ら職を辞さないのであれば、岸田首相が速やかに更迭すべきだ。

 

 自民党衆院議員の神田憲次財務副大臣が代表取締役を務める会社の土地と建物が、13~22年に計4回、固定資産税の滞納により差し押さえられていたことがわかった。週刊文春の報道を受け、神田氏が国会で事実関係を認め、陳謝したが、辞任は否定した。

 

 神田氏は00年に税理士事務所を開業。12年衆院選の愛知5区で初当選し、現在4期目。滞納の理由について、議員の仕事で多忙になった、事務所スタッフに任せていたなどと釈明したが、具体的な経緯については「精査中」と繰り返した。

 

 税金の滞納があった場合、当局は督促状を送るなど、まずは自主的な納付を促す。差し押さえは最後の手段であり、税の専門家が、そこに至るまで放置するというのは信じがたい。しかも一度ならず、四度もだ。野党議員が「確信犯では」と追及するのももっともだ。

 

 税理士法は「納税義務の適正な実現を図ること」を「税理士の使命」と定めている。自らその義務を何度も果たしていないのは、税理士としても失格ではないか。神田氏は、日本税理士会連合会が定める毎年の研修を受講していなかったことも認めた。著しく規範意識を欠くと言わざるをえない。

 

 岸田政権が進める防衛費「倍増」や「次元の異なる少子化対策」の財源確保には、増税などの国民負担が避けられない。その政策立案の中心となる財務省の幹部が税滞納の常習者とあっては、到底国民の納得は得られまい。

 

 それにしても、9月の内閣改造に伴って行われた副大臣・政務官人事のお粗末さは目を覆うばかりだ。山田太郎文部科学兼復興政務官は不倫報道で、柿沢未途法務副大臣は公職選挙法で禁じられた有料ネット広告の利用を東京都江東区長に勧めていたことで、それぞれ職を辞した。

 

 副大臣・政務官の人事は、閣僚以上に、自民党内の各派閥の推薦を受け入れた順送りなのが実態で、個々の資質は十分吟味されていないと言える。首相が繰り返す「適材適所」は建前に過ぎない。

 

 山田、柿沢の両氏は問題発覚後、すみやかに辞任した。このまま神田氏を任にとどめるなら、首相への信は一層失われることになろう。