掲題の昨日の東京新聞社説。
問題なしとしない。
ガソリン高騰の原因究明が先決だろう。
確かに、日本でのガソリン価格は史上最高値を付けているようだが、
ガソリンの源となる原油の価格が史上最高値圏で推移しているわけではない。
なお、ガソリン同様に、政府補助金を業者向けに
提供してきていた電気やガス価格は
原油やLNG価格の年初から6月頃までの低下傾向を受けて、
夏以降の今後の価格再上昇懸念がないわけではないが、
最近落ち着きを見せてきた。
つまりは、インフレ高進や4~6月期のGDPの
バブル期並みの高成長にもかかわらず、
マイナス政策金利を継続するなど異次元金融緩和の行き過ぎが、
過度な円安を生んで、ガソリン高騰等に物価の
全般的なインフレ高進に繋がっている恐れが強い。
インフレに潜む特定の財・サービスの価格高騰を、
政府補助金で賄うやり方は、
そもそも効率的な資源配分上問題が大きいだけでなく、
特定業者への利権の温床にもつながりかねない。
さらに、歯止めなき政府の歳出拡大につながりかねない、
ことも言うまでもない。
想定外のQ2GDP高成長にみられるように、
日本のGDPギャップは既に総需要が総供給を超える
正のGDPギャップ、
すなわちインフレ・ギャップに転化してきている。
物価面では2%のインフレ目標超えが2022年5月から
既に15カ月以上も続いている。
加えて、実体経済面でも、明らかに総需要が総供給を上回る
インフレ・ギャップの状態に転化してきていることを
Q2GDPの高成長が示唆してきている。
こうして、インフレ高進と円安や不動産等の資産価格のバブルが
最近増幅されてきていることは少しも不思議ではない。
ガソリン等の個別の物価高騰に場当たり的に、
一時的かつ恣意的に対処するのではなく、
物価と通貨の安定のために、いまこそ、
日銀がマイナス政策金利の修正を含めた、
金融政策の正常化にシステマテックに、
遅滞なく動くべきである。
ガソリン価格が今月、全国平均で十五年ぶりに一リットル当たり百八十円を超えた。ロシアのウクライナ侵攻や円安の進行、産油国の減産などの悪条件が重なり、価格上昇に歯止めが掛からない状況だ。
ガソリン高騰は暮らしや中小を中心とする企業経営に深刻な打撃となっているが、価格抑制に向けた政府の動きは鈍い。放置すれば深刻な消費低迷を引き起こしかねず、無為無策は許されない。
資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は十三週連続で上昇し、十六日公表分は百八十一円超となった。輸送費のかかる離島を含めて一部地域で二百円を超えた例もある。
内閣府が十五日に発表した四~六月期の国内総生産(GDP)の速報値は、成長率が年率換算で6・0%増と伸びた一方、個人消費は前期比0・5%減だった。物流に大きな影響を及ぼすガソリン価格の高騰が物価全体を押し上げ、消費の足を引っ張った形だ。
GDPの半分以上を占める個人消費の低迷が続けば、輸出が好調だとしても、景気を本格的な回復軌道に乗せるのは難しい。ガソリン価格の抑制は喫緊の課題であるはずだ。
政府は昨年一月から石油元売りに補助金を支給してガソリン価格の抑制を図ってきたが、今年六月以降は補助金を段階的に引き下げており、効果は薄れつつある。九月には廃止される予定だ。
補助金には、ガソリン消費の増加につながり、脱炭素化に反するとの批判がある。この指摘は地球環境を考慮すれば当然だが、足元の暮らしが壊されたり、国内経済を支える中小事業者が経営難に陥ることは見過ごせない。公共交通機関に乏しく、移動に自動車を使わざるを得ない地域も多い。
補助金はガソリン価格が落ち着き次第、支給停止することを前提に支給延長に踏み切るべきだ。
ただ、ガソリン高騰が長引いた場合、予備費を財源とした補助金の支給には限界がある。
ガソリン価格が三カ月連続で高騰した場合、ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」があるが、東日本大震災の復興財源確保などのため凍結されている。
高騰が長引いた場合に備え、秋に召集予定の臨時国会でトリガー条項の凍結解除を可能とする法改正をすべきだ。政府は物価抑制に万全の構えを示す必要がある。