元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アセモグルら)

2026年正月元旦 年頭のご挨拶
2026年 正月元旦
中丸友一郎
元世界銀行エコノミスト

謹賀新年
新春を寿ぎ、謹んでお慶び申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

Ⅰ ゆく年くる年――日本は今、文明の「臨界点」に立つ
2025年の日本は、政治・経済・社会のあらゆる領域で、
戦後以来もっとも深刻な制度疲労が露呈した一年でした。

インフレ率はG7最悪
実質賃金は低迷
円安への暴走
財政赤字は戦後最大級
日銀は利上げに遅れ、後追いで市場を混乱
政治は「カネと利権」の構造的腐敗が噴出
国民生活は生活費高騰に直撃され、疲弊の極みに達した
これらは単なる“問題の集合”ではありません。
文明史的に見れば、“臨界(criticality)” というべき状態です。

文明が限界に近づき、
わずかな刺激で全体が相転移を起こす――
その直前の極度の不安定状態。

2026年の日本は、まさにその臨界点に立っています。

Ⅱ 令和ブラックマンデー(2024年8月5日)からトランプ相互関税ショック(2025年4月2日)へ
2024年8月5日の「令和ブラックマンデー」は、
単なる市場の乱高下ではありませんでした。

円キャリー・トレードの巻き戻し
日銀の遅すぎた利上げ
FRBとの政策矛盾
円急騰・株急落の連鎖
これらは、**日本の金融システムが臨界に近づいていることを示す“前兆現象”**でした。

さらに2025年4月2日、
米国による相互関税措置が発表され、
世界貿易と国際金融市場に新たな緊張が走りました。

幸い市場は一時的に小康状態を保ちましたが、
この出来事は、世界経済が再び保護主義と通貨不安の連鎖に巻き込まれ得ることを示す象徴的な警告でした。

Ⅲ 2026年の日本は「二者択一」の分岐点に立つ
臨界点に立つ文明に残された選択肢は、
実は多くありません。

むしろ、二つしかないと言ってよいでしょう。

選択肢① 消費税撤廃――国民の可処分所得を回復し、文明の時計を再起動する
可処分所得の回復
消費と投資の好循環
乗数・加速度モデルの再起動
民主主義の再正統化
国民経済の再生
これは、私が一貫して主張してきた
**「国民ファーストの新三本の矢」**の第一矢です。

選択肢② 軍拡増税――国民生活を犠牲にし、制度疲労を加速させる
家計のさらなる疲弊
消費低迷の長期化
インフレ税+消費税の二重苦
財政の硬直化
民主主義の形骸化
これは、文明の暴走(オーバーシュート)が
“崩壊フェーズ”へと進む典型的な道筋です。

結論:2026年は「消費税撤廃か、軍拡増税か」の文明史的分岐点である
この二者択一は、単なる財政論争ではありません。
文明の方向性そのものを決める選択です。

Ⅳ 利子の文明史が示す「時間の回復」
利子とは、文明が未来をどのように扱うかを決める“時間の制度”です。

利子が低すぎれば、未来が過小評価され、バブルが膨張する
利子が高すぎれば、現在が破壊され、社会が収縮する
利子がゼロ近傍に固定されれば、文明は“時間の方向性”を失う
2024~2025年の日本は、まさにこの「時間の喪失」を経験しました。

日銀は文明の時計を止めてしまったのです。

その結果が――
円キャリーの暴走、令和バブル、令和のブラックマンデー、インフレ加速。

利子の文明史は、2026年の日本が“時間の再設計”を迫られていることを示しています。

Ⅴ 文明の暴走(オーバーシュート)――日本はどこまで来ているのか
文明は、以下の3段階を経て暴走します。

加速(Acceleration)
過剰(Overshoot)
崩壊(Collapse)
2024~2025年の日本は、完全に「過剰(Overshoot)」に入りました。

2026年は、
「過剰」から「崩壊」へ向かう臨界点
に位置しています。

しかし、まだ遅くはありません。

文明史が教えるところ、
暴走を止める唯一の方法は、
**制度の再設計(institutional redesign)**です。

Ⅵ 国民ファーストの新三本の矢――文明の再設計へ
消費税撤廃(国民の可処分所得の回復)
金利正常化(文明の時計の再起動)
恣意的な産業政策の撤廃(利権構造の解体)
この三つが揃って初めて、
日本は再び持続可能な文明へと歩みを取り戻すことができます。

Ⅶ むすび――2026年は、日本文明の“臨界点”である
「文明の臨界点に立つ日本は、いまこそ制度の再設計を迫られている。
利子の文明史が示す“時間の回復”と、
文明の暴走が警告する“限界の認識”を踏まえ、
国民ファーストの新三本の矢によって、
日本は再び持続可能な文明へと歩みを取り戻すことができる。
2026年は、その歴史的転換点となる。」