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3月6日、厚生労働省での
「生命維持治療中止ガイドライン」に関する
記者会見。
取材に来ていた記者の岩永直子さんが、
レポートを書いてくださいました。
ALSを発症して、
自宅で家族の介護を受けて生活していた
私の父は、
私が夜の介護中に居眠りしている間に
呼吸困難を起こしました。
たまたま夜中に目を覚まして起きてきた母が
気がついて私を起こし、
救急車を呼んで病院へ搬送。
人工呼吸器を着けるのか、
それともこのまま治療をしないのか。
意識のない父の代わりに、
私たち家族に判断が委ねられました。
主介護者であった母は、
治療せずこのまま逝かせてほしいと希望。
母は、父の死を望んでいたわけではなく、
医師から
「人工呼吸器を着けたら
長期間の介護が
必要になる。
必要になる。
家族が24時間365日介護することになる」
そう言われたことで、
自分にそんな介護はもう無理だと思い、
治療しないことを希望したのでした。
私たちがなんとかする。
今ここで父が死んでしまったら
もう取り返しがつかない。
まずは父に生きてもらおう。
そう、姉妹3人で母を説得し、
父は人工呼吸器を着けて
生きることになりました。
救急搬送されて間もないときに
精神的に混乱している状態で
大切な家族の命の選択を迫られる家族が、
しかも、
その後に重い介護負担が待っていると
それは家族が担うしかないのだと
聞かされた家族が、
本当に本人の意志をきちんと慮って
家族も後悔のない納得のいく選択が
できるとは思えません。
父は、人工呼吸器を着けてから4年半、
重度訪問介護のヘルパーさんたちに
24時間の細やかなケアを受けながら
住み慣れた自宅で暮らしました。
その間に、
孫が初任給からおこずかいをくれて
泣いて喜んだり、
介護タクシーで実家に行って
兄弟たちとみんなで会って笑ったり、
桜を見に行ったり、
たくさんの思い出をつくりました。
あのとき、
「もう治療はしない」という
選択をしていたら。
この4年半の父の笑顔は
見られないまま
父は、大嫌いな病院で
逝くことになったでしょう。
今回のガイドラインでは、
「患者や家族に適切な情報提供と
説明がなされたうえで
十分な話し合いを行い、
患者の意思決定を基本として進める」
とうたわれています。
もし本当にそうなのだとしたら、
治療の結果、
重い障害が残ったとしても
重度訪問介護などの福祉制度を
利用することができるということ、
記者会見でお話してくださった
山口和俊さんや酒井ひとみさんのように、
実際に福祉制度を使って
充実した生活をしている方々が
全国にたくさんいること、
そして、同じく記者会見で
ご夫婦でお話してくださった
佐藤安夫 さんのように、
奥様が諦めずに
医師に治療を続けてもらった結果、
軽い高次脳機能障害はあるものの
自分で歩き、厚生労働省まで来て
体験を語れるまでに回復された方が
いるのだということを、
そういう情報もきちんと伝え、
混乱期にある本人や家族の精神面も
しっかりとメンタルの専門職が支え、
時間をかけて話し合いができる
環境が必要です。
その環境を救命救急の場で
本当に提供できるのでしょうか。
説明する医師は、
福祉制度まで精通したうえで
説明ができるのでしょうか。
甚だ疑問です。
まずは、死ぬ権利だけではなく、
生きたい人が生きることを選択できる
体制づくりが先です。
それができる前に
しかも当事者たちの声を聞くことなく
治療停止のガイドラインが
作られてしまうのは
とても危険です。
これは、
重度の障害や難病を抱えて
生きている人だけではなく、
いま生きている全ての人たちに
関わる問題です。
自分が、
大切な家族が、
愛する恋人が、
親しい友人が、
いつ重い病や障害を抱えることになるか
それは誰にも予測できません。
だからこそ、
他人ごとだと思わずに
想像してみてほしいのです。
もし自分だったら?
もし家族だったら?
もし恋人だったら?
もし友人だったら?
あなたは、
どんな選択をしますか?
このガイドラインに対しての
パブリックコメントに、
ぜひご意見をお寄せください。

本日午後4時から厚労省にて
難病・障害当事者の皆様が
記者会見を行います。
明日公表される予定の
4学会合同ガイドライン。
終末期ではない者の
生命維持治療の中止について
明記されてしまっています。
安楽死尊厳死の法律がなくても
生命維持治療の中止ができてしまう。
今回のガイドラインは、
安楽死尊厳死に賛成か反対かに関係なく
難病患者、障害当事者に関わらず
すべての人たちに関わるものです。
だからこそ、
難病患者・障害当事者も交えての
慎重な議論が必要です。
記者会見の様子は
報道されることと思います。
チェックしていただけたら
とてもありがたいです。
以下は
難病患者さんの支援団体である
さくら会の川口有美子さんの
Facebook投稿の引用です。
――――――――――――――――――――
3月6日金曜日午後4時から厚労省で
患者・障害当事者が会見します。
4学会共同の救急・集中治療の
終末期ガイドライン改訂
「人生最終段階ではない者の
生存維持治療の中止」に懸念
会見の内容
救急医療と集中治療によって
命を救われた当事者が、
4学会合同によるガイドラインに
示される
「終末期ではない者の生命維持治療の中止」
に関して懸念を述べます。
3月7日の日本集中治療医学会での
プレスリリースに先駆けて
記者会見するのは、
障害当事者がパブリックコメントを
送っても
参考にしていただけないことが
多々あるためです。
今後さらに他の障害当事者から
憂慮する声が届きましたら
併せてご紹介しますので、
取材してくださいますようお願いします。
*4学会とは
日本集中治療医学会、
日本救急医学会、
日本循環器学会、
日本緩和医療学会
報告者
佐藤安夫
重度心筋梗塞で心肺停止。
救急搬送後、集中治療により救命。
毎日中止を打診されたが継続を依頼。
改善し現在に至る。
軽度の高次脳機能障害。
酒井ひとみ
ALS。人工呼吸器利用
全介助で重度コミュニケーション障害。
山口和俊
筋ジストロフィー・皮膚筋炎
人工呼吸器利用。単身独居。
天畠大輔
脳死判定経験者。
長期にわたって遷延性意識障害者に
間違われていた。
現在参議院議員。
賛同団体(3月5日時点)
DPI日本会議、
全国自立生活センター協議会、
NPO法人境を越えて、
バクバクの会
〜人工呼吸器とともに生きる〜、
呼ネット
〜人工呼吸器ユーザー自らの声で〜
全国遷延性意識障害者・家族の会、
CILもりおか、
リメンバー7.26神戸アクション、
神経筋疾患ネットワーク、
CILラピタ、
ながさき自立生活センターこころ、
一般社団法人 人権精神ネット、
臓器移植法を問い直す市民ネットワーク、
自立生活センターリングリング、
NPO法人ALS/MNDサポートセンター
さくら会、
懸念・意見
① 救急医療の構えが変わる
救命優先原則を揺るがし、
救急医療の構えが変わる。
救われたかもしれない命を
見捨てることになる。
② 「無益」は差別
「数日では亡くならないかもしれない者」
の生命維持治療を「無益」と呼ぶのは
差別であり、
これを聞く者に生存維持治療を
「無益」と刷り込む。
生命維持治療に依存している長期療養者には「有益」であり、
「無駄な」「無益な」「徒な」などの用語を
もちいないよう、
ガイドラインにおいてこそ
注意喚起してほしい。
③ 病院や家族の都合で治療終了の恐れ
「終末期ではないが無益な治療を
受けている者」の判定も、
医学的判断のほか患者の意思を推定して
行われるとされるが、
十分な時間的状況的猶予がない中で
家族等の事情(介護や経済的負担等)が
優先されがちである。
よってすべての家族等が本人の意思を
推定できるとは言い難く、
集中治療中は生存維持治療を
継続すべきである。
④ TLT(Time limited Trial;
期限を決めて治療を試す)に反対である。
本人家族の障害受容を待てずに
生存維持治療を中止してしまう
恐れがある。
数日で亡くならず回復可能性がないと
判定された人でも
治療継続できることを示してほしい。
家族の意思決定を支えるために
退院後の介護福祉サービスについて
情報提供してほしい。
在宅療養・リハビリ・
コミュニケーション支援・
重度訪問介護の利用につなげる緩和医療と
救急医療と集中治療の在り方を強く望む。
⑤ 慢性期・難病に解釈が拡大する
ALS等の呼吸器の取り外し
このガイドラインはALS等
呼吸器を常時利用して長期療養中の者や、
知的・精神障害を含む
重度コミュニケーション障害者の医療にも
拡大解釈される恐れがあり、
その生存に及ぼす影響は計り知れない。
ヘルパー不足や家族関係、家計の破綻等の
様々な医療以外の要因で療養の継続が
難しくなることがあるが、
これらの問題を解決できず療養生活が
破綻した時に、
家族があるいは患者が家族のために
呼吸器中止・治療の差し控えを
希望してしまうことになる。
⑥ 心停止臓器移植へのステップではないか(ガイドライン262-264)
生存維持治療の中止に続いて
臓器提供を勧められるのではないか。
臓器提供を目的とした生存維持治療の中止
(心停止ドナー)に向かうのではないか。
呼吸器の取り外し等による心停止からの
臓器移植については
審議会でも議論をしていない。
⑦ 「植物状態からの脱却
(コミュニケーションの回復を指す)」で
検索すると、沢山の脱却事例が出てくる。
これらの事例はTLTでは救えなかった。
