伊藤潤二先生 誘惑 | けろみんのブログ

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日記・観た映画のこと・観た展覧会の感想







2024.5.12


世田谷文学館

「伊藤潤二展 誘惑」

2024.4.27~9.1


「芦花公園駅」という、オシャレな世田谷に公園に寄り添うように建つ世田谷文学館に初めていきました。私の家には彼の本が沢山あります。「うずまき」が面白くて一瞬ファンになりましたが集合体恐怖症には辛い画面が多く、何とか耐えて読みましたが「グリセリド」で限界こえてページがめくれず、無理と思い漫画を開かなくなりました。今回の展覧会のメインビジュアルも直視出来ず、いつも伏せておいています。(笑)




それでも彼の作品は面白いので興味があり、小田急と京王線にのって見に行きました。


展覧会はすべて撮影可能(動画不可)で、手書きの原稿やデジタル出力の原稿、カラー原稿(油彩画打数)子供の頃大切にしていたものや画用紙に書いた漫画など盛りだくさんの展示でとても面白かったです。グッズも充実していたので「うずまき」のお皿を買いました。カップ&ソーサーは12000円と高いけれど、お皿は3000円、それ以下のお値段の使いやすそうな食器も良かったです。



盛りつけ例





併設カフェでランチをしました。スパゲティとドリンクのセットが800円。ピラフとスパゲティはレンチンものです。盛り付けが四角かったし。





ここから先は私の感想より有用な情報である会場のキャプションからスキャンしたものです。(手抜きとも言う)一般1000円と、料金もお手ごろなので気持ち悪い絵の好きな方はご覧になってみてはいかがでしょうか。


1963年の夏、岐阜県中津川市(当時は恵那郡 坂下町)に1人の少年が生まれた。3歳でTV アニメ『悪魔くん』に出会い、登場する怪物に 心惹かれた少年は、画用紙を綴じて漫画本を 作り、コツコツと絵を描きためるのが趣味 だった。そしてホラー漫画の師と仰ぐ楳図かずお や古賀新一の作品だけでなく、『ウルトラQ』 などの特撮作品にのめりこみ、SF小説にも 興味を抱いていく。漫画家としてデビューする 前から変わらず、伊藤の作品には今もなお、 創作の根底に原体験ともいえる「奇妙だけど リアル」な世界観が息づいている。




恐ろしさと美しさの共存する伊藤の作品は、 日本国内にとどまらず世界中で愛されている。 作画の巧みさはもちろん、「幽霊」や「因縁」が 主体となった和製ホラーと一線を画すストーリー も、その人気のひとつだ。伊藤自身、アメリカ 映画の『ジョーズ』や『エイリアン』といった 作品に親しみ、そのおもしろさを探り、かつて 夢中になった海外の怪奇小説のような 「ムードのあるホラー」を追い求めてきたという。 海外の漫画賞の受賞も相次ぎ、近年は アジアのみならず、アメリカ、フランス、 ブラジルといった欧米圏にも招かれ、その 熱狂ぶりはとどまるところを知らない。




奇想天外な展開と流れるような筆致で 紡がれる、唯一無二の世界——。


そのホラーの入り口は常に、ごくありふれた 日常の中に静かに存在している。徹底的に 追求されたリアリティーと自身の経験に裏打ち された描写は、見る者の共感や想像力をかき 立て、物語を身近に感じさせる。


脂っぽくぎとぎととした肌や血のにじむ皮膚、 なめくじのぬめぬめとした質感は、誰しもが 自らの記憶と結びつけずにはいられない。現実 世界を巧みに描写した漫画の中に、今も 恐怖がひっそりと忍び込んでいる。



閉ざされた集落


人里離れた集落を訪れた主人公が、独特の因習や 過去に起きた事件がもたらす悲劇に巻き込まれて いく………………。閉鎖的な空間は、伊藤作品の中でも恐怖の 舞台としてたびたび登場する。


伊藤は自らの恐怖の原点を、生まれ育った岐阜県 中津川市にあると話す。暮らしていた木造の長屋は 緩やかな斜面の上に立っていたため、家の一部に半地下の ような奇妙な空間があったという。日の当たらない地下は じめじめと湿気が多く、その地下道を通って便所に向かわ なくてはならないのが、幼い伊藤少年にとっては恐ろしくて 仕方がなかった。そしてもう一つ、埃をかぶった屏風や 家具がしまわれた二階の「開かずの間」も、隔離された 世界のようで気味が悪かったのだという。


日本家屋で感じられる不気味さや幼い頃の恐怖 体験は、今もなお伊藤の作品の奥底に息づいている。



五感を揺さぶる恐怖


伊藤作品に登場する怪奇は、どれも生々しく読者の 心へと染みこんでくる。


『サイレンの村』では、けたたましい音と共に恐怖の 時間が訪れ、『グリセリド』は大量のニキビがつぶれる 感触や音、油のすえた臭いまで伝わってくるような 生々しさがある。


これらはどれも徹底的に追求されたリアリティーに より、浮き上がってくるものだ。伊藤は小学生の頃に 見た特撮映画からその妙を学び、特に1950~70年代に 活躍したハリウッド映画の特殊効果クリエイターである レイ・ハリーハウゼン氏の手がけた映画に、いたく感銘を 受けた。実際の景色と怪物の人形を合成する手法や コマ撮りを活用した映像は、着ぐるみの怪獣映画では 表現できないリアリティーを感じさせ、伊藤少年の心を 浮き立たせたのだという。


そうした、見る者を物語にのめりこませ非現実的な 世界へと引き込む技を、伊藤は少年の頃に多くの 作品から吸収した。読む人の五感に訴えかけるような 恐怖の描写は、幼い頃に敬愛した作品群に培われた 感覚によるところが大きい。


富江


「富江よ・・・憶えておいて」


人を惑わせ狂わせるほどの美しさを もった少女「富江」。高飛車だが、男たちを 惹き付ける魅力にあふれている。彼らは 彼女への殺意を抑えきれなくなり、やがて 破滅していく。


伊藤が「最高の美女を描く」と決めて 描いたその少女は、年齢や立場は違え ども、必ず「富江」という名を持っている。 そして何度も蘇り、増殖し、姿形を変え、 世界に破滅と残酷な結末をもたらし、 高笑いと共に去っていく。





うずまき


「渦・・・渦だ・・・うずまきだ・・・ このまちはうずまきに 汚染され始めている・・・」


女子高生の五島桐絵は、隣町の高校に 通う斎藤秀一を駅に迎えに行く途中、 路地に座り込んで壁をじっと見つめている 秀一の父親を見つけた。うずまき模様に 取りつかれた父親は次第に狂っていき、 壮絶な最期を遂げる。時を同じくして、 町では怪奇現象が次々に起こり始め、 桐絵と秀一はうずまきの呪いの中心へと 飲み込まれていく。




動物への愛着


伊藤はこれまで、犬や猫と共に暮らしてきた。 時に彼らは作品としても描かれ、『ノンノン親分』や 『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』の中でいきいきと した姿を見ることが出来る。登場する動物には特有の 動きや姿形が精密に描かれ、「可愛い」だけにとどまら ないのが大きな特徴だ。




たとえばあくびをする顔が怖かったり、ぬるぬると 床で動く姿がナメクジのように見えたり。時には愛猫を 「アコーディオンのように伸び縮みさせてみたい」という 願望が描かれるなど、作品には伊藤ならではの主観が 入り読者の共感を誘う。どの作品もホラー漫画の タッチで描かれているところにコミカルさが生まれて いるが、誇張された表現の先には動物への愛情が うかがえる。


以上キャプションの内容です。


大阪コミコンでのナマニクさんの様子