鴨居玲展 人間とは何か?神坂雪佳 つながる琳派スピリット | けろみんのブログ

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2022.9.14~2022.12.4まで、新宿東口の中村屋サロン美術館にて開催されます。

「人間とは何か?」を副題に、自画像を中心に約40点が展示されていました。



・自画像


鴨居は1982年に軽い心筋梗塞で病院に運ばれ、入院せざるを得なかった際、個展の準備として入院を伸ばし自画像を描いた。その作品はスペインで「自画像を入れたい」と思い購入した、祭壇画のような額に入って展示。また、盛り上がった絵の具の置かれたパレットの真ん中に描かれた自画像もありました。

19歳の頃描いた自画像は、鏡に映し出された自身を鋭く見つめる目が印象的。てすが、本格的に自画像を描き出したのは82年の入院から、1985年の突然の死までです。鴨居の死後、アトリエには赤い道化師の姿をした自画像らしき作品が遺されていました。白のハイライトがないので、未完の作品なのでは?と思いました。目を閉じ、口を半開きにした姿で描かれる鴨居玲の表情には虚無感を感じるといわれますが微笑んでいるようにも見え、ちょっと考えすぎかも知れませんが自嘲気味に笑っているようにも見える気がします。首を吊った自画像の襖絵は痛々しく、ヒリヒリします。

私が鴨居玲の作品で好きなのは爆発しそうなくらいに充満したエネルギーを暗く抑えた色調に閉じ込めている気がすること。そしてなによりも白の使い方が大好きです。鴨居玲のモティーフ「老人」では、白髪頭や鼻筋に。「教会」では十字架に。自画像ではハイライトや髪の毛に。「絵を描き続けることはとても疲れる、辛い」と最晩年の鴨居は語っておられました。白は引っかき傷にも思えます。鴨居玲が魂を削り取って描いた跡のように思えるのです。



中村屋サロン美術館では、YouTubeにて展覧会の解説をされています。小さな美術館なのでこれを見るだけでも大体の雰囲気は掴めるので中村屋サロンのチャンネルを是非ご覧ください。



この日は神坂雪佳展も行きました。リンパのツボを押さえた素晴らしい展覧会で、最初の俵屋宗達の犬に癒され、錚々たるリンパメンバーを巡ったあと神坂雪佳の図案の動画をじっとみました。滑稽図案が本当に滑稽で。猫も杓子もというけど、本当に猫と杓子が図案になってます。そういえば義母が旦那さんにプレゼントしてくれたトランクスに豚と真珠、猫に小判が図案化したのがあったなぁ……

展覧会の様子はYouTubeにまとめました。