前期 2020.7.23~2020.8.23
後期 2020.8.25~2020.9.22
浮世絵作りを女性たちの姿に見立てて描く。
右奥は版下絵を版木に貼りつけ輪郭線となる主版を彫る彫り師。
その隣はノミと木槌で色版を制作する彫り師。道具を研ぐ人、摺った紙を干す人、インクの数々があり興味深い。
出品数455点。前期後期で作品は全部入れ替えになります。
本展覧会は日時指定入場制、チケットもオンライン購入となってます。支払いはd払いもしくはクレジットカード払いのみです。
日時指定は、20分ごとに区切られています。
後、展示リストが!会場に!ありません!欲しい人はダウンロードしましょう。
作品リストダウンロードは一番下にあります。
コロナのせいで、色々めんどくさいです。要は伝染らない・伝染させないように気をつけることです。
概要説明はここまでにして、まずはナマニクさん応援コーナーです。
最新Web記事はこちら。良い記事です。
George Ujiie,氏家 譲寿(ナマニク)@namaniku29『ハニー・ボーイ』のレビュー。依存症のリハビリとして、脚本を書くこういうにどういう意味があるのか?というお話を書いてます。他の人には絶対書けない記事になっていますー。読んでほしいので、もう一回宣伝。#ハニー・ボーイhttps://t.co/5WEPXjetju
2020年08月08日 10:04
ナマニクさんの連載が載る雑誌はこちら
ナマニクさんの日記
ナマニクさんの雑記
さて、展覧会の感想です。
浮世絵と1括りにするは時間軸が長く、菱川師宣の墨絵から、幕末の色鮮やかな錦絵までを同じ視点でみることは出来ないと思います。
だって200年くらいあるんですもん。
作り方も、作風も、そして浮世絵の客層もどんどん変化していきます。
今回の展覧会は日本の三大コレクションから浮世絵の始まりから江戸末期までの名品を通覧出来ます。
・太田記念美術館(原宿にある美術館)
・日本浮世絵博物館(長野にある美術館。東京にも近々オープン予定!)
・平木浮世絵財団
【第1章 初期浮世絵】
1680~1760年、錦絵の登場以前の90年間、版画は進化し続けました。
大きな作品や細版は家に飾るために作られたのでしょう。
戦乱の時代が遠くなり勇ましさより雅な文化を好まれたのかロマンティックな作品が多い印象です。題材もある程度教養がないと分からないものが多いです。
奥村政信「七夕のと渡る舟」1716年頃
artケロケロみん🐸@art65510946七夕飾りの竹が船になっていて、天の川をのんびり川下り。織姫と彦星は1日限りの逢瀬をこのように過ごした……と300年前の方の感性にしばし見とれてしまいました。背景の星々がリズミカルでまた良いですよね〜〜!
2020年08月06日 23:28
【第2章 錦絵の誕生】
鈴木春信が活躍した明和年間(1760~70年代)から先暫くはみな鈴木春信とそっくりです。
まるで、今「萌え絵」が街中を席巻しているように。
プロポーションのデフォルメ(10等身とか!)写実的でなく誇張が激しいのも現代の作品と通じるものがあります。
鈴木春信は1770年に亡くなり、その後しばらくモロに影響を受けた画風が続きます。段々と自分の作風を作り出す絵師もいてそれはそれで面白い。
斜めに構図を分け、上は大名行列遊びの子供、疫病避けにきくという鍾馗様ののぼり、軒先には菖蒲の花をさして端午の節句を祝っています。
夜の場面は蚊遣り火を炊いたり、蚊帳を吊る女性の場面。上村松園の作品にこの作品と構図が似ているものがあり、インスピレーションを得たことがわかります。
【第3章 美人画・役者絵の展開】
喜多川歌麿の活躍した1780~90年代は、雲母刷りがとても綺麗です。人物の性格描写が巧みで心を揺さぶります。
前にも描きましたが、雲母刷りは下から覗き込むとキラキラよく分かります。
会場でやたら上下運動をしているおばさんが居たら私かもしれません。
【第4章 多様化する表現】
19世紀前半、いよいよ葛飾北斎ら花形絵師の出番です!
【自然描写と物語の世界】
葛飾北斎、歌川広重などの活躍した天保年間(1830年代頃)浮世絵は庶民のニーズを反映し豪快な武者絵、憧れの旅行風景、名所、今流行りのファッションなどが描かれます。
斬新な構図、躍動感、そして物語絵のダイナミックさ。
日本が誇る大芸術です。
髪型の変遷や服装、食べてるものなど細かいものを見ていくと浮世絵の見どころがどんどん広がり興味は尽きません。
浮世絵を見ているうちにこんな妄想をしていました。
この作品のエンボス加工出できた機織りの経糸、糸巻きがあまりにも素晴らしいので……
時は18世紀中期。趣味人の絵暦交換会の最中。皆こぞって一流の絵師に凝った趣向の図案を描かせ、それをまたまた凝りにこった摺物にして皆に配ります。
または、昭和初期。実業家のなかでも、趣味人たちの集まるサークルで取っておきの蒐集品を持ち寄り評します。
ただし、褪色を防ぐため箱に入れてチラッと覗くだけ。
摺数が少ない品は特に珍重されます。ただ趣味にうつつを抜かしている訳ではありません。「日本の文化遺産の海外流出を防ぐ」という大義名分もありますから、惜しみなくお金を注いでいるんです。
「新しい名刺、どう思う?」
「やるな、色もいい」
「“ボーン”だ。レタリングは“シリアン・レール”」
「悪いが大したことないね、みろよ」
「“エッグシェル”にレタリングは“ルーマニア”!どうだ?」「馬鹿なお前の割にいいじゃないか」
(俺のよりあいつの名刺を気に入るなんて!)
「でも俺のはもっと凄いぞ、浮き彫り文字で“ペール・ニンバス”」「アレンのは?」
(色は絶妙なオフホワイトだし、紙の厚みも上品過ぎるぜ。なんてことだ、透かしまで入ってるじゃないか)
これはある映画の中でのヤッピーたちの名刺自慢のシーンです。
このセリフを上記【18世紀中期】【昭和初期】の方々に当て嵌めたら……
以上が展覧会の感想です。
かなりの点数がありますので、作品リストをダウンロードして、目を通した方が効率良いと思います。
昨日は鏑木清方記念美術館、川喜多映画記念館、鶴岡ミュージアム、鎌倉国宝館に行きました。
茅輪くぐりをしてコロナウイルス退散を願いました。