かわいい浮世絵 おかしな浮世絵 | けろみんのブログ

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日記・観た映画のこと・観た展覧会の感想

2019年1月5日から1月27日まで、原宿の太田記念美術館にて開催されています。地下鉄駅出口すぐ、障がい者割引100円引きで600円でみられ、作品解説が一つ一つに丁寧に付いていて私のような無知識のものでも楽しめるので大好きな美術館のひとつです。

今回は太田記念美術館のサムネイルにもなっている虎子石ちゃんを見たくてやってきました。




この子です!可愛いでしょ?虎の四足と尻尾を持つ石です。なにより表情が可愛くて「みゅーん」と鳴きそうな気がします。

このキャラクターは歌川芳員「東海道五十三次内大磯」登場する石で、由来が様々ですが延台寺に実在しています。神社に祭られており毎年五月第4日曜日に、ご開帳になるそうです。触ると安産、厄除け、大願成就に効き目があるそうです

虎子石について、4年ほど前の太田記念美術館のTwitterで詳しく解説されていました。Twitter貼り付けが上手くいかないのでテキストにし、この記事の一番下にに貼っておきます。とても興味深いですよ。




本図では、石だと思ったら四足でノコノコしてる虎子石ちゃんにびっくり仰天、ひっくかえった滑稽な旅人と共に描かれています。

その他、十二支全てが一体となった十二支ちゃん?

顔は鼠、牛の角、虎のシマシマ、うさぎの耳、龍の火炎、蛇のしっぽ、馬のたてがみ、羊の髭(ヒゲ?ん?)猿の後ろ足、鶏の鶏冠、犬の前足、イノシシの…………お尻??

変なのーー。
 
キャプションには「某怪獣」とある、ゴジラそっくりの怪獣の絵もあります。
江戸時代から出現していたんですね……

小原古邨の番の鳥も可愛いし、「猫のお蕎麦屋さん」で天ぷらの屋台で目を細めて天ぷらを食べる猫がすっごく可愛い。

河豚を持って歩いていたところ下駄の調子がおかしいので直していたら、河豚をこっそり取ろうとする犬も可愛い。


江戸時代のポップアートである浮世絵も、2世紀近く時を隔てた今の人々にはポップな存在ではなく、難しくとらえがちですが「かわいい」「おかしい」の視点から鑑賞していると江戸時代(1部明治の作品もあり)人々も同じようにかわいい!おかしい!と笑って眺めていたことを思い心が通う気がします。



1月の三連休中日のこの日はとてもよく晴れており気持ちの良い1日でした。
外は静かな佇まいですが中はとても混んでいました。畳敷の肉筆画の展示されているコーナーは靴を脱いで、床の間を眺めるように座って作品を近くで見るのが良いと思うのですが入ったとき皆畳に上がらず遠巻きに見ているのでどーやって上がろうか躊躇しました。

それと、弘化年間に流行った化粧で紅に緑を入れる「玉虫色」の口紅の話を近くにいる若い女の子を捕まえて何度も解説している男性がいました。余程赤と緑の口紅が、衝撃的だったんでしょうね。とても高くて庶民にはその紅が買えないので墨で代用したとか聞こえてきました(ちゃっかり聞き耳立ててた)

このかわいい・おかしいもの尽くしの浮世絵は度々みられるわけではないので、機会を逃さず見に行けて良かったです。
 
次回の展覧会は昨年茅ヶ崎市美術館で見た
「小原古邨」
今回の展覧会でもほのぼのした鶏夫婦の作品が出ており、やはり古邨はいいなぁと思いましたので、
次回も必ず行くようにしたいです。

大満足の鑑賞のあとはJRに乗り渋谷へ行き、2度目の鑑賞となる「ロマンティック・ロシア」展を観ました。行きの電車で図録を読み込んだのでキャプションを読む手間が省けました。日本では「洋画」「日本画」と絵画をざっくり区別しますが「ロシア画」があっても良いくらいヨーロッパ的でありながらアジアの雰囲気を持つ、それでいて東南アジアのアートのように土臭くない、独特の洗練があると思いました。
映画の分野でも東欧、ロシアの作品は一味違いますね……

さてこの三連休(と言っても私は日月定休で2連休)他に何をしていたかというと、家に引きこもり校正用にプリンタを新調し、本文からデザイン、校正に至るまで全てナマニクさんが手掛けた渾身の自主制作映画本「FILTHY vol2」の追い込みにかかっていました。
私は朝晩と、原稿を読んで間違えをさがすんですけど実にスラスラ楽しく読めるんですね。
おかげで見逃してしまったりもするけれど旦那さん曰く「ナマリズム」だそうです。
観たい!と思う映画レビュー、うわぁマジで!と思うインタビューなど満載です。あともう少しで出来上がりですのでお楽しみに!!

↓↓↓虎子石について↓↓↓

太田記念美術館 @ukiyoeota
【虎子石って何?①】太田記念美術館公式アカウントのアイコンに使われている謎の生き物「虎子石」。実はこれ、歌川芳員という絵師が描いた「東海道五十三次内 大磯」に出てくる不思議なキャラクターで、大きな石に虎の手足が生えています。

【虎子石って何?②】虎子石は、もともと「曽我物語」に出てくる大磯の虎に所縁のある石の名前。「虎御石」とも呼ばれ、大磯の延台寺に今も祀られています。本当はただの石ですが、芳員は石に虎の手足をつけ、ユーモラスなキャラクターに仕上げました。

【虎子石って何?③】芳員「東海道五十三次内 大磯」。虎子石をアップで見てみましょう。よくみると目と口らしきものがあります。周りの驚きようがすごいですが、虎子石は涼やかな表情で、特に危害はなさそうです。右側の女性は少し笑っていますね。

【虎子石って何?④】虎子石と当館学芸員との偶然の出会いは、2010年にさかのぼります。「浮世絵動物園」という展覧会で、収蔵庫の隅に眠っていた芳員「東海道五十三次内 大磯」がはじめて出品されました。

【虎子石って何?⑤】江戸の「ゆるキャラ」とも言える虎子石の不思議な可愛らしさに学芸員が気づき、同展覧会のポスターでは、数多くの動物たちに混じって、沢山の虎子石が登場しています。

【虎子石って何?⑥】もともとの虎子石は、山下長者が虎池弁財天に子宝を祈願して授かった石と言われ、生まれた女子「虎」とともに大きくなりました。図右が大磯の虎。三代豊国(国貞)・広重「双筆五十三次 大磯」部分。※現在展示しておりません。

【虎子石って何?⑦】やがて虎は曽我十郎の恋人となります。十郎の仇である工藤祐経が刺客を差し向けた際、虎子石は十郎の身代わりとなり、刺客の矢を防ぎました。図は豊国「芳沢友之の大磯のとら」部分。※現在展示しておりません

【虎子石って何?⑧】十郎は弟の五郎とともに仇である工藤祐経を討ち果たしますが、十郎は仁田四郎に討たれます。図は十郎の死を知って泣き崩れる大磯の虎。周延「東絵昼夜競 大磯の虎」。※現在展示しておりません。

【虎子石って何?⑨】曽我兄弟が工藤祐経を討った旧暦5月28日に降る雨を「虎が雨」と言います。十郎の死を知って虎が流した涙が、雨となって降り注ぐという伝承によるものです。図は広重「東海道五拾三次 大磯 虎ヶ雨」※現在展示しておりません。

【虎子石って何?⑩】(続き)大磯の虎は、曽我十郎が亡くなったあと尼となり、虎子石を最後まで大切にしたということです。この悲しい話に登場する虎子石を、図のような「ゆるキャラ」に仕立てた芳員の発想には驚いてしまいますね。

【虎子石って何?⑪】さて、虎子石を描いた歌川芳員という絵師。国芳のお弟子さんで、生没年不詳。幕末から明治にかけて作品が見られます。図は芳員が描いた「百種怪談妖物双六」という作品。サイコロを振って遊ぶ双六です。※現在展示しておりません。