何事もなく終わってしまった最後の診察 | 小さな花のひとりごと

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乳がん再発の心の動きを綴っています。
現在、肺、縦隔、骨に転移していますが、治療のおかげで元気に過ごしています。

主治医が、今の病院を去ることが決まって、最後の診察日がきました。
 
なんと激混み!
これではしんみりと最後の挨拶もできません。
 
思いおこせば、20年前(21年前になりました)の出会いから、
途中、ご自分のクリニックを立ち上げ、私もそちらに移りました。
10年経ち「これからは、いつでもいいよ」と、予約がなくなって軽く卒業になり、
採血しやすい季節になったら行こうと思いながら、
ズルズル先延ばしにするうちに、
まさかの再発でまさかの再会をすることになった大事な先生です。
 
先生、どうして辞めちゃうのかな、
直接聴けずに緩和の先生に聴く・・
緩和の先生曰く
先生は見た目よりも実はお年だからね、お疲れなんだよ。
ご自分のクリニックもあるし、手術があれば毎日こっちの病院に顔を出さなければいけないし。
少しゆっくりしたいんじゃない?
 
・・先生、お年が理由なの?
私、先生のお年知ってます。
まだまだでしょ。
寂しい。

20年前、術後のいつもの回診に来た先生が
縫った糸がもうすぐ取れそうなのを見つけて
「ついでだから取っちゃおう」となった時、
先生「あれ?良く糸が見えないぞ、もっと明かりをくれ」と
看護師に言ってましたね。
看護師も小さな懐中電灯のようなもので私の傷跡を照らしながら、
「これじゃ、ともしびですね」
「この灯りでは・・うーん、目がつらいな」
やっとのことで糸が切れた時は、先生、看護師さん、私の3人でホッとしましたね。
 
あれから20年です。
一緒に私も20年、年を取りました。
 
期せずして再会した昨年の今頃…
ちょうど今頃でした。
ほとんど変わっていない先生にお目にかかれて、ドキッとしたのを覚えています。
先生、変わってないですね(相変わらずステキ)
私に暴言を浴びせた芋虫のようなO医師とは比べようがないほど紳士です。
 
きちんとご挨拶したかったのに、
このドアを出たらサヨナラですねと心で泣いて診察室を出ました。
 
 
今日は、誕生日でもありました。
こんなに記憶に残る誕生日もなかなか無いと思います。
知り合いから届くメッセージも、いつになく温かく感慨深いものになりました。