イチイと抗がん剤 | 小さな花のひとりごと

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乳がん再発の心の動きを綴っています。
現在、肺、縦隔、骨に転移していますが、治療のおかげで元気に過ごすことができています。
やれることをやれるうちに。

抗がん剤の材料にもなるイチイのお話です。

 
ギリシャ神話にもイチイの話は出てきます。
復讐の女神エリュニスは、イチイの毒を使って復讐をしたと伝えられていて、死と再生の象徴とされているそうです。
また、
イチイは、周囲を清浄する力があると言われ、日光二荒山神社や多くの神社仏閣でご神木として祀られています。
真冬でもきれいな深い緑色の葉は、力強さを感じますし、
菌に強く病気になりにくい樹なんだろうなと思います。
画像は↓樹齢400年と言われているイチイの樹です。

イチイという樹があるのを知ったのは、20年前に乳がんになった時です。
自分が使っている抗がん剤「タキソテール(ドセタキセル)」ってなんだろうと
検索した時にイチイという樹の名前が出てきました。
当時は、植物がどんな風に医薬品になっていくのか、まったくイメージできていませんでした。
「木の葉っぱ」が抗がん剤になる?と驚き、
葉っぱが細かく刻まれて身体の中に入ってくる妄想が浮かんで、怖っ!と思い、
副作用は、イチイの葉っぱに突き刺されているイメージがずっとありました。
 
ふたたび、イチイの名前が出てきたのが、メディカルハーブを学び始めた時。
イチイに抗がん剤にもなる植物化学成分があると知り、
ハーブ(植物)が大好きになる大きなきっかけの一つにイチイがありました。
 
タキソテール(ドセタキセル)はヨーロッパイチイの葉から取り出した成分から合成された抗がん剤です。
細胞分裂する際の微小管の働きを阻害することで、ガン細胞の増殖を止める作用があります。
そんなわけで健康な細胞もやられちゃう副作用がありますが、
効き目がドカンと来る医薬品には副作用もドカンと来るもんだと思っています。

動くこともなく、自然に身を任せるだけに見えていた植物が、

実は、自分の力で生きることができる上に、

人を癒し、治癒し、人を殺める力もある存在なんて、すごいですね。

その中でも、イチイの樹を見つけると嬉しくなります。