今回の入院では、心膜液を処置する予定もありました。
初日に胸膜にドレナージをして、
胸水を抜きつつ、心膜の水も抜きます。
胸水が抜けたら、胸膜癒着術の次の作業であるタルクを管に流し入れます。
この際に起こる合併症を観察して、何もなければ管を外して退院という運びです。
これで約2週間です。
青字は、胸膜癒着術の手順です。興味のない方はスルーしてくださいね。
①胸膜に管を挿入し胸水をできるだけ排出する。
②胸水が抜けた頃を見計らって、管に逆に薬剤を流しこむ。
③胸膜内にまんべんなく薬剤を行き渡らせ、薬剤が胸膜の炎症を起こし、癒着を誘発させる。
④本来あるべき空間を塞ぐことで胸水が溜まらないようにする。
⑤また、薬剤をまんべんなく行き渡らせるために薬剤を流したあとは2時間かけて体位変換をする。
⑥うつぶせ、右下、左下、腰を上げる、これを15分ずつ2時間。
タルクを流し入れる予定の日、
その前に心膜穿刺をすると循環器外科の先生が言ってきました。
時間がそれしかないと。
想像すると、お腹の真ん中に管が入った状態で右下や左下にじっとしてるのはともかく、うつ伏せをするのは、どう考えても痛そうです。
すでに横腹には太いチューブが入っています。
心膜は、真ん中の少し左寄りのお腹から針やチューブを入れます。
それをうつ伏せしたら、体重のすべてがお腹の傷に当たるじゃないですか。
想像しただけでも絶対痛いに違いない。(実際に痛かったです)
これは避けたい。
せめて1日でいいから。同じ日にしないでほしい。
担当看護師に相談しました。でも看護師にはどうにもできないことのようです。
もう一人の看護師を連れてきてくれました。
その話し方や立ち居振る舞いで、この人は看護師長だと分かりました。
落ち着きがあり、貫禄もあり、なんか違う。
私は、どう考えても痛いはずなのに、やりますとは言えない。と半ば諦めつつも再度訴えました。
師長は「(呼吸器外科の)I先生と相談してみるね」と部屋を出ていきました。
私は、きっとだめだ、諦めてやるしかないのかと、身動きするのも忘れるほど、ぼーっと病室に立ちすくんでいました。(ほんとにただ立っていました)
生きた心地がしない、絶望感。
ため息も出ません。
しばらくしてI先生がやってきて
「私の方は明日でも大丈夫だから、心膜だけ先にしましょうか」
と言ってくれた時は、たまたま明日が空いていたI先生のスケジュールに感謝しました!
心膜腔穿刺・ドレナージも強烈に痛かったです。
ほんとにほんとほんとに相当痛かった。
やり直しもありました。
終わり間際に、室内に音楽が流れていたのに気が付きました。
それまで緊張と痛みのあまり、音楽すらも耳に入ってこなかったようです。
心膜腔穿刺の管は、胸膜に比較すると細く、水を溜める袋もパジャマのポケットにしまっておけるコンパクトタイプ。
すこし身動きがしやすいとはいえ、どちらにしても肺と心臓に繋がっている管だらけで、不便極まりない毎日です。
そんなこんなで明日はタルクを入れます。
