【概要】
物権を保護しつつ、取引の安全性を確保する為に、公示の原則がある。これは物権を主張する為には外部から認識できる形で、物権の所在を表示するという制度のことである。
この公示の原則を徹底する上で、不動産や船舶を始めとする規模の大きな動産など、頻繁に物権変動がないものはいいが、通常の動産については資産価値に対し表示する作業が煩雑で、バランスが取れない。
これらの問題を回避する為に、動産については物権の存在を推測される表像を信頼して取引したものを保護する、公信の原則が適用される。そして、それを実現する手段が即時取得の制度である。
即時取得は取引行為の前主の占有に公信力を与え、前主が対象物に対する処分権を持っていなかったとしても、取引を保護する制度で、取得者は無権利者より対象物の権利を得る。
尚、即時取得が認められるためには、以下の条件を満たしている必要がある。
①対象物が動産
②有効な取引行為
③前主が無権利者
④取得者が占有を取得
⑤取得者が平穏・公然・善意・無過失で取得
これらの要件を満たした場合、無権利者からの取得で、前主同様に本来は権利を持ち得ない取得者に対し権利を与えることとなる。その為、承継ではなく原始取得となる。
この即時取得は占有を得ることで認められる制度の為、引渡しによって成立することになるが、占有改定による引渡しでは認められないこと、対象物が盗品や遺失物の場合は民法193条の適用により2年間は本来の所有者より回復請求が認められることに注意する。

【所感】
即時取得は引渡しの方法によって認められるか分かれることになるが、取引の安全性を考えるのならば、占有改定同様に当事者以外からは認識しづらい、指図による引渡しも対象外とするべきではないか?また、占有改定による引渡しの場合も、何らかの方法で第三者にも認識できる方法を取っているのなら保護されるべきではないか?多様な取引が存在し、一つ一つの取引の複雑性も増してきている現代では、現行の制度のままでは対応できないように思う。本制度は、信用と言う取引社会の根底を支える制度である分、より一層深い検討が必要に感じる。



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