令和7年(2025年)9月19日(金)、厚生労働省(日本年金機構)より「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」が公表されました。
https://www.nenkin.go.jp/info/tokei/shogai/index.files/r06.pdf
これを読み解くのが面倒くさいという方は少なくないと思います。
そこで今回は、これから新規で障害年金を請求しようという方に限定して、「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」の概説をします。
新規で障害年金を請求しようという方にとっては、まず何よりも、どのくらいの割合で支給決定されるのかされないのか、ご自分の障害診断書種類別(精神障害・知的障害、内部障害、外部障害)によって支給決定割合等がどのくらい違っているのかが最も知りたい点ではないかと思います。
そのため、この概説においては、再認定割合や永久認定・有期認定(1~5年)に関する統計結果などは割愛しますので、何卒ご了承ください。
【1】令和6年度決定区分別割合について
⑴ 障害基礎年金に係る新規支給決定割合
・1級・・・・・・13.3%(前年度14.0%)
・2級・・・・・・70.2%(同75.9%)
・非該当・・・・・16.5%(同10.1%)
※ 令和5年度に比べて、全体的に支給決定割合が低下し、非該当割合は6.4ポイント上昇しています。
⑵ 障害厚生年金に係る新規支給決定割合
・1級・・・・・・7.4%(前年度7.7%)
・2級・・・・・・31.5%(同37.1%)
・3級・・・・・・52.8%(同48.9%)
・手当金・・・・・0.7%(同0.7%)
・非該当・・・・・7.6%(同5.6%)
※ 1級と2級の支給決定割合が低下し、3級の支給決定割合が上昇しています。非該当割合は2.0ポイントの上昇です。障害厚生年金には「3級障害」と「障害手当金」がある分、障害基礎年金より支給決定されやすいとは言えます。
【2】令和6年度新規診断書種類別割合について
⑴ 障害基礎年金
〔精神障害・知的障害〕
・1級・・・・・・8.9%(前年度9.9%)
・2級・・・・・・77.3%(同83.0%)
・非該当・・・・・13.9%(同7.1%)
※ 非該当割合が6.8ポイント上昇しています。
〔呼吸器疾患〕
・1級・・・・・・8.4%(同8.8%)
・2級・・・・・・26.4%(同25.0%)
・非該当・・・・・65.2%(同66.2%)
〔循環器疾患〕
・1級・・・・・・7.8%(同7.9%)
・2級・・・・・・26.3%(同27.4%)
・非該当・・・・・65.9%(同64.7%)
〔腎疾患・肝疾患・糖尿病〕
・1級・・・・・・3.8%(同3.0%)
・2級・・・・・・79.8%(同84.0%)
・非該当・・・・・16.4%(同13.0%)
〔血液・造血器・その他〕
・1級・・・・・・6.5%(同7.1%)
・2級・・・・・・31.4%(同35.1%)
・非該当・・・・・62.1%(同57.8%)
〔眼〕
・1級・・・・・・74.3%(同72.5%)
・2級・・・・・・16.2%(同17.3%)
・非該当・・・・・9.5%(同10.3%)
〔聴覚等〕
・1級・・・・・・50.6%(同48.6%)
・2級・・・・・・39.3%(同40.1%)
・非該当・・・・・10.0%(同11.3%)
〔肢体〕
・1級・・・・・・40.2%(同42.5%)
・2級・・・・・・36.2%(同37.5%)
・非該当・・・・・23.5%(同20.0%)
※ 非該当割合が50%以上となっているのは、「呼吸器疾患」、「循環器疾患」および「血液・造血器・その他」であり、「腎疾患・肝疾患・糖尿病」を除くと、内部疾患は支給決定されにくい障害種類と言えるかもしれません。
⑵ 障害厚生年金
〔精神障害・知的障害〕
・1級・・・・・・2.1%(前年度2.4%)
・2級・・・・・・35.5%(同44.8%)
・3級・・・・・・55.9%(同48.5%)
・手当金・・・・・0.0%(同0.0%)
・非該当・・・・・6.5%(同4.3%)
〔呼吸器疾患〕
・1級・・・・・・3.0%(3.3%)
・2級・・・・・・12.5%(同13.5%)
・3級・・・・・・62.3%(同58.9%)
・手当金・・・・・0.0%(同0.0%)
・非該当・・・・・22.2%(同24.3%)
〔循環器疾患〕
・1級・・・・・・0.9%(同0.8%)
・2級・・・・・・5.8%(同6.2%)
・3級・・・・・・87.4%(同87.5%)
・手当金・・・・・0.0%(同0.0%)
・非該当・・・・・5.8%(同5.5%)
〔腎疾患・肝疾患・糖尿病〕
・1級・・・・・・2.0%(同2.4%)
・2級・・・・・・71.7%(同76.0%)
・3級・・・・・・17.1%(同15.8%)
・手当金・・・・・0.0%(0.0%)
・非該当・・・・・9.2%(5.9%)
〔血液・造血器・その他〕
・1級・・・・・・3.1%(同2.9%)
・2級・・・・・・14.3%(同14.5%)
・3級・・・・・・60.6%(同62.5%)
・手当金・・・・・0.1%(同0.0%)
・非該当・・・・・21.9%(同20.1%)
〔眼〕
・1級・・・・・・55.4%(同55.4%)
・2級・・・・・・16.2%(同15.9%)
・3級・・・・・・20.1%(同20.8%)
・手当金・・・・・5.1%(同6.3%)
・非該当・・・・・3.3%(同1.7%)
〔聴覚等〕
・1級・・・・・・25.3%(同25.8%)
・2級・・・・・・38.7%(同37.1%)
・3級・・・・・・22.1%(同25.6%)
・手当金・・・・・9.0%(同6.8%)
・非該当・・・・・4.8%(同4.8%)
〔肢体〕
・1級・・・・・・20.8%(同21.3%)
・2級・・・・・・24.4%(同25.7%)
・3級・・・・・・48.0%(同47.4%)
・手当金・・・・・1.3%(同1.6%)
・非該当・・・・・5.6%(同4.1%)
※ 非該当割合が20%以上となっているのは、「呼吸器疾患」と「血液・造血器・その他」であり、また、前年度に比べて非該当割合が2.0ポイントを超えて上昇しているのは、「精神障害・知的障害」と「腎疾患・肝疾患・糖尿病」です。
※ 障害基礎年金では認定されにくいものの、障害厚生年金では相対的に認定されやすいのは「循環器疾患」です(「呼吸器疾患」も若干その傾向があります)。
■なお、新たに障害年金を請求しようとする方のみならず、障害年金の認定状況全般について知りたい方は、次の日本年金機構による「障害年金の認定状況について」をご覧ください。
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/tenken.html
≪プラス一言≫
健康保険法の立法化審議の過程において、大正10年12月16日、第1回労働保険調査会の席上で、当時の農商務省工務局長は、健康保険法が制定された暁には、「廃疾保険」を実施する用意があることを明らかにしています。すなわち、現在の表現でいえば、「障害年金保険」を実施する用意があるということですね。
当時は、負傷、疾病の延長として「廃疾(障害)」があると考えられていましたので、負傷又は疾病が180日(健康保険による給付期間)を超えても治らない場合において、長期給付としての「廃疾(障害)年金保険」を考えていたようです。
そして、それならば「老齢(養老)年金保険」をも含めて制定したらよいではないか、という意見が出てくるのは当然と言えるかもしれません。
ん? 遺族年金が出てこない?
そうですね。諸外国の公的年金制度を調べてみても、「遺族年金」が登場するのは遅いですし、公的年金制度以外の制度(民間の生命保険等)で処理することも少なくありません。