元社労士受験生だったという中村洋介さん(仮名)は、56歳(当時)で「初診日」を有し、障害基礎年金を請求したいというのですが、肝心の「保険料納付要件」が曖昧です。
実務的には「直近1年要件」から確認するのが普通ですが、わずか1か月分だけ未納があるため認められません。本人は、たまたま忙しくて未納にしてしまったというのですが…。
[注] 令和7年6月13日に可決・成立し、令和7年6月20日に公布された年金制度改革法(正式な題名は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」)により、「直近1年要件」の終了期限が10年間延長され、「初診日が令和18年4月1日前にあるとき」と改正されました。ただし、初診日において65歳以上である者については、直近1年要件は使えません。
※ 未納の国民年金保険料は、消滅時効により、2年前まで遡って納付することはできますが、初診日以後に国民年金保険料を納付したとしても、障害基礎年金に係る「保険料納付要件」は満たせません。
ですから、次に「3分の2要件」を満たすかどうかを確認することにしました。
中村さんは、ご自分の「ねんきんネット」で確認されていたようで、恥ずかしながら「3分の2要件」に少しだけ足りないと言うのです。
う~ん、これではもはやどうしようもありません。「会社勤務をして厚生年金被保険者になっていた期間は国民年金の “保険料納付済期間” になることをチェックしましたか?」と確認したのですが、確認したとのことです。
まあ、社労士試験の勉強をしているので、本人も無理なことは分かっていて、愚痴というのか後悔というのか、そんなこととして話してくれていたのだと思います。
その数週間後、国民年金法で「合算対象期間」の講義をし終わったとき、ふと思ったのです。
待てよ、初診日に56歳(当時)だったということは、平成3年3月31日以前におそらく大学生だったはずだ。当時、国民年金に任意加入していた学生は1%程度しかいないので、国民年金に任意加入していなかったんじゃなかろうか。
平成3年3月31日以前にずっと「昼間学生」だったとすれば、20歳以上になっても浪人を続けていたり、あるいは中退等をしていない限り、20歳に達した日の属する月から大学を卒業する月までの期間は「合算対象期間」に該当します。
昼間学生の時代の「合算対象期間」については、本人自身が「卒業証明書等」を入手して、合算対象期間が数年間あることを証明し、年金事務所で「3分の2要件」を満たすことを確認してもらえばよいわけです(障害基礎年金が認定されるか否かは別問題です)。
「合算対象期間は除いて「3分の2要件」を算定してよいこと」を中村さんに確認したかったのですが、残念ながら、その後、中村さんに会うことはありませんでした。
1回中村さんと話をした時点で気づいていればよかったのですが(本当に「3分の2要件」を満たしていなかったのかどうかを確認できないままですので)、年金の勉強をしている皆さんは、合算対象期間の存在を証明することにより、自分の身を助ける場合があることを知っていただければ幸いです。