中国ドラマ「恋する星の王子様」とBL愛溢れるタイドラマ「The Shipper」 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

最近、偏頭痛が取れず、辛い気分に苛まれています。
何にも手が付かない... そんな合間に、シンプルなドラマは観易いだけで無く、清々しく心を洗ってくれます。

中国ドラマ「恋する星の王子様」全36話、現在19話。
赤語(チー・ユー)は北斗星から来て、地球の気の縺れを直す"天星師"としての任を受けています。彼は人の運命を司る星図を見ながら、彼等に関わり、縺れを解く。
赤語は戦乱の世で女性の将軍、姞婉(チーワン)と出会います。彼女こそが、縺れの中心でしたが、赤語は彼女に心惹かれてしまいます。そして、彼女に振り掛かる非情な運命を変えようとします。
しかし、同じく赤語に心惹かれていた姞婉は、その身を投げ出し、三本の矢を背に受けて命を落としてしまいます。
3000年の後。人間界の摂理に介入した罪を背負いながら、赤語は再び地球に降り立ちます。


本作。初見、ちょっと古臭い印象を感じました。何と無く、精細に欠く映像、洗練さに欠く役者たち、印象に弱いオープニングクレジット...また第一話は情報不足な為か、話が気持ち良く伝わってきません。
それに出て来るキャラクターがみんな気取っているか騒いでいるか、愛らしくない!
そう思っていましたが、まるでアーサー王伝説のマーリンのごとく現れた古風な出で立ちの赤語が画面を闊歩する度に、まさに花が舞い散るかの如く、目を惹くのです。
赤語君が素敵なんです。
更にキャラクターの立ち位置が分かってくると先の展開を予想し易いくらい実はシンプルだったと気付き、瞬く間に入り込んでしまいました。気持ち良いくらい予想と期待に応えてくれて、またたっぷり時間を使って膨らませてくれます。
話は非常に王道。タイムスリップ映画のセオリーを、設定だけ宇宙人にすげ替えた感じです。実際、時代の錯誤は有り、そのギャップコメディが非常に効いています。
何しろ、その宇宙人、赤語が非常に可愛らしく、魅力に溢れていました。彼、画体は良いし、澄まし顔はカッコいいし、いざと言う時は勇ましくもある。もう文句無しです。

序盤は彼が巻き起こすギャップが、非常に愛らしく楽しませてくれます。
序盤、姞婉の生まれ変わりだと思われる漫画家、林浩樹(リンハオシュー)との触れ合い?も非常にベタな笑いを振り撒いています。
彼、「あなたの漫画のファンだから」として執拗に寄って来る赤語を、同性愛者だと勘違いし、必死で避けて逃げ回ります。それでも高級ホテルなんかを用意されると飛び付いて行ったりと、軽い性格が、いい感じで笑いを振り撒きました。
しかし、そんな彼、実は悩みを抱えていて、住みかは親戚の家に居候。それも追い出されてしまいます。また、幼馴染みの文素汐(ウェンスーシー)に片想いするも、30に成るのに未だに告白出来ず。実は彼のヒット漫画「次の駅は未知」は自分のそんな"焦れた人生"を漫画にしたものでした。
... 以前、映画「次の駅は天后」と言う作品が有りましたが、このフレーズは中国の古典か何かから取られているのでしょうか?この映画、非常に愛らしいロマコメ映画で、お薦めです。観る機会が有れば。

そんな彼に赤語が出会うまでには、実はちょっとした出来事がありました。
赤語が地球に降り立った時、彼は車に轢かれてしまいます。
運転者は映画の完成披露会に急いでいた文素汐。彼女は倒れる赤語を車に詰め込んで、会場に駆け付けます。

披露会は程無く終わりますが、ライバルの蔡舒萌(ツァイシューモン)によって駐車場で赤語をトランクから出そうとする姿を、監視カメラからリーク、ネットで騒動のネタにされてしまいます。
しかし、それも話題作りに良いと社長は判断。すると蔡舒萌はどうにか潰せないかと更なる画策をし始めます。
また、社長であり文素汐の恩師である唐懋(タンマオ)は、文素汐への好意を露にし始め、文素汐はどうして良いものか悩み始めます。彼女にとって唐懋はあくまで恩師であり社長、恋や愛を語る相手とは違うように感じていました。

そこに再び現れた赤語。彼は林浩樹に付きまとう怪しいファンですが、文素汐からしたら、彼は厄みたいなものでした。
何とか関わらないでいられないものかと思っていましたが、例のネットの騒ぎがなかなか収まらない為、会見で赤語に関係無いと言うことを話して貰うことにしました。
彼は承諾。そして不器用ながらも会見をこなしますが、ふとした時、赤語は文素汐の肩に三つの矢傷のような痣を見付けてしまいます。
これは姞婉の矢傷と酷似し過ぎている!
彼は、星図を管理し、天星師たちを束ねる"館長"の元へ行き、確認すると、実は姞婉の生まれ変わりは文素汐だったことが分かります。

文素汐が姞婉なら、彼女こそが縺れが起こす、三度の災厄を乗り越えねばならない。赤語は全勢力を注ぎ込んで、彼女を守るために覚悟を決めます。
しかし、蔡舒萌は執拗に文素汐の仕事を妨害し、彼女を会社から追い出してしまいます。また、社長の唐懋は、文素汐を追い出す為の裏工作に加担、それなのに、文素汐を我が物にしようとアプローチを重ねます。
... この理由が未だに分かりません。愛なの?別な思惑?... う~ん...

赤語は、唐懋と蔡舒萌こそ、文素汐の災厄だと確信し、遠ざけようと奮闘しますが、なかなか思うようには行きません。
思わず吐いた文素汐から離れない為の言い訳「役者に成りたい」との言葉から、文素汐が設立した映画制作の新会社に役者として所属することに成ります。

その頃、文素汐は頻繁に赤語と一緒に居る夢を見るように成っていました。彼女はいつの間にか赤語を気にかけるように成り、彼と一緒に居ると幸せを感じるように成り、そして... もしかしたら...愛情... も?
そんな時、かつて文素汐が共に暮らし、夢を共有した、人気女優ドーラが、世間から弾かれ、誰も寄り付かない文素汐に関わるように成ります。彼女は映画への参加も承諾。
そして彼女は言います。
「私は赤語が好き」

そうしてドーラを絡め、三角関係に成りながら、映画制作が始まります。
実はドーラは、まだ力の無い文素汐が、有名プロデューサーの元に居た方が彼女の為になると送り出した過去がありました。その為、ドーラは、何かある度に文素汐に
「また私を捨てるの」
そんなキツい言い方で避難する事があります。
おそらくドーラは、芸能で成功するより、どんなに駄目でも、文素汐と一緒に、夢を見ながら映画作りをして居たかったんだと思います。
売れっ子にはしてくれたけれど、充実は無く、楽しくもない今の生活に、飽き飽きしているのだと思います。

でも、赤語の想いは、揺らぐことは無く、また文素汐も彼への想いを強めていきます。
...でもドーラ、執着はしないんじゃないかなあ... 前述、ドーラが本当に求めているのは、文素汐との"あの頃"だと思うから...

この作品では幾つもの縁が交錯します。
赤語と文素汐。唐懋と蔡舒萌。林浩樹と彼の絵画の生徒、王小謎(ワンシャオミー)、
ドーラと役者仲間の胡東凱(フードンカイ)、其々がまた絡み、関係を複雑にしています。
そして、もうひとりの"天星師"、花也橙(ホワイエチョン)が、赤語と共に、運命の縺れを修正し、糸を"あるかたち"へと導きます。
誰が誰と結ばれるのか?それも楽しみです。
赤語は「いつかの終わり」、「別れるための現在」との認識を持っているようなので、最後に行き着くのは、ちょっと悲しげなのかな?と思いますが、中盤に突如現れた花也橙が何を知っていて、何を目論んでいるのかがオチへの鍵と成りそうな気がしています。
また、行方不明の館長や、序盤からまだまだ明らかに成らず、これから再燃する、文素汐を追い出す切っ掛けとなった蔡舒萌による映像流出事件、それらが後半の展開の難所と成るのだと思います。
社長の唐懋も姑息な手で赤語を追い込んで来ますし、蔡舒萌もまだまだ手を止めはしないでしょう。文素汐を諦められない林浩樹も不安要素ながら、ささやかに林浩樹の幸せは願いたいとは思います。
はあ...面白いです。

唯一の残念は、多くの役者に、煌めくほどの魅力に欠くことでしょうか。社長、唐懋、ライバル、蔡舒萌...ヒロイン、文素汐でさえ、序盤はいまいち魅力を感じません。
また星錠など、特有の理や、役割が分かり辛かったりするのも、没入を遅らせます。

文素汐。序盤は人を疑い、見下し、文句ばかり。誰かのミスも自分のミスもみんな赤語のせい。さすがに好感度が最悪でした。
が。蔡舒萌が行動を起こし始める件りから、話が方向を持ち始めます。
また、過去の因果が露に成ってくると、赤語もボケ度が減り、非常にイケメン要素が満ちてきます。呼応するように文素汐も途端に女の顔を見せ始めて愛らしく成ってきます。嫉妬は勿論、勘違いでキリキリする様さえ、愛らしく見えてくるものだから不思議でした。
また、困難が次々と彼女を苛むので、結構、可哀想で、そんな彼女を赤語が救う展開は非常に爽快、キラキラと星が舞いそうなほどのメローに、ホッと胸を撫で下ろさずには居られません。

まだまだ色々、有りそうです。


それから。タイドラマ「The Shipper」を観始めました。まだ3話。
パンとソーダはBL好きな健康優良?少女。ふたりは学園のイケメン、ウェイとキムを題材に妄想的BL小説を書き綴る毎日を満喫していました。
ある日、ウェイとキムが喧嘩騒ぎを起こしてしまいます。そして、監察処分中だったウェイは退学処分に。
パンは、その喧嘩の原因が実は自分達の書いたBL小説だったと知ります。
パンはキムに、ことの真相を話し、謝罪しますが、キムは何も言わず、パンをバイクで家に送ってくれます。
優しいキムに惚れ惚れするパンでしたが、気付くと、死の天使と名乗る何者かの前に居ました。彼女は言います。
「あなたたちは死んだのよ」
実は犬を巻き込む事故でふたりは命を落とし、ふたりと犬一匹は成仏することに成っていました。しかし、実はふたりは死んでいなかった事が判明。死の天使はミスを認め、ふたりを現世へ戻します。
パンは病室で目を覚まし、安心したのも束の間、あれ?私、キム先輩に成ってる!

「Shipper」とは、世界的に言う、腐女子のことです。Ship、"繋げること"から由来する、キャラを結び付けて愛する、妄想オタク?
そんなスラングのようです。
で。本作。
正直、第一話は非常に危うかったです。
あまりに軽薄な演じと撮り具合に、さすがに第一話で挫けるかと思いました。
が。パンがキム先輩の元に謝りに行く辺りから、トーンが非常に切なくも愛らしく成り、一気に映画の色が変わります。
まあ、ボケで閉める軽薄具合では有りますし、死の天使を演じたトランスジェンダーのジェニーによるタイ風ジョークは若干、空回り気味。
ですが、不思議と安心感が満ちてきました。
... これ、タイドラマ「2gether」、それも「Still 2gether」を観た人なら大丈夫。
死の天使。あの、"伝説のお方"を演じたジェニーです。
ついでにYou Tubeでタイのバラエティーを観ているなら、耐性バッチリな筈。もう、ジェニーの向こうにBright Winが見えてきます。:p 
...すみません、分からない人はさっぱりですネ...

「恋する星の王子様」はベタなタイムスリップセオリーを楽しめましたが、こちらは男女入れ替わりのベタセオリーを"楽しむ"ことに成ります。そう、"楽しい"です。
男女入れ替わりと聞いて、想像するまんまのベタセオリーを繰り広げ、期待どおりに笑わせてくれました。
しかしこの手の過去作に比べ、パンがキム先輩の現実をさっぱり知らない、それだけでなく、妄想は豊かでも真実の男性世界をさっぱり知らないことが非常に良く話に盛り込まれていて、妄想と現実の違いや、"入れ替わったら、ついしてしまう体確認"や... 故のトラブルを次々積み重ねます。
突っ込みどころもたくさん有りますが、気にさせない程、テンポが良いので、転がされるまま楽しめました。

キム先輩が入ったパンは昏睡状態のままなので、物語はパンが入ったキム先輩が織り成します。
結構なハチャメチャに成るかと思いき、意外とパンは純情ですし、また、キムでは無いとバレてはいけません!バレたら殺します!と死の天使が脅迫、見張り(覗き?)有りなので、そのあたりの危ういサスペンスも楽しみのひとつです。
しかし、パンの級友ケートが実はキム先輩の弟だった上、兄の異常を疑い始め、それが良い緊張感を煽り、更なる息も尽かせぬ展開に引き込みます。
また、ちょっとツンツンしたイケ女ピンピンは、ウェイの彼女なのですが、実は性格が良いみたい... と思わせて、パンの親友ソーダを苛めるような裏の顔があったり、キムは実は先生と交際中?!なんて意外な真実が明らかに成って!
そんな、ベタな?学園ドラマの要素も見所のひとつです。

ウェイを演じたフルーク君は程好いイケメン。ちょっと悪ガキ風ながら、実は非常に誠実であることも好感度抜群です。
キムを演じたファースト君。序盤こそ知性派のイケメンですが、パンが乗り移ってからは顔面崩壊するほど、コメディ体質に。驚くとあげる「オイ」の悲鳴版のような奇声が、出る度に爆笑です。
パンを演じたブリッキンは、くしゃくしゃ髪で他のタイドラマでもよく目につく子です。今までは演技が冴えない印象でしたが、今作は非常に人間くさいながらも愛らしいコメディエンヌぶりを披露しています。

まあ、確実にキムに成った時のファースト君の演技混みですが。

他にケートを演じたオーム君も良い味を出しています。彼、タイドラマ「Who are you」で、主人公を助ける日陰者、ガンに立ち位置が近く、ガンと同様に、この作品の鍵と成るかと思います。次回予告からすると、ちょっと危ない性格(生活?)も見え隠れしていますが、おそらく、物語はこの子まわりで閉められるかと思います。
あくまで予想ですが。

パンの親友ソーダ、ウェイの彼女ピンピン、またアンカナ先生まで絡み、物語は意外な展開も見せそうな気配。
話によると、この前半の笑いの渦も、後半には一転するなんてことも聞いています。
泣ける?!ハンカチ必須?!

BLが題材では有りますが、おそらくBLでは有りません。ですが、きっとBL好きの、その"BL好き心"を刺激し、共感を呼ぶ作品で有ることは確かだと思います。
学園の苛めや教育の問題もちらほら見せながら、あくまで明るく、おそらく最後には切ないドラマを楽しませてくれる筈です。
もう次回が楽しみでなりません。


☆秋めいて来ました。秋はやっぱり切ない季節です。メローが非常に胸に染み込みます。
そう言いながら、笑いはやっぱり無敵ですね~。.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.
コロナ禍を吹き飛ばす最高の作品との出会いを楽しみに、新しいドラマや映画を探す毎日です。