先代の理に抗う若者たちの愛を描く。「2人はスパイシー&デリシャス」と「お嬢様、飄々拳」 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

只今、台風接近中。二年前を思い出すと、ちょっと怖いです。
家でおとなしくしていた方が良いので、ドラマを観ましょ。
... (。-ω-)

中国ドラマ「2人はスパイシー&デリシャス」全24話。
グー・シェンナンは紫荊(ズージン)ホテルの見習いシェフ。こまづかいばかりの毎日に不満たらたら。しかし今日はホテル買収の為に正虹(ジョンホン)グループの社長、ルー・ジンが来訪する。騒ぎは御法度。
しかし、配線がショートし火事が発生。そこにルー・ジンが現れ、騒ぎを穏便に沈めようと奮闘していたシェンナンを気にせず、彼はスプリンクラーを作動させて強引に事態を沈めます。
ジンは淡々と買収を進める筈でしたが、ホテルの経営状態は最悪、更に食事も最悪。しかしその中で、シンプルな炒飯の味に心惹かれてしまいます。ジンは顔を見せないシェフに挑戦を挑みますが、出てくる料理はどれも逸品。
その間にもジンとシェンナンは悪縁重ねますが、実はシェフの正体がシェンナンだと知り...

本作は金城武主演の映画「恋するシェフの最強レシピ」のテレビドラマ版。情報がさっぱりですが、役名も同じ、ストーリーも基本、まんまです。
私的にはオリジナルの方が、作品のテンポとグー・シェンナンのキャラクターが良かったように思います。ドラマでシェンナンを演じたチャオ・ルースーは話し方もちょっと子供っぽいので、"才"煌めく社会人役にはちょっと役不足。映画版のチョウ・ドンユイもイメージは違わないものの、やはり表現力が有ったのかも知れません。忘れられない輝きを見せていました。
ただし。やはり愛らしさと溌剌さが売りのチャオ・ルースーですから、爽快なほどにルー・ジンをやっつけ、やっつけられて、時に見せる複雑な表情、そして心のままの正直な笑顔が素敵でした。
相手役ルー・ジンも、随分、役者イメージが変わりました。元も年齢差は有ったのでしょうけれど、若々しいイメージの金城武君(彼は彼で最高でした)よりも、本作のリン・ユーシェンの方が良い感じに年の差を感じさせる点が良かったです。

このドラマ版は映画版に比べてひとつひとつのシーンが長いので、故にたくさんのエピソードが紡がれています。分かり易さや愛着は非常に高くなる反面、観なくても良いもの、感じなくても良いものが浮き上がってしまうこともあります。
始まって直ぐに友人ジャオディと遠縁の叔父、チュエンアンによって、シェンナンが振り回されます。シェンナンは望まぬ負債や不運に泣くほど悄気ているので、ずる賢いふたりに、非常に苛立ちを覚えさせられました。ジャオディのせいで(自業自得もありますが)借金を抱えることに成ったシェンナンが、トラブルに真面目に向き合おうとしているのに、彼等は寄り添う振りしてシェンナンに寄生し、更なる散財を唆すのですからやっていられません!
正直、ダメかも...と思いました。
この手の、作られた不幸と、後の仕込まれた王子様によるドラマは、概ね説得力が無いものです。
しかし。話は着実に、いえ、右往左往しながらもシェンナンとジンを巡り合わせ、シェンナンが心に湧いてきたジンへの想いに悩み始める辺りから、ジャオディとチュエンアンが非常に人間らしく、愛らしく成り、そしてどれだけシェンナンを見守っていたか、愛しているかを溢し始めます。


それは、思いに躊躇うジンの背中を押してあげる、そんな優しさとなって、ジンとシェンナンの縁を強くしていきます。
中でもチュエンアンは、ファッション関係の仕事をしているせいか、ちょっと女性的。その役割は例に違わず、善きトランスジェンダー風味。ここぞに吐き出す言葉は、諌めにも攻撃にさえも、的を得ていて素敵でした。
気付けばふたりが好きに成っていました。

ジンとシェンナン。ふたりの出会いは"最悪"から始まります。
シェンナンにはいつも親しくしている友達が居ました。彼女はシュー・ジャオディ。気の合う友達でしたが、厄介を持ち込む事も少なくない。今回も男に騙されたツケを払わされる羽目に。仕事でも鬱憤を抱えたシェンナンは、ジャオディに唆され、彼女を騙した男の車を台無しにしてやろうとします。
しかし、駐車場の番号を間違えてしまい、ルー・ジンの高級車に悪戯三昧してしまいます。
その間違いに気付いた時には、ルー・ジンに見付かってしまい、損害を弁償することに。
... 流れからするとジン優勢で、彼によるシェンナン苛めが始まるかと思いき、実際は逆になります。チャオ・ルースーはやはり悪戯っ子が似合いますし、リン・ユーシェンは意外にも?やられ役が似合いました。:p

... シェンナンのロリータ押し。ジンは言葉を失います。好みだったかは分かりませんが... 

ルー・ジンはホテルの料理が気に入り、それを作った料理人を専属にすることにします。
その料理人は、シェンナンでした。
専属シェフと成ったシェンナンは、見習いからシェフへの昇格、昇給を上司に要求し、承諾させます。
それを聞いたジャオディとシェンナンの叔父ガオ・チュエンアンは、ホテルのスイートルームでシェンナンのお祝いをすることに。
泥酔したシェンナンは、隣室に泊まっているルー・ジンにお礼を言わなくてはと、バルコニーを乗り越え、侵入。ひと騒動を起こしてしまいます。
シェフの正体がシェンナンだと知ったジンは、料理にテーマを付けて注文、シェンナンを挫けさせようとしますが、シェンナンは果敢に挑み、ジンの舌を唸らせます。
そんな時、偶然が重なり、シェンナンはジンをプールに突き落としてしまいます。
結果、シェンナンはクビ。しかしジンはシェンナンの料理が忘れられず、どの食事にも満足出来なくなっていました。
シェンナンは祖父の屋台に助けを求め、ひとまずの仕事を得ます。そこにジンが現れ、また、そこで酔っ払い客がケンカを始め、投げた酒瓶がジンに当たってしまいます。
ジンはシェンナンに借金と謝罪は料理で返すこととし、シェンナンの部屋での接待関係が始まります。しかしシェンナンは"されるがまま"には成りません。彼女はサービス料として高額な代金を請求し、瞬く間に借金は返済されて行きます。一方、ジンは、"されるがまま"に請求に応じていきます。
何故か?
ジンはもうシェンナンにぞっこんでした。
秘書のモン・シンジエはそんなジンを案じますが、彼の心配など余所に、ジンは日々を楽しみ始めます。それは今までの彼の人生に欠けていたものでした。
そんな関係も返済完了にて終わろうとしていました。
しかし、シェンナンも誰かのために料理を作ることを楽しみ始め、また、自分の料理を楽しみにするジンに対し、想いを募らせ始めていました。

↑思わぬアプローチにドキドキしてしまいます。
シェンナンは、ちょっとした事で「料理は無料にしないといけないわね」と返済完了を自ら滞らせるように成っていきます。

永遠にも続こうとしていたふたりの時間は、副社長のリー・マンが、ここ蘇海(スーハイ)に来訪した事で終わりを迎えてしまいます。
リー・マンは「仕事に戻るべき。会長も案じています」と、ジンを新たな仕事に就かせ、元の仕事人間だった彼に戻してしまいます。

しかし、ジンは仕事に空しさを感じていました。そして、シェンナンを思い、蘇海へ戻って来てしまいます。
面白くないのはリー・マン。実は、彼女はジンを敬愛するだけで無く、女として愛を抱いていました。彼女はシェンナンのことを調べ始めます。
また、シェンナンの前には幼馴染みのズーチェンが現れ、シェンナンがホテルの厨房に戻ると、彼はホテルの支配人に就任します。
更にルー・ジンの母であり、会長のジョン・ホンが来訪。シェンナンはジョン・ホンとリー・マンふたりから敵意を向けられます。
... ここで叔父、チュエンアンが魅せます。選抜試験で、あえて料理長として迎えられることに成ったシェンナンでしたが、他の古参シェフたちは反発。会長への特別な料理に悪質な意味を込めた酷い料理を忍ばせて出させてしまいます。立場を失ったシェンナンは、会長とリー・マンにこてんぱんにされてしまいます。
悲しむシェンナンを気遣ったチュエンアンとジャオディは会長の元へ。上から見下すような態度の会長とリー・マンに、チュエンアンは、非常にもっともな正論で言い負かします。
「ジョン会長、鼻息が荒いわよ」
「あなたは?」
「私はただの仕立て屋よ。名乗るほどでもない。私達は学がないの。勝手に騒いだことは謝るわ。だけど、物事には理由がある。友人は不当な扱いを受けても、騒がないでと言っていたわ。でも権力者のあなたは、証拠もないのに彼女を責めている。そして名前も知らない私をいじめるのよ。さっき言っていたわね。"社長の気持ちを推測するな"と。あなたは理解してる?息子とシェンナンの関係を?あなたが気にするのは財産のことだけ。人の思いはどうでもいい」
もう、ここでのチュエンアンの雄弁さと言ったら、衝撃的なくらい素晴らしいものでした。
この辺りから彼はシェンナンとジンにとって、非常に頼り甲斐の有る支えとなります。ドジ具合も有りますが、それを含めて非常に魅力を振り撒きます。
... 初めで挫けなくて良かった...チュエンアン、最高です。

この後、ジンとシェンナンは互いを気遣ったり、困難に立ち向かい、時に相手を忘れて思いのままに振る舞ったり、悩み、涙しながら、愛を築いて行きます。

やはり本作でも、中国らしい偏見と、過去(先代)からの因果が敵。親の因果が、子に振り掛かり、親を敬う教えとして説く"孝"が、抗えないもどかしさに子を苛みます。
また金持ちによる庶民への偏見も大きな壁となります。
韓国ドラマなどでは安易に差別として描くばかりでしたが、中国ドラマではひと味違います。乗り越え方も然り。
本作では、先のチュエンアンらの暴挙後に会長はシェンナンを「間違いだったのなら」と三人での食事に誘います。
しかし、赴いてみれば、そこは重役たちの会食。シェンナンは居辛さを感じながらも席に着きます。そしてリー・マンに促されて、シェンナンは盃を掲げ、感謝と礼を伝えますが、会長は受け取りません。
会長は言います。
「あなたが有能なシェフなら料理を味合わせて」
ジンは止めろと言いますが、シェンナンは作り手の場に向かいます。すると見計らって会長は労いの言葉を口にし、重役たちと盃を交わします。
... これ、シェンナンを同席した会食の場で"労働者"と見なし、更に乾杯の場に彼女を交えさせ無かった... 
見下したんですよね。
この時、ジンは非常に辛い顔をしています。そしてシェンナンを馬鹿にするように振る舞うリー・マンにジンはけしかけます。
「君は料理が得意だったな。ならこっちに来ればいい」
当然、リー・マンは行きません。
しかし、シェンナンは思い知り、涙ながらに場から逃げ出します。ジンは躊躇わず、彼女を追います。
シェンナンはタクシーに飛び乗り、去ってしまいます。
... リー・マン。まだまだ、のさばりますが、ここで確信したのは、完全なる負け。勝負に負けたのではなく、自ら、"負け道"に落ちてしまったんです。
何故、人は"愛するひとの為に"愛を奮えないのか?
折角の長い年月で築いた信頼と友情を、彼女は捨てたのです。
後に会長に「私はあなたが好きよ。いつまでも傍に居てね」と言われますが、彼女は何も言えません。彼女も思い知ってしまったんですよね。自らのくだらなさに。
もう二度と、今までほどにもジンは愛してくれないと言うことを。

帰路。先日の会長への料理に酷い料理を忍ばせ、クビに成ったシェフが、泥酔してシェンナンに絡んできます。勢い余った彼は、手にしていた酒瓶を振りかざし、振り下ろされたそれがシェンナンへ!しかし庇ったジンの頭に!
... 病院!と思いき、ジン、平気でした。前回は病院のベッドに居たのに...
でもふたりは仲直り。まあ...良いことにしておきます。

愛は他にも。
秘書シンジエとジャオディ。シンジエの誠意有る想いは届き、ふたりの縁は前向きに。
... 前半はつまらないボケばかりのシンジエに辟易し掛けましたが、ジャオディへの思いが深まり始めてからの彼はなかなかでした。
彼女の理想の男性像を聞いてしまい、自分を変えようとするけれど、才能が無いことに気付いてしまって... でも諦めず自分を高めようとする姿は、見直しました。
シンジエ君。ここぞの時にジャオディを守ろうと身を投げ出します。しかし、軽くやっつけられて、腰を打ってしまい... 
全く役に立ちません。でも見直しました。
また、彼と出会って心を通わせてからのジャオディは、非常に優しく成ったように感じます。若干、エキセントリック気味で、誰彼から奪い取るのを躊躇わず、誰かを踏みつけても自分が無事なら大丈夫、そんな人だったのに。

中盤からは全ての登場人物が魅力的に生き生きとして行きます。

後半は、ジンの父、ルー・ミンティンの明庭(ミンティン)グループに纏わる話が絡みます。建築業を基盤とする明庭グループは、子会社の不正などにより、資金繰りが難しくなっていました。今にも明庭グループは危機に陥ろうとしています。更に社長ミンティンは体調を崩してしまいます。
頼みの綱の息子ルー・ジェンは後継ぎに成ることに興味がありません。救えるのはジン?
しかしジェンの母は、ジンを財産を狙う奴!と毛嫌いしています。
また、ジンの母によるシェンナン排除の抗戦は非情とまでに彼女を追い詰めます...

そうして映画版を越えた、お家問題と、執拗なシェンナンへの偏見による虐げ、そしてそれを乗り越えるふたりの姿を楽しむ事となります。

現在15話。面白いです。原作も非常に素敵な映画だったので、面白さはお墨付きでした。
残念は序盤のジャオディたちの饗宴がちょっと愛らしくないことと、ジンとシェンナンの心のときめき、その瞬間がビビッドに伝わらなかったことくらいです。
あとは完璧。非常に可愛くも愛らしいラブコメでした。

... おまけで、厨房仲間のラッパ君。
「白華の姫」で、主人公の容楽と、実は片想いの痕香を逃がすために自らを犠牲にした項影を演じたガオ・グアンゾー君でした。あちらは寡黙なキャラでしたがこちらでは明るくちょっとボケ担当です。
序盤はシェンナンに味方が殆んど居ないので、非常に心強い仲間でした。ちょっと得した気分。:)


もひとつ。
中国ドラマ「お嬢様、飄々拳」
総合大学CMFUは、スポーツや芸術に秀でた者のみが在籍を許されるエリート学校。
太極拳、書画に秀でた祖父と共に育った風飄飄(フォンピャオピャオ)は、書画学部に入学した。しかし、入学早々に学生たちのアンケート調査で“尚香淑女"に選定され、注目の的に成り、落ち着かない学生生活を送ることに。
その頃、衛式太極拳の継承者であり、学生会長の衛楚(ウェイチュー)が復学しました。彼は怪我による休学でしたが、その怪我には並々ならぬ裏の事情が有りました。
ある夜。衛楚は拳道学科の談臨(ダンリン)率いる学生たちに、襲撃されます。偶然、居合わせた飄飄は見ない振りが出来ず、顔を隠して太極拳を奮い、衛楚を救います。
それからの衛楚は飄飄の太極拳の才能を見抜き、あれこれ関わろうとして来ます。
更に飄飄は、衛楚が実は凄い存在なのでは?と思い込み、衛楚を襲撃、彼は階段転落、車椅子生活に...
飄飄は「申し訳ない...」と衛楚の世話係を買って出、ふたりの寄り添い生活が始まります。初めこそ犬猿の仲だったふたりは互いを支え、理解して行く内に、心に抱き始める不可思議な感情...
しかし、そんなふたりの関係は学内で噂と成り、飄飄は嫉妬の標的に成ってしまいます。
更に飄飄の入学時の書画が実は祖父のものだった事がバレたり、留学生との友情が学内での噂を助長させたり、実は衛楚は飄飄によって怪我をしていなかった?!、新たな衛楚襲撃事件、飄飄の祖父による太極拳各門との因縁...
それらが飄飄の立場を複雑にしたり、悪くしていきます。
そして衛楚による"太極拳各門にある、掟と伝統に縛られた体制を改革し、開かれた太極拳の未来を築く"、そんな意志と共に、飄飄の直向きな態度と結果を出して行く太極拳の技が、反発していた者たちの心をも引き付けて行く。
そして太極学科に移籍した飄飄は、全国武道大会の優勝を目指して、手を取り、立ち向かう...しかし...

テーマは、変わろうとする若者たちの足掻きでしょうか。
因習に囚われた人達かり見て、変わろう、変えようとする人たちは、悪いものとして裁かれます。飄飄の祖父も、過去により良き太極拳を求めたために、太極拳各門から掟に触れたとして責められていました。
そのせいで、飄飄は、ただ愛する人と一緒にいたい、より自らを高める為の修行をしたい、そんな願いをも握り潰されようとしてしまいます。
飄飄の祖父は、掟の名の下に死刑にされるところでしたし、説得により命までは奪われませんでしたが、体力を失い、一時は命の危険も有ったそう。この法治のある現代で、そんな仕置きに「当然だ」としか口に出来ない門派は、さすがに異常です。
だから、衛楚は訴えます。変わらなければいけない...と。
また、ある一派が衛楚を狙いますが、その理由は恨み。
衛楚はその一派に誘拐され、そのために再起不能の怪我をしていたくらいでした。しかし、一派の年寄り方が語るには、その衛楚の「誘拐された」と言う言い分は全て嘘だとされ、この恨みを生んでしまった事に成っています。
おそらく誰かが嘘を吐いている。
そのせいでみなが傷付き、直接関係無い者たちまでも苦しむことに...
歪められた情報で子が苦しんだり、恨みに囚われるのは、現在のアジア関係にも通じる、あるまじきことだとつくづく思わさせられます。

若者たちは自分たちの出来ることをし、誠実に太極拳に向き合うことで、親世代に証明しようとします。
変わることの素晴らしさを。

基本、それなりに面白いです。でもどうしてもその"それなり"が取れない、もどかしさが有ります。
それなりに、ことは運ぶし、太極拳アクションも非常に魅せます。役者品質もキャラ立ても悪くない。映像も及第点...
なのに、どうしても心からの満足には至らないのです。
展開が少な過ぎるんだと思います。ひと話にふたつ何かが起これば終わり。45分で2展開も有れば充分とも言えますが、基本、キャラクターたちの演技が淡白系なので、刺激の無い30分くらいを眺め、2つに割った15分くらいの進展に目を見張る...
そんな配分が非常に勿体無い。日本のドラマのように1カット長回しは殆んど無いので、テンポそのものは悪くなく退屈はしませんが、どうも毎話、盛り上がらず、満足度が低めです。

役者を魅せようとし過ぎなのでは?
それがまた意外にも面白いとは言えないから辛い。つまらない独り善がりジョークが淡々と続きます。失笑具合のまま、ゆるり進む大極拳に纏わる因縁...話そのものは悪くないのに、やはり淡々さが長く、いまいち盛り上がらないんです。
何より致命的なのは、主人公、飄飄を演じたスン・チエン、お世辞にも演技が良くない。やる気が無いようなダラ~っとした喋り具合は、今時なのか...序盤に感じた愛着が、何度も挫けそうに成りました。
また同室の友達、蕭笑(シャオシャオ)、イマイチ魅力が無いんです。飄飄の支えにも成らず、笑いにも貢献せず、まさに"役立たず"。
実は...の展開が有るのですが、キャラクターの魅力が低く、オチが展開されても既に愛着を失ってしまっていて、どうも...
善き展開に成るのは仕方がないとして、彼女が困難に陥っても何しろ自業自得なので、結果を楽しみに観られませんでした。
また、彼女はある誤解を抱えているのですが、それはちゃんと話せばある程度は解けそうものなのですが、何しろ互いに話さないものだから話が進まない...

話さないことも含め、都合展開、それも小さないざこざで話数延命してしまっている後半に、やはりイマイチ感は否めませんでした。
また、中盤から飄飄の太極拳門派承認のこと、大会出場権に絡む拳道学科との対決、更に全国大会と、期待をたっぷり振りながら、それらがさっぱり始まらず、話数ばかりが嵩んでいきます。
やっと対決の時が来た!と思いき、それもあまりにあっさり終わってしまい、拍子抜けしました。

しかし、その合間で非常に魅せるのは太極拳アクション。これ、非常に凄いです。修行シーンですら素晴らしいです。
飄飄も頑張っていますが、衛楚の太極拳は美しいと思わせるほど綺麗で、その柔らかく流れるような動きは、観ているだけで充実した時間を楽しめます。
演じたビー・ウェンジュン君はアイドルグループ出身とのこと。さすが中国はアイドルも凄いです。ちょっとキャラクターのせいも有って淡白クールな演技はイマイチですが、毎話エンディングに流れるNG集での元気な彼の姿を見ると、淡白さは演技だったんだと知ることが出来ます。
彼、非常に明るく、からからと笑う姿が非常に愛らしいです。役に真面目な姿も素敵です。
他にも太極学科のメンバーによるアクションも非常に素晴らしく、彼等の表現するキャラクターもウィットたっぷりで魅力的でした。
イケメン観るだけなら大満足。そこに見応えある大極拳アクションも付いて来ます。

... 飄飄以外の女の子も戦います。
太極拳の"道"や、その武道に興味があるなら、それなりに満足出来るかと思います。
更に中国書画や、その哲学を背景に、非常に高尚なテーマをも浮かび上がらせ、多くの青春群像劇を超えたものを味わうことも出来るでしょう。
... エンタ的には平凡ですが... 

ちょっと気になったのは、みんな、畳部屋を土足で、ずかずか上がります。雑巾でその畳を拭いて、そのまま机を拭いてます。
中国では常識?


☆...まだ体調の悪さが回復していません。体を動かすと頭から肺までの何処かしかに、痛みに近いような不思議な圧迫感が。そんな症状に苛まれています。
なので幸せを運ぶガジュマルの木を買いました。ピムと名付けて労っています。:p

タイドラマ「ニラの復讐」のニラを演じたピムチャノック・ルーウィセートパイブーンから名付けました。
ガジュマルの木は、タイ等でよく仏像に根を巻き付けるように育っている木です。
幸せが欲しいだけでなく、ちょっとタイっぽさをうちに欲しかったので、おうちに招きました。
でも水やり具合がよく分からず、乾燥しているくらいで良いようですが、乾くと枯れるとも言うので、どのくらいを欲しているのかなあ... と眺め見守る毎日です。
今夏は鉢の花々を幾つか枯らしてしまったので、少し心配しています。