タイ、中国の、記憶を失うことが鍵となる、ふたつのドラマ。 | まりのブログ

まりのブログ

性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

先日から頭痛が酷く、籠り気味の生活が体を苛なんでいるのか... と、ちょっと繊細ぶってみたりして。
ドラマもちょっと悶えながら観ています...

中国ドラマ「白華の姫」がもうすぐ終わります。全58話。長い旅でした。
女は降り頻る雨の中、馬で何者かから逃げていた。追っ手は着実に迫り、女はその刃に倒れる。
目を覚ますと、そこは西啓の皇宮。しかし記憶が無い。私は西啓(さいけい)の皇女、容楽(ようらく)らしい。現れた兄と称する容斉(ようせい)は献身な態度で容楽を労り、彼女は記憶は無かったが、この西啓を拠り所にし始めていた。
そんな時、義母により、容楽は強制的に隣国、北臨(ほくりん)の皇子と、政略結婚をするよう求められます。
容斉は容楽を嫁がせまいと、共に逃亡を謀りますが、容斉は追っ手の猛追に傷付いてしまいます。それでも容斉は容楽を逃がそうとしますが、容楽は容斉を救うために皇宮へ戻り容斉を救います。しかし、容楽は、政略結婚を承諾せざるを得なくなります。
容楽は兄との涙の別れを経て、北臨へと旅立ちます。
北臨に辿り着いた容楽は、国の仕来たりと顔を隠して姿を見せ、婚姻を果たす相手、黎王(れいおう)こと、宗政無憂(そうせいむゆう)を待ちますが、彼は一向に現れない。ようやく現れても態度が悪く、彼は政略結婚を望まず、婚姻は半年の猶予を設けることに成ります。
容楽は軟禁されますが、知恵を使い北臨の侍女や護衛を追い出し、漫夭(まんよう)として町に出て、茶楼、攏月楼(ろうげつろう)の攏月(ろうげつ)の手引きで、茶屋の主人として二重生活を始めます。彼女は容斉から、北臨にあると言われる"山河志"を探しだす任を受けていました。
"山河志"は、取り潰しに成った秦家が関わって作られたものだと知った容楽は、秦家の生き残り沈魚(ちんぎょ)を伎楼から救い、味方に引き入れます。
そして、秦家の館に潜入する容楽でしたが、山河志は見当たりません。
そんな時、容楽は、失った記憶がフラッシュバックする事態に陥っていました。それはこの秦家での少女の姿でした...

この作品は何しろ第一話が素晴らしく、あの第一話のお陰で何があろうとも、気持ちが萎えませんでした。それだけ没入させる素晴らしい第一話でした。お兄様、容斉がね~素敵なんですよ。
それだけでは無く、後に現れる黎王による"誤解と理解"と言うプロセスが、どれだけ容楽を救っていくかと言う綴りが... 非常に魅力が有り、またそうして生まれた絆が陰謀と策謀に揉まれて、乗り越えて...そんな展開が非常に面白く、また素敵でした。
更に容楽は西啓で毒に犯されていて、そんな背負わされた重荷もまた、容楽への感情移入を手伝います。
基本、皇宮におけるドラマが綴られますが、時折、起こる戦いのシーンも非常に本格的で、「グリーンデスティニー」を凌駕する素晴らしい殺陣と見映えする武俠アクションは、圧巻でした。
更に、美しい山岳や河の風景、そこに浮かぶ竹の船...あまりに情感ある小道具ときらびやかな衣装が、その大自然に溶け込み、まばゆいばかりの麗しさで観るものを魅了します。
記憶喪失ゆえのミステリーに、謎の殺し屋たち、北臨の腐敗に立ち向かう黎王の志、新たなる傅筹なる将軍の存在。その思惑...
次々と起こる不明の展開にわくわくが止まりませんでした。

... が。
中盤。容楽の婚姻が決まります。
黎王と心を通わし始めていた容楽(黎王は漫容だと思っています)でしたが、突然に婚姻を決めることに成ってしまいます。
黎王は漫容と容楽が同一人物なのでは?と疑い始めていましたが、漫容が居るのに容楽が現れ、更に容楽は婚姻をするかを黎王に問います。
躊躇う黎王に、将軍の傅筹は「私が代わりに婚姻を」と容楽の差し出した盃を受けとります。
容楽は傅筹の元に嫁ぐことになります。実は傅筹は西啓と通じていて、この婚姻もその計画のひとつだと知らされます。
そして、黎王と容楽の関係は拗れてしまいます...

ここから容楽と傅筹の話が始まります。ふたりは共に過ごすうちに、傅筹は容楽を愛していきます。(結構、始めから惚れモードでしたが...)
ですが、傅筹君、私達が彼を知る前に容楽と黎王の恋路を邪魔する存在として出てしまった為、悲しいかな、どうしても愛せないのです。
どれだけ哀れでも、どれだけ辛い想いを吐露しても「やっぱり容楽の相手は黎王だよね」と思ってしまい、ただの邪魔者にしか見えません。
また彼の元には天仇門なる殺し屋集団が着いていて、これがまた怪しいなんの。傅筹に「憎しみを忘れさせないために」と拷問する変な組織でした。
そんな傅筹君ですが、惚れたら凄い。容楽の為に命もかけて何でもするし、恨みさえ捨てようとしたり、結構な純情男子なのでした。
が。やはりどうしても清廉潔白男の黎王が頻繁に容楽の心をその誠実さで揺らすものだから、観るこちらも一緒にくらくら... 
傅筹君は敵いません。
また厄介なのは、その傅筹君を愛する(命をも捨てる覚悟で)同じ天仇門の殺し屋、痕香(こんこう)と、傅筹が戦場で救ったことから信奉する孫雅璃(そんあり)の存在です。
痕香は容楽を殺したら傅筹は私を見るだろうか?とまで考えているし、孫雅璃は後に自らの愛を傅筹に利用され、そんな自分を「私は不幸」とヒロイン症候群振りかざし、容楽を刃突き立てて恨みます。"とばっちり"極まりない。
本作、メインの恋に関しては意外に単純で、さほど困難は無いのですが、誰かへの義理や人情が邪魔をして前を向けないと言う"焦れ"で話を延命させています。

"山河志"に関する兄への義理。
策略とは言え傅筹と結婚してしまったから...
幾つかの事態に傅筹を巻き込んでしまったから... との義理。
宗政無郁(むいく)と昭蕓(しょううん)の愛を無情に引き裂けない情...
従者、蕭煞(しょうさつ)と、その妹で医術に長けた蕭可(しょうか)に纏わる事件。
黎王の民の為に行う政治と言う大義。
そして何より黎王への愛...

それらが尊ばれ、裏切られ、時に叶い、時に引き裂かれます。たくさんの絶望や失望が渦巻き、無数の涙が零れます...
毎話、切なかったです。
が。この傅筹編が長い。どうしても愛しきれない傅筹から容楽が離れられないでいる日々は、正直、面倒臭い。
それならそれで一度、傅筹と容楽中心の展開にしてくれれば良いものの、黎王は近くに居るし、傅筹のトラブルは基本、黎王絡みなので、動けば黎王が現れて争い、容楽は割って入り、某かの話をしてしまうので、黎王と容楽はエピソードを重ねて、その度に縁が深まってしまい、悲しいかな傅筹は、嫉妬する負け男にしか成りません...さすがに可愛そう...

そんな中、目に新しいのは脇の展開。
私的には妓楼の沈魚と、殺し屋の痕香が気になって仕方がありませんでした。
如何にも正体不明っぽい沈魚は魅力的ながら、妖しさ抜群。また役者さん、目で語らないクールな演技のため、非常に本心が読み取り辛い。きっと何かある!と読んでいましたが、さっぱり。... 諦め掛けたところで、彼女、意外な行動に出ます。これは読めなかった方も多かった筈です。その真相暴きが観る私達を楽しませます。そしてまたまた良いところで再登してくれるんですよ。

沈魚。カッコいいです。再登時の肩張りの服は頂けませんでしたが、謎めいた女は美しいのです。

そして痕香。私はこの子、登場時は厄介さ100%で惹かれませんでしたが、一番、展開が淀んだ頃に、その心の内を溢し始めます。
彼女、天仇門で辛い日々を送り、また、日本映画「あずみ」よろしく、仲間を殺して生き残った者が選ばれる認定試験?の際、傅筹を身を呈して救い、代わりにその傅筹によって生き残ることを許された過去がありました。
恩義。これが痕香の最たる忠義。そしてそれは容楽に愛を傾ける傅筹に耐えられなくなり、容楽を憎んでしまうと言う女の物語を浮かび上がらせていきます。
いえ、結構な直接的。ある日、酔っぱらって痕香は容楽に因縁を吹っ掛けます。しかし、容楽も酔っぱらっていたのでふたりは揉みくちゃ。事態を危ぶんだ傅筹が駆け付けると、ふたりは抱き合って眠り込んでいました。
このシーンは非常に愛らしく、引っ張らなかったのが残念。しかし伏線が!
感動的なオチが待っていました。

左が痕香。最終的には一番好きかも。メンタル弱いんです。愛する人の心を僅かでも向かせたくて、容楽に変装したりまでしちゃいます。
「乗り越えた」と言いながら傅筹を助けたり追い掛けたりします。

男たちの戦いと葛藤と、そして涙も美しいのですが、それ以上に、女の人生が非常に悲しくも麗しい。忠義や愛のためにみんな悲しみを抱え、時に、命を落とします。
容楽への忠義ゆえに命を落とす攏月はまさに。この方、非常に忠臣で、北臨に来たばかりで心落ち着かない容楽を心身ともに支えてくれます。
沈魚もそう。彼女のする"ある行為"も、元は愛のため。
昭蕓なんて、ちょっと頭軽めなお嬢様かと思っていましたが、実は親を失い義理の親は酷い扱いをしていて、故に優しき無郁を愛した。しかしその無郁のために政略結婚を承諾し、宸国、寧千易(ねいせんい)に嫁ぎます。そこでは優しき夫に恵まれます。しかしその寧千易、天下を統べれば平和を得られると言う信念が有りましたが、皇位を得られず、気づけば目的達成が野心に代わり、危ない取り引きに乗ってしまいます。

昭蕓...不幸街道まっしぐらです。昭蕓は寧千易の悲しき顛末を経て、無郁の元に戻りますが、その頃、無郁は昭蕓無き日々を救ってくれた蕭可(しょうか)と寄り添っていました。
昭蕓はそれを理解し、王都を密やかに去ります...
孫雅璃も哀れ。人生は概ね父が用意したもの。それでも穏やかな日々を送っていたようでしたが、戦乱に巻き込まれ、傅筹に命を救われ、彼を心の支えにして生きてきました。ようやく北臨で再会したものの、傅筹は容楽を娶ってしまった。
更に父は非常に野心家で、孫雅璃を黎王に嫁がせて自らの権威を確かなものにしようと画策、更にやたらと気を利かせる皇后が「孫雅璃は黎王が好き」と勘違いして、婚姻話を進めてしまい、焦った孫雅璃は傅筹に「愛叶わぬなら、側妻でも」と乞いますが、当の傅筹は非常に純情一徹で、側妻など有り得ません。しっかりお断りされてしまいます。
世の状況は変わり、孫雅璃は切羽詰まっていたところ、傅筹が婚姻を承諾してくれます。
しかしそれは傅筹の謀の一端。またもや孫雅璃は裏切られてしまいます。
ずたぼろの孫雅璃は北臨から逃亡。故郷の南境へと戻り、そこに黎王も居を置きます。しかし、容楽同伴。彼女はふたりを支えに人生設計を始めようとしますが、父は容楽を潰し、孫雅璃と黎王を結ばせようと画策。若干、その気に成ったところで、容楽が、孫雅璃が孤独で可哀想だからと南境の将軍との縁談を勧めたいと話しているのを聞き、怒り心頭(これは当て付け)、父の策略に同調します。しかし、する事する事、失敗を続け、父は牢獄、自らは幽閉。
更に唆されて一大大ぼら大作戦で容楽を追い詰めますが、全て見抜かれていて次々、急転。更に、ある裏切り者に殺されてしまいます。
... この後、裏切り者の画策により別な問題が浮上。孫雅璃の亡骸は画面の恥で、静かに退陣させられていました...
憐れなり。陰謀の駒と化した孫雅璃の顛末... 

また容楽の侍女、泠月(れいげつ)も、師匠への愛のために非常に厄介なことをやらかしてくれます。ずっと容楽に寄り添い、容楽が追い詰められ、孤独にうちひしがれた時も傍に居ました。力にも支えにも成ってくれました。
が... 確かにその間にも何度か「?」と思われる行動があり、それは全て計算されて差し込まれていた伏線でした。

愛が失われる... そんなシーンは女の見せ場です。また失った代わりに見付ける新たなもの、それに出会えた時の女もまた見せ場です。
沈魚が愛する人を見限り、ある意味、引導を押すシーンは、堪りません。沈魚、零れ出す感情を噛み締め、しなければならない条理を胸に、愛する人の間違いを正そうとします。
そして、失います... 
痕香... 愛する人が自分に怒りをぶつけた時... 隠された真実を知った時... 彼女は目を真っ赤にして、その真実と向き合います... 
この真実とは、序盤から頻繁する失われた記憶のひとつ、秦家の少女が鍵で... 山河志の秘密まで繋がる特別な縁でした。
このふたりには泣かせて貰いました。
男たちが非常にカッコいいドラマですが、やはり女のドラマが深いです。憐れな女たち含めて、常に心を揺さぶります。

そして。
皇帝崩御。更に皇太子も命を落とします。
どちらも傅筹と天仇門による暗殺です。
黎王は南境平定の為に遠征中。北臨は摂政王として傅筹が君臨します。
そこに現れたのは傅筹の母、苻鴛(ふえん)。

実は苻鴛は死んだとされていて、傅筹の強硬かつ残酷なまでの執着の根源でありました。
しかし苻鴛は生きていました。
傅筹は苻鴛を皇宮に迎え、自らは政治と黎王討伐に精を出します。その裏で苻鴛は自らの立場を元に戻し、更に皇太后に成ろうと息子を使い、のさばります。また、水晶の棺で冷凍管理していた黎王の母の亡骸を灰にし、それを黎王の眼前で撒き散らしてしまいます。
それからも宸国と密約をしたり、天仇門を使って次々と謀略を働き、好き放題し始めます。
疑問を感じ始める傅筹。
南境では、黎王が民の為の政治を展開、支持を得ていました。
容楽は、北臨でのある絶望的な事件から、髪が白髪に成ってしまっていました。町ではそれが不安の材料に成り、如何わしい噂が飛び交っていました。また、軍営で白髪の妖女による殺害事件が発生、容楽は立場を失います。
黎王は母の亡骸の件で北臨へ攻め込む作戦を展開、国では孫雅璃による謀略で容楽は更に追い詰められます。
容楽は逃亡し、宸国へ。
宸国では、容斉、傅筹、黎王が集い、寧千易を交えて睨み合い、最後で決死の刃が火花を上げます。そして、隠されて来た裏の苻鴛による陰謀が全て白日のもとに晒されます。各々はその抱えた宿命の瑕を持ち帰り、其々がこれからすべきことを選択します。
もうひとつ。黎王との子を孕んでいる容楽は、自らを犯す毒が自らの命か子の命を奪うと知り、黎王なら子より容楽の命を救うだろうからと、皇宮を出、郊外で産む決意をしますが...
そして、復讐から始まったこの因果は彼等に最後の苦難を与えます。

非常にドラマティックでよく練られた作品でした。
伏線や複雑な関係図は見事で、また合間に描かれる幾つもの想いのドラマが素敵でした。
ただ、この作品は"記憶喪失"から始まり、分からないことが彼等の関係や状況をより複雑にしてしまうことに、非常に拘られているように思います。それは良いのですが、観るものは分からないと考えるもの。あれこれ考えているのに、一向に明かされないので、途中、どうでも良くなります。
更に、その思う"可能性"は、概ね当たりか、もう少し巧みなものを想像してしまい、明かされても驚きませんでした。また更に考え過ぎるせいで、集中力が上がったのか、幾つもの有り得ない行動や矛盾ある言動が気になってしまい、スッキリ観られないことが有りました。幾度か、解せない思いをしました。
更にカットするシーンも気になります。
痕香と容楽が酔っぱらって添い寝してしまうシーンなんて、翌朝どんな感じに成るのかを楽しみにしていたら、すっぱりカット、飛んでしまいました。
ハッと起きた痕香がこそこそ逃げて、去り際にちょっと笑ってみたりしてくれても良かったです。どうせ後の、素晴らしい伏線オチが有るんですから、しっかり伏線振ってくれて構わなかったです。
ドラマティックな陰謀と戦いのシーンは、非常に物語を盛り上げ、緊張しますが、それ以上に温かいシーン、切ないシーンが記憶に残ります。

容楽に無理を強いた容斉も、容楽からいつまでも疑いが消えませんが、時に口ごもり、時に呟き、時に陰で涙する姿は非常に切ないです。その切なさは、きっと、容楽への愛ゆえに違い有りません。
あんなに愛せなかった傅筹でさえ、ある真実が明かされてからは、可愛らしく見えてきます。
故に"戦い"、"復讐"、そんなものが無い世の中はこんなにも世界を素敵色に染めてしまうのですね、とつくづく思わされます。
数々の中国ドラマを観て、子供が輝かしいものに見える作品は無かったし、また愛ゆえに戦うことが私達の心をこんなにも揺さぶるのかと、溜め息を溢した回数は知れません。
初め「王女未央」を超える傑作の予感と書きましたが、そこまででは有りませんでした。でもちょっと不安定なB級作品としては一癖あるもので、その癖はちょっと難有れど、良き挑戦でもありました。
また、本作の最大の魅力は、ひとりの運命に揉まれた無垢な女性に、たくさんの人達が縁を持ち、気付けば、彼女の周りには彼女を守るために寄り添う者ばかり。まるで「アルスラーン戦記」のような絆の物語でした。
そして彼女が願い、得たものは、王位や成功では無く、愛なのです。



タイドラマ「Who are you」も第二話まで観ました。
ミーンとマインド。よく似たふたりの少女は互いに辛い現実を生きていました。ミーンは過去に犯した某かの罪悪感に終われ、マインドは貧しいことで虐められています。
ある日、ふたりは間接的に接触します。
そしてその日、ふたりは行方不明に。
翌日、ミーンは川で発見されます。記憶を失って...

本作も「白華の姫」同様に記憶喪失が話の鍵となります。が、こちらは誰もが一見で想像するまま。問題は記憶無いミーンが過去のミーンを知り、どうするか。
おそらく想像するまま。
...サスペンス風味も虐めが題材なのも感情を引き付けて良いのですが、本作も「白華の姫」同様にその分からないまま進む展開ゆえに想像しながら観てしまう弊害が有ります。
二話まで観て、ミーンによる学校での素行について知ることに成りましたが、それが分かったところで、今のところ特に何もしません。消極的な記憶喪失ミーンはただおろおろするばかりで二話を終えてしまいました。
何とも不甲斐ない。
元々、ミーンもマインドもその状況以外に描かれていないので、さっぱり感情移入していません。なのに緩くも着実に展開だけは進んでしまい、気持ち置いてけぼりです。
記憶喪失の描き方も、時間は掛けましたが、イマイチ中途半端。日常を描かな過ぎです。
記憶を失ったら、きっと世界の見え方が変わるかと思います。会う人全てが不安と安心を持ち込んで、少しずつ自分の居場所を理解していく。家に帰ればそこは見知らぬ場所な訳で、食事や家でのあり方全てがよそよそしくもあり、真っ白だった自分が突然誰かから愛されてたくさんのものを与えられたら...さぞ、心を整理するのが大変だと思います。
そんな感覚がさっぱり描かれません。
次にはもう学校です。
散歩でもしなさい。ご近所と触れ合ってみなさい。知らぬ家での朝はどうでした?
記憶喪失ミーン、瞬く間に、順応しちゃってます。

主人公ミーンを演じるのは「Love beyond frontier」でパットを演じたティパナリー・ウィーラワトノドム。お陰で取っつき易いのですが、もし「Love beyond frontier」を観ていなかったら、ただ感情移入出来ないだけだったかと思います。足りない描きのせいも有るのですが、残念ながら若手の甘い演技力が露に成ってしまったように感じました。
しかし代わりに、彼氏ナティ役に同じく「Love beyond frontier」「Sotus」のクリスが配され、彼が非常に爽やかで華が有り、しっかり作品を導いてくれます。
ミーンが行方不明に成り、水泳で有力ながらも力を発揮できなかったり。かつては金メダルをミーンに持ち帰っても相手にされず、悄気て見せたり。そんな一挙一動が非常に人間らしく愛らしいです。出番は控えめですが、彼のカリスマが煌めいています。
また、タイドラマは多く貧しい家を見ることが少なく、彼の家が豊かでないのは非常に良かったです。マインドも孤児です。
比べてミーンの家は豊かなので、このあたりも何らかの話のエッセンスと成りそうです。

これから、以前のミーンが犯していた虐めの問題が露に成り、記憶喪失ミーンを苛みます。
第二話の最後では、(おそらく)ミーンとその仲間たちに虐められていた子が、その為に母の宝石を持ち出していて、その母が盗難に有ったと通報、大騒動に成りました。この話は"その子がお金を作るために宝石を売っていた"と言う事で終わるかと思いき、その宝石がミーンのロッカーに入っていたと言う驚きのシーンで終わりました。
復讐?事実?校長の息子のガンが開けられないミーンのロッカーを無理に開けたりしたので、彼も絡んでる?と、"?"山積です。
ちょっと始まりに気持ちよく乗れませんでしたが、まだまだ期待は有ります。
全18話。これから明かされる真実、そして記憶喪失ミーンがする行動が、過去を清算し、気付けば真の友だらけに成っているような展開を期待しています。
ナティとの関係はどうなるのか?記憶が戻り、真実は新たなミーンに何を見せるのか。また、おそらく三角関係に成るもうひとりガンとの関係はミーンをどう追い詰め、もしくは救うのか?

原作は韓国ドラマ「恋するジェネレーション」だそうで... 
そんな題名?...イメージが違います。
随分、話が違うのかもしれません。真似せず、タイらしさをたっぷり込めた、良き綴り、良き終局に成るよう祈りながら、観ていこうと思います。


☆季節替わりに雨が多いのは、非常に疲れます。ホルモンバランスが悪いので、こう言う変化が体にずっしりのし掛かって、ぐったり...
でも先日Blu-rayで「バッド・ジーニアス」を購入。タイ映画で、実際に中国で有った、国を跨いだカンニング事件を描いた作品です。青春群像であり、スリリングなカンニングサスペンス?映画でもあり、そして教訓として、またタイのリアルを浮かび上がらせる社会派としての側面も。
駄目な人は相当駄目らしいですが、結構な良く出来た映画なのでお薦めです。