8月も終わりました。これから少しは涼しくなるでしょうか?
私、庭仕事をしていて目を擦ってしまった時、いけない... とは思っていたのですがさほどケアせず、そのせいで目がごろごろ重たいです...
目は大事です...
でも映画、ドラマは欠かせません。
ちょっと古いタイ映画ですが「七人のマッハ」2004年作品。
デューは麻薬組織撲滅のため、潜入捜査中。隊長に同行し、取引に向かいます。
しかし、ふたりを怪しく思った麻薬王ヤンに殺されそうに成り、銃撃戦に。逃走する車両とのチェイスを経て、ついにヤンを追い詰めますが、隊長は命を落としてしまいます。
失意に暮れたデューは、テコンドー選手の妹ニュイがボランティアで地方に行く事を聞き、同行することにします。
現地に向かうと貧しい村民の歓待を受け、デューは心を癒し始めます。
しかし、そこに謎の武装集団が乱入、彼等は村民を虐殺し、生き残りを集めると、タイ政府と交信「麻薬王を解放すれば、村民を解放する」と告げる。
気にしては居ましたが、闘い(スタント)の凄さより、心を掬い上げるようなシークエンスを楽しむことが好きなので、観るのを躊躇っていました。しかし、店頭で見掛けなくなったので、思い切ってBlu-rayを入手してしまいました...
この「七人のマッハ」、まさにトニー・ジャー全盛の頃の、真っ直ぐな熱波唸るアクションエンターテイメントでした。表紙を見ると「カンフーハッスル」か「少林サッカー」のようですが、笑いはさほど有りませんでした。
ストーリーは取って付けで、アクションだけを楽しめばいい!スタントの妙で魅せてやるぜ!と男たちの熱い血潮がむんむんに滾っています。ちょっと暑苦しいくらいでした。
まさに「マッハ」のノリです。
...私的には、もう少し、センチメンタルかメロー寄りの方が好みですが、小市民による、ベタな「私がやらなきゃ誰がやる!」
そんなヒロイズムが扇ります。
序盤は主人公デューと隊長による麻薬組織との戦いで始まります。
雰囲気はまさに香港映画。
頼りに成りそうな隊長は気さくなタイプ、そして若造デューはサングラスをかけて見映えから。「男たちの挽歌」っぽい?
ことが始まればふたりとも、訓練された兵士のように悪を倒していきます。いえ、まさにジャッキー・チェン。走るトラックにしがみ付き、コンテナの上で闘い、バタバタと落ちる敵たち...
もう痛々しいほどの"やられスタント"は「チョコレートガール、バッドアス」でも魅せたタイのお家芸。更に壮絶なアクションと爆発のオンパレードで麻薬王ヤンを逮捕します。しかし、ヤンが最後の足掻きで仕掛けた爆弾により、隊長は命を落としてしまいます...
心を砕いてしまうデュー。デューは戦うことの意味を見失ってしまいます。
そして妹ニュイが持ち込んだボランティアの旅に同行します。
現地は豊かではない田舎の農村。おそらく盗賊紛いのゲリラや組織が、彼らの平和を乱すことも有るのでしょう。ドラマ「千星物語」でも地方ボランティア先に武装した軍人(正確には森林警備(レンジャー)だったかと)が駐留していました。タイの"ある真の姿"ですね。ここにも、武装はしていないようですが軍人さんが駐留しています。
村人たちはボランティアを歓待し、彼らの持って来た物資を受け取ります。
ここはデューが身を置いていた戦いの渦中とは全く違い、非常に穏やかで笑顔に満ちた場所でした。デューにも笑顔が零れ始めます。
そんな時、村は武装集団に襲われます。
.... タイらしいとも言えるのかもしれませんが、ここでちょっと注意が必要なのは、描かれる残酷描写です。表現こそ控えめですが「ランボー、最後の戦場」並みに武装集団による虐殺が行われます。次々と倒れる村人たち。軍人の方も、子供たちを殺さないでくれと乞いながら、殺されてしまいます。
凄惨で、胸が痛くなります。
ですが、だからこそ引き立てられるのは、戦いの非情さや戦うことの空しさです。戦闘中でも何度も捉えられる少年僧侶...師を失い、ただ祈ることしか出来ないその姿に、暴力とは?そこに善も悪もないと、彼等はタイの紛争の歴史を携え、越えた達観を私達に見せ付けます。
銃を向かいあわせで構え、引き金が引かれると双方で撃ち合い、全滅する姿は、まさに無常。戦いは完全なる勝者が無く、ただ空しさを残してしまう。孤児や犠牲を悼むシーンに彼等の想いを浮かび上がらせます。
村は容易く制圧されてしまいます。
武装集団の目的は、麻薬王ヤンの解放です。村民はその人質なのです。
デューと、村の喧嘩っぱやい青年タブは、武装集団の手から逃れ、身を隠していましたが、タブもデューも結局は見付かってしまいます。特殊部隊も奪還作戦を行いますが、準備万端な武装集団の方が上でした。
絶体絶命。
タイ政府は、武装集団の要望を飲み、ヤンを解放します。
その中、デューはある話を聞いてしまいます。それは、核ミサイルがここに運ばれていて、武装集団はヤン救出が成功してもそれを発射すると言うことでした。
デューは考えます。答えなんて出せない... でも。デューは再び、戦う理由を思い出します。
そして、怯えきった村民たちに語り出します。
「俺たちがやらなければ、たくさんの人たちが犠牲に成る。だからやらなきゃいけない。愛する者のために、立ち上がるんだ!」
ラジオからタイ国歌が流れます。村民たちは国歌を歌います。そして、堰を切るように武装集団に飛び掛かります。
無数の村人が倒れます。でも同時に敵は散り散りに成り、彼らの統制は乱れます。
そして。
戦いの中でも、ボランティアのメンバーは村人を救うために自らの出来る限りの力を奮います。彼等はみなスポーツ選手、その能力は限界有れど、たくさんの村民を救います。
その戦いっぷりがまた素晴らしい。
サッカー、セパタクロー、体操、器械体操、テコンドーにラグビー、そしてムエタイ。
彼等のスキルを生かした...やり過ぎなほど見せ付けるアクションがシンプル過ぎる映画を非常に引き立てています。
特に体操と器械体操は素晴らしく、まさに魅せてくれます。
そんなところにバーが?いえ、物干し竿が段違い平行棒みたいに見えるだけです...
そんな感じで、真面目に見たら失笑しそうなシチュエーションもありますが、何しろあくまで真面目に演じられます。彼等は命懸けで戦っているのです。
また、主人公デューを演じたダン・チューポンによるムエタイアクションは凄い。
やっつけるだけでは有りません、相当、やられてます。でも誰かのために、自分のために、愛する人のために、叫び、目を赤らめながら戦います。そんな彼の勇姿と思いは、村民みんなの個々に火を点け、クライマックスは老若男女、全員がその拳を悪に叩き付けます。
何しろスタントが衝撃的。観ていてこちらが「痛ッ、痛たた」と悶えてしまいました。
片脚でも、ハンデなど有りません。
間違いなくB映画です。アクション編集も甘めですし、幾つか挿入カットを入れていないことで分かり辛いことも。
ある女性が倒れてしまい、そこにバイクを駆る悪漢が迫っている。その様を見たラグビー選手。次のカットではバイクに車が突進して... と成るのですが、あの車は何処から?
よく見れば、女性に気付いたラグビー選手の背後に車が有りますが、乗るシーンも「助けられるのは俺、そしてこの車!」とするカットも無く、また運転する彼の姿、降りてきて彼女を救う姿も有りません。
... 分かり辛い。
ミサイルが発射されてしまいますが、当然、デューにはコンピューターは分からず、彼はコンピューターを破壊し、ミサイルは軌道を外れます。
しかし、デューのコンピューターの破壊が非常に中途半端なので、ミサイルの軌道が逸れたのがコンピューター破壊のお陰なのか、さっぱり分かりません。
仕掛けたカメラや、「ダイハード」張りに村に爆弾が!なんてエピソードもさっぱりサスペンスに昇華させられておらず、非常に勿体無い。
また、村民のマリちゃん。
若造タブに声を掛けられて
「何処行くの~」
「トイレよ」
そんな交わしがカッコ良かったのに...
爆弾が爆発目前!なんて時に「タブがまだ村に居る、助けてあげて」と、デューにクールな表情で頼み込む...?いえ、命じているよう...
無責任な...
同じマリとして悲しくなりました。:p
まあ、デューが村に戻ったお陰で?最終決戦が魅せますし、タブ救出も映像的には見せ場?と成ります。
それでも。誰かのために。
そんなシーンは非常に涙を誘います。また、失った悲しみも、立ち向かう強さも私達の胸を震わせます。
タイ国旗を振りながら皆を鼓舞するシーンは、ベタ過ぎです。
粗い、無茶苦茶、でも見所が有り、涙も誘い、タイ人の思いをたっぷり込めた熱い映画でした。
またスタントの妙は最大の見せ物です。人間は無限の可能性を持っている、そう感じさせる逞しきスタントから美しいスポーツスタントまで、堪能できる筈です。
わがまま言うなら、もっと見たかったです。村人全員、ムエタイ出来るくらいでも良かったです。
タイ好きには、舞台が田舎中心なので映像満足は控えめ。ただ、衝撃の歌詞のタイ国歌や、懐メロ風の歌謡曲?がタイ風情を煽ります。
「ニラの復讐」でも流れる"懐かしソング"っぽくて、味わいを感じました。
私の中のタイの血が疼きます。:p
Blu-rayは、ディスクとしてはさすがに2004年映画ですし、画の精細感はBlu-ray並みでも、粒子が粗い箇所が多々、有りました。暗いシーンもそう多くないので、安価なDVDでも良かったかなあ...
その裏で中国ドラマ「明蘭、才媛の春」が盛り上がってしまってどうしようもありません。
とうとう明蘭の亡き母に起こったことが明らかに成りました。
母の腹の子の育ちが良かった為に、医師は盛家側室の林噙霜(りんきんそう)に、滋養を控え、運動させるようにと伝えたそうです。
しかし、林噙霜は侍女を通し、滋養を取り、静養するようにと明蘭の母に促します。
そして母は育ち過ぎた腹の子ともども、難産の末、命を落としてしまいます。
明蘭の叔母と、かつての母付きの侍女、小蝶は、その医師を見付け出します。医師は初めこそ覚えてはいませんでしたが、その日、明蘭の叔父の顧廷燁(こていよう)が、賊に襲われて行方不明に成って騒ぎに成っていたことを思い出すと、全てを思い出します。
真実を聞かされた明蘭は、時間を掛けて状況を見定め、林噙霜の娘であり明蘭の姉、墨蘭が伯爵家の息子、呉梁晗(ごりょうかん)との婚姻を計り、合瀬の場を作り、通い続けている事を知ります。
明蘭は盛家正妻の王若弗(おうじゃくふつ)に寺参りを勧め、そこで"偶然にも"王若弗は怪しい墨蘭の侍女を見掛けます。調べてみるとそれは侍女に化けた墨蘭本人でした。またそこに呉梁晗が現れます。
「盛家の面目に関わる」と王若弗は奔走、主の盛紘(せいこう)はパニックに。そして盛紘は合瀬の現場を押さえ、墨蘭は立場を失います。
怒り狂う盛紘でしたが、林噙霜はただでは挫けません。街に噂を流し、伯爵家の息子と墨蘭が婚姻しなければ、盛家の娘は恥知らずとされ、如蘭と明蘭も巻き込まれると脅します。
幻滅した盛紘は林噙霜を幽閉。代わりに祖母の力を借りて、墨蘭の婚姻が決まります。
墨蘭は地位を手に入れ、洋々と嫁ぎますが、実は、墨蘭の婚姻は側妻が妊娠してしまった為に、その子が生まれる前に正妻を持てば面目が立つと考えた伯爵家の防御策でも有りました。伯爵家は「ぜひ明蘭を」と願っていたので、政略の駒にされたくなかった明蘭はホッとします。
... この側室の子供、生まれる時に育ち過ぎで難産だったと明蘭は聞かされます... 当然の「まさか!」です。
... 一見、平凡陳腐な話のようですが、裏はどろどろです。人の醜い思いが犇めき、涙する者も居れば、高笑いする者も。しかし多く悪徳を抱くものは、粛清されます。
そこも「明蘭」の魅力です。
明蘭は幽閉される林噙霜に同行し、そこで林噙霜を脅します。さほど話しませんでしたが、見据えてくる明蘭に、悪事がばれたのか?!と怯え切った林噙霜は、自ら全てを認めてしまいます。そして、しばらくの後、林噙霜は、病に命を落としてしまいます。
明蘭は、密やかに、復讐を果たしました。
その裏で、もうひとつのドラマが有りました。
それは、明蘭を心から愛し、また明蘭も心から愛していた斉家の若様、斉衡(せいこう)の話です。
彼は母、平寧郡主にその明蘭との愛を強硬に反対されていました。そんな時、明蘭と隠れて会った斉衡に「恥をかいた」と平寧郡主は斉衡の幼い頃からの従者を杖刑(木の棒で容赦無く尻、もしくは背中を叩きます)で罰します。斉衡は止めるように乞いますが、そのまま従者は撲殺されてしまいます。
怒りと絶望のまま、家を捨てる勢いの斉衡でしたが、この母の反対の裏には、斉衡を好いていた邕王(ようおう)の娘、嘉成県主(かせいけんしゅ)の、その母、邕王妃による謀がある事を知らされます。更に邕王妃は明蘭をだしにして斉衡を脅します。
「あなたが娘と婚姻を為せば、盛家は安泰。でなければ何が起こるか分からない」
... ひとつの愛が終わりました...
新たなる章が始まります。
顧廷燁は軍に属しながら数々の功績を上げていました。そこで皇帝の血縁、趙策英(ちょうさくえい)と沈将軍に寄り添います。
ある日、暗殺者が現れ、危機の趙策英の父、趙宗全(ちょうそうぜん)を顧廷燁は救います。捕らえられた暗殺者は、首謀者は兗王(えんおう)だと口を割ります。
兗王も皇帝の血縁で、有力な後継ぎのひとりでした。
その頃、王都では栄貴妃による持て成しで、各爵家の夫人たちが集められていました。
すると後宮で怪しい動きが。
栄貴妃は言います。
「あなたたちは人質」
それは、兗王による謀反、帝位簒奪です。
栄貴妃と兗王は、後宮にて邕王と邕王妃とその娘、嘉成県主を殺します。
実は嘉成県主が斉衡を欲しがった際、邕王妃は、同じく斉衡と縁の有った兗王の娘を誘拐し、脅迫、その娘は放たれた後に、自害してしまうと言う事件が有りました。
栄貴妃は斉衡の母、平寧郡主をも捕らえ「お前たちのせいだ」と惨状を前に高笑い、怯えきった平寧郡主は気を違えてしまいます。
謀反軍はそのまま、皇宮に進撃します。
その頃、顧廷燁は、趙宗全を守るために都へ移動していました。
またその頃、明蘭は、忙しい仕事で皇宮に泊まり込んでいた父と兄を見舞っていて居ました。そこで謀反が起こったのを知り、皆、慌てます。思案してみてもどうする事も出来ず、また逃げ道もない。
しかし「明蘭なら」と、ひとり、犬用の狭い通路を抜けて脱出を計ります。途中、皇帝による"帝位を譲渡する"旨が書かれた密詔と、兵符を承った侍女と会い、ふたりで禹州の趙氏に密詔を届けることに成ります。
しかし、途中、侍女は傷付き倒れ、明蘭は密詔を託され、必死で逃げます。
追っ手は明蘭を追い詰め、絶体絶命!
そんな時、矢が明蘭を掠め、追っ手を倒します。
顧廷燁でした。
明蘭は泣きじゃくりながらも、使命を果たさねばと、急ぎます。
「禹州へ行かなくてはいけない、皇帝の密詔を趙氏に届けなくてはいけないの」
「彼なら、そこにいるが...」
...「明蘭」らしいジョークです。
明蘭から、皇帝からの密詔と、軍隊を動かせる印章である兵符を受け取った趙宗全でしたが「私は嫌だ。望むのは穏やかな日々」と尻込みます。しかし、趙策英が「兗王は私達をみな殺しに来る筈。私の家族をお守りください」と頭を下げると、ようやく決意を固め、一団は都へ向かいます。
当然、門は固く閉ざされていましたが、顧廷燁は「兗王の命令だ」と嘘ぶき、まだ情報伝達が甘かったのか「それならば」と門は開かれ、顧廷燁らは難所を容易く突破、更に瞬く間に兗王を撃破し、皇帝を救い出します。
皇帝は趙宗全に帝位を委譲し、そして時短くして人生を終えます。
... 「明蘭」とは思えないほど壮絶で緊張感に溢れる"急転"でした。血と死に溢れます。
こう言うシーンでの、主を守ろうと武器も持たずに盾に成る"仕え人"の姿は、いつも感動させられます。名前も無く、顔もろくに見えず、ただ主を裏切らない一心で倒れる彼らに、哀れを感じさせられます。
しかし、こんな壮絶なシーンさえも笑えてしまうのが、さすが「明蘭」です。門突破は勿論、兗王の呆気ない撃破も、清々しいほどの憐れです。
そうして、顧廷燁は大出世。彼は顧家に戻り、口篭る家族を前に堂々と振る舞います。
かつて顧廷燁の家族は、自らの利益の為に顧廷燁の悪い噂を撒き散らし、立場を失わせ、騙して追い出したのでした。
顧廷燁は、顧家に隣接する館を皇帝から賜り、家を守るためには妻が必要!と、盛家に婚姻の申し込みをします。
しかしそれを受けた長女、如蘭(じょらん)は「顧廷燁は怖い」と拒絶します。
文人の家に育った娘には、武人の顧廷燁は荒々しく思えたようです。また、その頃、如蘭は、父が以前、墨蘭を嫁がせようとして文人を紹介していて、その中のひとり、文炎敬(ぶんえんけい)に心惹かれていました。
丁度、その頃、明蘭も懇意にしていた医師、賀弘文(がこうぶん)に未来を委ねる覚悟をしていました。しかし、彼には彼を慕う女性が居ました。それも従姉妹。また彼の病床の母はその子を守るように頼み、側妻として置いてあげて欲しいと乞います。彼女の姉の娘だからです。
... この母の姉、態度最悪です。「助けて」と乞いながら、嫌み、脅迫までして来ます。また娘ともども泣きで媚びるので、非常にキツいです。中国歴史ドラマを観る時は、泣きで媚びる女への苛立ちに耐える覚悟が必要です。
本作では墨蘭、林噙霜がまさにそれ。
ぜひ明蘭には「お断りです!」と抗って欲しいと願っていましたが、会合時には見栄を切ったものの、帰宅してからは「憐れだ」と受け入れようと考え始めます。
が。思わぬところから真相が伝えられます。
実は顧廷燁は以前、明蘭が祖母と賊に襲われた時から、妻にするならぜひ明蘭をと考えていたそうで、身辺調査を繰り返し、賀弘文の周りの事情まで調べ上げていました。
今回起こったことの裏には、その全てに顧廷燁が関わって居ました。賀弘文は勿論、その従姉妹が現れたこと、そして如蘭までも彼の策に踊らされ、その隠してきた事情を晒してしまったのでした。駒が脱落し、残されたのは、相手の居ない明蘭だけ。顧廷燁はここぞと明蘭に婚姻を求めます。
そんな謀を、手柄のように語る顧廷燁。
明蘭は呆れてしまいます。
しかし、明蘭は吹っ切れたように気持ちが楽に成ります。
後日、皇后主宰の馬球大会が執り行われます。当然、顧廷燁がお願いしたこと。
明蘭は逃げ出そうとしますが、顧廷燁を前にすると敵意も薄れ、彼の慕う気持ちと正直な言葉に抗う気は起きません。
「嫌なら帰れ」
「何を言うの?勝たなくちゃ。褒美を貰えるのよ」
ふたりは馬に跨がり、馬球を共にします。
またこの裏で、もうひとつのドラマが有りました。先の謀反で妻を亡くした斉衡は、顧廷燁が明蘭を娶ると聞き、愕然とします。
彼は顧廷燁を呼び出し、文句を言います。
顧廷燁はそんな斉衡に「ここぞの時に逃げ出したからいけない。あの時、明蘭に挑む気持ちが有ったのなら、何だって出来た筈だ。そうしたなら、俺は命がけでお前の婚姻に力を貸した」
斉衡は何も言えません。
彼は明蘭のもとを訪れ、会って話をしたいと乞いますが、明蘭は会おうとしませんでした。
離れた場所から彼の声を聞きながら、頬を涙で濡らしても「縁が無かった」と戸を閉じます...
... 切ないです。家。仕来たり。掟。そして時に噂対策や見栄で、子供の未来が決められてしまいます。
墨蘭は最低です。彼女は、自分の利益の為には姉妹を蹴落とし、親さえも裏切りました。
しかし、思いのまま、夢のために生きようとするならば、そうまでしなければ、愛する人にさえも嫁げなかった。
そんな時代だったのです。
でも、明蘭は幸せに成るために頭を巡らし、頑張ります。
顧家に入って明蘭は「盛家にいた時は最悪だった。でも今より良い」と言うほど、非常に苦労します。かつて顧廷燁を家から追い出した一族全てが敵と成ります。
彼等は如何にして顧廷燁を倒すか!明蘭を下すか!そればかりを考えています。
本家は侍女たちを送り込み、明蘭を押さえ込もうとします。しかし明蘭も負けてはいません。顧廷燁が「さすが!」と敬服するほど、明蘭は逞しく毒牙を交わして行きます。
また財産である荘園に蔓延る悪を排除したりもして、顧廷燁と明蘭はふたりの絆を更に強くしていきます。
また、かつて顧廷燁が側女として傍に置き、後にその悪徳を知り、追い出そうとするも、息子、書昌(しょしょう)を拐い逃げた、曼妹(ばんじょう)の行方も、見えて来ます...
この話は、悲しい結末も...
更に顧廷燁に敵対心を剥き出しにする斉衡。
権力(発言力)を奪われたくない皇太后は、皇帝の為に巧みな知恵で皇太后から権力を取り去ろうとする顧廷燁を、敵視するように成ります...
顧家は波乱万丈。主軸は平凡?お家物語なのに、非常に面白いです。また話数が長いのに、全く揺らぐことの無い確かな脚本に敬服します。
明蘭が、婚姻を決めようと祖母と話す7分ほどのシーンなんて、脚本の力を感じました。
何気無い些細な会話をするのですが、感情が揺れ動き、互いに労りながら言葉を選び、また持論を押し付けず程好く唆し、程好く忠告し、問い掛ける...
如何にもな"会話"に、ふたりの愛を強く感じさせられました。
本当に心から「面白い」と思わせられます。
明蘭が盛家に別れを告げ、顧家に向かう際、両親に礼をし、立ち去ります。その時、見守るだけの祖母が思わず飛び出して、咽びながら明蘭の手を握ってしまいます。父も母も、明蘭さえも驚きます。その映し出す握り締めた手に、祖母の愛が溢れます。
明蘭は輿の中で涙を拭います。
侍女の小桃は「お腹が空いたならお菓子がありますよ」と笑顔を振り撒きます。
無数の感情が犇めき、そこに確かに見えるのは、どんなに息苦しく、自由を奪うような礼儀と掟の下でも、確実にある労りと情の姿。
そして男と女の世界。結果は同じでも乗り越えかたが全く違い、またその後に待っているもの、向き合わなければならない覚悟も全く違う。夫婦と成っても、男と女は変わらず違う...
顧廷燁は戦いの後、成し遂げた満足に浸ります。明蘭は、これからの更なる難題を見据えます。
でも、そんな時代、"あり方"を求められる社会でも、ふたりの、手を取り合い、互いをおもんばかる姿は、夫婦の理想に見えます。
顧廷燁は非常に不器用でも有りますが、妻の目を見て語り、自らを「夫」や「あなた」では無く「廷燁」と呼ばせたがる等、時代に準ずる人達には彼を恥知らずなどと言うけれど、どう見ても彼は"良き夫"の在るべき姿を体現していて、そんな姿を見ているだけで心が洗われます。
実はまだ50話。ようやく50話?
73話までの長い旅は、もうひと波乱もふた波乱も有りそうです。
きっとこのふたりは、時々喧嘩しながらも、互いを許し、労りながら、困難を乗り越えて行くのだと思います。
「明蘭」は"女"を描き、今、"夫婦"を描き始めました。それは非常に愛らしく、美しく、麗しく、そして羨ましいほどに素敵なものでした。
☆最近、タイでもデルタ株のCovidが蔓延し始め、万単位で患者が増えているそうです。
いつか行ける... そう待っていましたが、その日がまた遠ざかってしまいました。
スペイン風邪も乗り越えた人類なのに、教訓は生きなかったのでしょうか。