"女性"を見せるドラマが素敵です。 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

「スーサイド・スクワッド」の続編の予告がテレビでたくさん見られ、ちょっと心惹かれてます。
初の「スーサイド・スクワッド」は映像を魅せる大作と言うより、キャラ頼りの贅沢なB映画。力は有るけれどひとりではその力を奮い切れないような、中途半端で、落ちこぼれに片足突っ込んでいるヒーロー二軍が「駄目なら死んでも損はない」と集められて戦ったら、思ったより奮闘して勝っちゃった!そんな映画でした。
もう少し全キャラのカタルシスをきちんと描けば(活躍せずに亡くなっちゃう方も居ましたし)佳作には成った惜しい作品だと思いました。
... それでも好きです...
で、「ハーレイ・クイン」は別方面に尖らせた、一般的には凡作では有りますが、エリザベス・バンクスの脳内電波をビビッドに受け取れたなら、おそらく心の映画にさえ成ったことでしょう。... 私みたいに。:p
最近、「チャーリーズ・エンジェル」然り、良い意味での女性映画が非常に素敵です。些細なシーンに「分かる」と思わせる、心のエッセンスが有り、それは、そこにもあそこにも見付けられ、気付けば、映画全てがお洒落な女性の理想の花園みたいに見えてきます。
... あ、「スーサイドスクワッド」から離れてしまう...
でももう少し。
「イーオン・フラックス」あたりでも女性的センスは有りました。しかし、どうも演出力の問題か、弾けませんでしたが、如何にも作られた女像では無い(ポリシーの有る)女優が演じたことで独特な魅力を残しました。
シャーリズ・セロンはその代表ですね。
「ターミネーター・ニューフェイト」や「マッドマックス」もそう言う"媚びない女性像"が、良き女性映画に仕上げていたと思います。
私はそんなセンスを、時々、味わい、浸りたい気持ちにさせられます。
私が中途半端女だからかなあ... 時々、充電しなくてはいけないのかもしれません。:p
だから。

前回の「30女の思うこと」は非常にリアルで愛らしい、"ある女の人生"を描いた素晴らしい作品でしたが、やはり元祖?女性ドラマは、よりドラマティックに、より心に染み渡るものでした。
「30女」は負けず劣らず傑作の香りむんむんですが、こちらは30女に拘らず、全ての女性の心を拾います。
中国ドラマ「明蘭、才媛の春」
雨風に挫けてしばらく、追い掛け録画が追い付いて、第十六話から視聴再開!
久々でしたが、非常に面白い。
いえ、素晴らしく面白い。
生死を掛けた謀や暗殺... そんなもの無縁なのに、こんなにも惹き付けるなんて...

馬球大会が催されます。
... ポロのようなものです。
ここでは幾つもの人間関係や人間性、お家の膿が露に成ります。
明蘭(めいらん)の盛家三姉妹は、如蘭(じょらん)は相変わらず呑気、期待するは、自らが墨蘭(ぼくらん)より良く在り、理由は何であれ墨蘭が恥をかくこと。
その墨蘭は斉家の若侯爵、斉衡(せいこう)との縁を期待し、いつも母ともども「玉の輿」ばかり考えています。しかし、一向に自分を見てくれない斉衡に興味を失ってきたのか、露骨なアピールが減り、代わりにこの馬球大会の傍らで、自分に気を掛けてくれる呉家の六男、梁晗(りょうかん)に気を良くしています。
一方、明蘭は、久しぶりに親友、余嫣然(よえんぜん)と会います。この時代で、まがりなりにも名家の令嬢が、駆け足で飛んで行き、飛び付くように包容する姿は、非常に愛らしかったです。
そんなふたり。馬球大会の賞品に驚かされます。それは嫣然の母の形見でした。
「物が無くなることは確かに有ったの」
... 嫣然はどんな待遇を受けているのでしょうか... お家で起こっていることは外の誰もが知りません。口外することは"恥"他なりません。

やる気満々の嫣然の妹、嫣紅(えんこう)。
彼女に涙ながらに乞う嫣然。
しかし嫣紅は、その前の賞品を投げ捨て「賞品が欲しければこれをあげるわ。私はあれが欲しいの」
嫣然は何とかして馬球大会に勝たなければなりません。明蘭は嫣然のパートナーを、兄、長楓(ちょうふう)に頼みます。
試合は始まります。しかし、結果は芳しくない。このままでは負けてまう。
嫣然は溢れる涙を隠すことも出来ず、恥も省みず嫣紅に乞い続けますが、嫣紅はそんな嫣然の様を嘲笑するだけ。ただどうにも出来ないことに嫣然は、諦め、鞭を置きます。
黙っていられなかったのは明蘭。彼女は代わりに馬に跨がります。
「ろくに馬にも乗れないくせに」と笑いこそ集めますが、明蘭は誰もの目を覚まさせる素晴らしい操馬ぶりを見せ、瞬く間に点差を埋めていきます。そんな時、嫣紅の反則ぎみの作戦は失敗し、パートナーの兄は落馬して足を痛めてしまいます。
代わりに徴用されたのはなんと、才人、顧廷燁(こていよう)。明蘭は恩人と慕うおじ上の登場に驚きます。しかし、もっと驚いたのは兄の長楓。「廷燁が相手じゃ無理」と逃げてしまいます。
そんな様を見ぬ振りが出来なかったのは若侯爵、斉衡。しかし彼は明蘭と両想いながら、家同士の問題や格の差が、ふたりの縁を遮っていました。
明蘭は「やめてください」と斉衡を止めますが、斉衡は気にもしません。何より明蘭と堂々、共に馬を駆れる事が嬉しくて堪りません。
ふたりは顧廷燁の猛追をも凌駕し、勝利を納めます。
淑女。そんな言葉を忘れて喜ぶ嫣然に、明蘭はどれだけ誇らしく、嬉しかったことでしょう。
しかし。
「目立たぬことこそ、処世」
この時から明蘭のそんなポリシーが次々と崩れていきます。

更に盛家での迷走は続き、正妻、王若弗(おうじゃくふつ)と側妻、林噙霜(りんきんそう)の潰し合いから、ふたりの隠し事がばれてしまい、仮として明蘭が、家を取り仕切る差配の任を仰せつかります。
明蘭は正妻と側妻の狭間であれこれ起こる面倒ごとを、控えめながら巧みな人心掌握によって交わし、自らの望む状況を作り出していきます。
そんなやり方を祖母は叱責します。しかし、姑息な明蘭を怒っているのかと思いきや
「やり方を怒っているのじゃない。悔やんでいるあなたが問題なの」
... こんな明蘭と祖母の対話も非常に面白いです。明蘭はものの見る目が達者な祖母のお陰で、豊かに逞しく育っています。

ドラマは目立つところだけで起こるものでは有りません。
顧廷燁は、馬球大会をただの余興として楽しんだだけでは有りませんでした。ことを見据え、洞察し、その上で余嫣然の境遇に共感を覚えていました。彼女の実の親亡き後の家での不遇は、まさに自らが顧家で母を失い、親だけならぬ兄にも冷遇され続けた状況、そのものなのです。
顧廷燁は「余嫣然こそ、正妻に」と、縁談を申し込みます。
しかしそれを良しとしなかったのは、顧廷燁の側妻、朱曼妹(しゅばんじょう)。彼女は貞淑な側妻を演じていますが、実は顧廷燁の正妻の座を狙っていて、顧家に接触を謀ったり、あれこれと画策を止めません。それは余家にまで及びます。
彼女は「私に身分を与えください」と余家の前で騒ぎ立てます。当然、嫌気を感じさせる作戦です。
恥を恐れた余家は曼妹を家に上げてしまいます。曼妹は居座り、上手い口であれこれ捲し立て、余家を言いくるめますが、そこに明蘭が来訪した事が、余家を救います。
明蘭は親族を演じ、曼妹の前へ。そして巧みな受け応えで曼妹の言い分の矛盾を突き、追い返します。
ホッとする余家。しかし残念ながら、不条理に追い返される顧廷燁... 
何故かと悩む顧廷燁に明蘭は「あの女(曼妹)は卑しい」と助言しますが、顧廷燁はそんな明蘭を叱咤します。
そして嫣然の母は顧家に来訪、廷燁と嫣然に縁があるとするならば、先ず「側妻を追い出しなさい」と告げます。
しかし廷燁は頑として譲りません。
嫣然の母は怒りを露に退席。そんな廷燁を蔑む父に、廷燁は、父子の根源的難題を解決すべく「私の母の死の原因が父だと確信していますが、もし天地に誓って違うとおっしゃるなら信じます。そう言ってくださいますか?」と詰め寄ります。
余程、思い詰めるところが有ったのか、父は酩酊、吐血し、そのまま命を落としてしまいます。
廷燁は義母に言われ、太医を呼んできますが、門前で兄とその手下によって遮られてしまいます。更に「父の命が危うい時に、何処に遊びに行っていた」と親族、更に義母に責め立てられる廷燁...
この義母、非常に廷燁に理解を示す優しき義母に見えていました。
... ただ、私達だけに見せる、些細な時の"躊躇"が常に気になっていたのですが、やはり。
廷燁は有ること無いことまでも"泣き崩れる振り"の義母によって叱咤され続け、ついに家を追い出されてしまいます。
兄の言葉「やっとこの家から追い出せた」
... この時の廷燁は、演技ともに素晴らしかったです。心の底まで吐き出して、柵を除けてまで、真なる思いを訴えたのですが、それは誰にも届きません。決して広くはない父の寝室で、親族一同が集う中、廷燁はただひとり、絶望と不条理に晒され、徹底した無視と結託によって何もかもを奪われ、潰されます。
廷燁は父の葬儀にも参列出来ず、聴衆の向こうから、見送ることしか出来ません...
そして彼は、世捨て人のように成ってしまいます。
しかしその頃、顧廷燁らの世話をする乳母が、ある事実を突き止めます。それは曼妹が顧廷燁の財産を売り歩いていると言うことでした。
「財産が無くなったと嘘を吐いてみなさい。きっと本性を現します」
顧廷燁は乳母の言葉を否定しながらも、そう曼妹に話します。
すると曼妹、家の財や田畑や店の権利書を、死んだと言っていた兄に渡し、売っていた事が分かります。
顧廷燁は怒りを抑え、曼妹に「言わなければならない事はないか?」と問いただします。
「子供に与えた宝飾品を家の為にお金に代えた事は認めますが、他に隠し事はいっさい有りません」
顧廷燁は歯を噛み締め、溢れる怒りを抑えられません。顧家で貶されながらもお前を庇ったのに...と嘆きます。
... 顧家での廷燁による"無力な抗い"は神がかり的な素晴らしさでしたが、ここでの廷燁は更に私達の胸を貫きます。
人の思いが...そして裏切られた絶望が、彼の言葉ひとつひとつ、それを超えて溢れます。

しかし、曼妹はその晩、兄と、息子の書昌(しょしょう)を連れ、逃げ出してしまいます。
翌朝、廷燁は傍人と娘を連れて曼妹を追います。
この際、明蘭の兄、長柏(ちょうはく)と顧廷燁の友情がまた堪りません。幼い頃は、才ある廷燁に滅多打ちされた長柏が「恥をかかせられた」と絶縁しそうなほどの喧嘩もしたふたりでしたが、今や顧廷燁がどれだけ苦難ゆえに落ちぶれても、彼は傍らで支えます。

その頃、明蘭は、斉衡が母、平寧郡主(へいねいぐんしゅ)に明蘭との縁を許して貰おうと話した為に、郡主の策で、斉衡と盛家三女は兄妹の縁で無理矢理に結ばせられてしまいます。
動揺は見せながらも、平然と受け入れる明蘭でしたが、その晩、泣き暮れてしまいます。
祖母はそんな明蘭を連れて、祖母の本家へ、病弱の義姉に会いにと、旅立ちます。
船での旅は一見、穏やかですが、寂しげでもあり、明蘭は引き摺る気持ちを晴らせずにいます。
船が二艘、近くを航行していて、並走すれば心強いと声を掛け合いますが、その一艘に斉衡が乗っていました。
... おそらく祖母による裏工作です。
明蘭は港町で斉衡と話し、この縁を深めることがどれだけ難しいかを再認識、別れを告げます。斉衡は「君の笑顔に似ていたから」と、ちょっと不細工な置物を明蘭に渡します。「対は僕が持ってる」と...

別れたふたり。
しかし夜。船は賊に襲われてしまいます。祖母を小舟で逃がし、当の明蘭は襲撃の中で、河に落ちてしまいます。沈む体... 斉衡から貰った置物は手放せない... でも、意識が...
目を覚ますと、傍に少女が居ました。
明蘭は曼妹追跡中の顧廷燁によって救われます。話によると港町で荷運びを生業とする者たちと縁有って共に賊を警戒していたところ、明蘭たちの船が襲われたのだそう。
明蘭は感謝するものの、幼い娘を連れ歩く顧廷燁に「このままでは娘は賊の子みたいに成ってしまいますよ」と忠告します。

顧廷燁は一考し、縁有った将に推薦を貰い、軍隊に入ります。
しかし、才は無いものの野心だけは有る隊長の下、顧廷燁は賊を追う非常に小さい部隊に配属されます。
しかしあまりに才気の無い隊長のせいで、このままでは命を落としかねない、そう考えた顧廷燁は、自らの判断で敵の裏をかき、撃退するほどに才能を発揮します。
手柄は彼の元には残りませんが...

明蘭は祖母らと合流。本家へと到着します。
盛本家では、祖母の義姉が弱い脚で出迎えてくれます。
「辛かったろうね。私が呼んだばかりに大変な思いをさせてしまったね」
「いずれは笑ってお話しできるでしょう」
明蘭は祖母ともども、非常に歓待されます。
また、次女の品蘭(ひんらん)、医師の賀弘文(がこうぶん)と親しくなります。
中でも品蘭と明蘭は気が合い、明蘭は本家に居る間、彼女に寄り添います。品蘭は、心は非常に優しいが、その態度は、品格とは縁遠いタイプ...
... 私はこの品蘭、好きです。「私に任せなさい」とばかりに、どんな時でもしゃしゃり出て態度が大きいまさにの"おてんば娘"ですが、人一倍、情に脆く、悲しい時は涙も躊躇わず流します。

本家は一見、長閑で穏やか。しかし非常に厄介な問題を抱えていました。
それは孫家に嫁いだ長女、淑蘭(しゅくらん)でした。彼女は盛家より格の低い孫家で秀才の称号を得た孫志高(そんしこう)に莫大な嫁荷を持って嫁ぎました。その孫志高、称号だけを高らかに掲げ、嫁荷を削って女遊びに暮れる駄目男。
噂が立てば「嫁のせいだ」と騒ぎ立て、ことを納めたい盛家は金を貢ぎ、時に店を与え、誤魔化して来ました。
そんな矢先に贔屓の妓女、花娘(かじょう)が懐妊。孫志高は花娘を側妻にしようとします。
そんな矢先の、盛家で催される長悟(ちょうご)の婚礼。その際、孫志高は深酒をし、大暴れをしてしまいます。
露になる歪み。
盛家は、帰省した淑蘭を返さず、問題を解決することを考えます。手段で納めようとする本家に、明蘭は祖母の静止を遮って「本質から変えないといけません」と提言します。
本家は孫家に、淑蘭の平和的離縁を呈します。
しかし、孫家は離縁など有り得ない、するとしても"三下り半"でしか有り得ないと強気で使者を追い返します。
... "三下り半"は非常に女性には不利で、後の縁談は無理と思われるほど厳しい離縁となります。更に盛家のプライドも許しません。それを武器に孫家は非常に強い態度で対峙して来ます。
明蘭らは次の手段を開始。
孫家の侍女たちを呼び戻します。
「何故、出て行くの!」
「私達は盛家の侍女ですので」
彼等は手荷物も持たず出て来ます。
「もう、あそこから出られるだけで嬉しくて」
彼等は手荷物の代わりに盛家から渡った店の権利書を持ち出していました。
孫家は侍女を失い、店を失い、自らで家事をしなくては成らなくなりました。また、囲った花娘は贅沢で、燕の巣が食べたい~と我が儘三昧、孫家の資金は瞬く間に底をついてしまいます。

盛家と孫家は話し合いの場を設けることに成りますが、
「淑蘭が息子に遊び癖をつけてしまったから、いけない。幼い頃に秀才の号を得た息子を尊べ。平和的離縁など有り得ない、三下り半だ」と息巻くばかり。
そこで明蘭は、自らが差配を担わなければ知りもしなかったくらいだから... とある賭けに出ます。孫家は、妓女の戸籍証文を持ってはいないのではないか?と言うものでした。明蘭は品蘭と賀弘文を伴って、妓楼、千金閣へ。
証文を手にした盛家は、訴え出ることを示唆。勝つか負けるかでは無く、素行面を疑われたら孫志高の士官と成る未来は絶望となる可能性が...
焦った孫志高は平和的離縁を嫁荷半分を得る条件で手を打ち、解決します。

... この時、離縁状に拇印を押すのですが、淑蘭、朱肉に伸ばした手を止め、指の腹を噛み、血判を押します。淑蘭、穏やかで常に言葉を飲み込むような子でしたが、溜め込んだ怒りを示しました。
そうして、盛家本家は安堵に包まれました。

しかし。本家盛夫人が倒れてしまいます。
彼女はある名前を口にします。
「誰?」誰もが知らぬ名前に顔を見合せます。
明蘭の祖母は「あなたたちの、幼くして亡くなった叔母に当たる人よ」
盛夫人は息が尽きるまで亡き当主に対しての恨み言を吐き続けます。
「これが私の復讐... 」
そして息を引き取ります...

葬儀はしめやかに執り行われ、墓所へと葬列が続きます。
山中。突然に敗陣の賊が現れ、葬列はもみくちゃに。慌てて逃げる中、明蘭はひとりに成ってしまいます。賊はそんな明蘭に襲い掛かりますが、何者かに明蘭は掬い上げられます。
それは顧廷燁でした。彼は明蘭を陣に連れ帰ります。
その時、明蘭、感謝と共に躊躇わず忠告を。
「おじ上はこんな身分で良いんですか?賊を相手にしていても手柄は得られませんよ」
釘を刺された顧廷燁はまた考え込みます。
町では顧廷燁の策が成功し、賊を一網打尽にしていました。その報せを聞いた顧廷燁はそのまま明蘭をひとり帰します。
ちゃんと後を着けて見守りながら。
「何故、送らないんです?」
「喪中の娘を男が送るわけにはいかないだろう」
「なら着替えさせれば」
「着替えるなどもっと良くない」

... 「明蘭」のドラマティックな部分とウィットのバランスが素晴らしい。悲しみや至福を安易に煽ったりしません。程好く笑い、程好く涙します。そうして生まれた彼等の溢れる感情を目撃し、私達は深い、人の純然たる想いの力を味わいます。

明蘭は祖母らと共に帰路に就きます。帰り道、街道は賊だらけ。しかし除隊した顧廷燁が陰で一団を守り、明蘭たちは一度も襲われること無く、帰郷を果たします。
「蝿一匹見なかったわ」
... 当然です。顧廷燁... カンフー映画ばりの大活躍を見せます。跳ねるは飛ぶは、蹴るは殴るわ、もう超人です。
ウィット満載で、笑いパートでした。

帰郷した明蘭に伝わったのは、斉衡の侍女が平寧郡主に叱りを受けて、殺されたと言う噂でした。またその侍女、明蘭に似ていたそうです。
更に斉衡は逆らって、食も口にせず、水をも口にしなくなった、と。
丁度その頃、灯篭祭が催されます。
明蘭は斉衡の従者と接触し「お言葉を頂けませんか?」との要求に
「裏切らなければ、お待ちします」
と伝えます。
しかし灯篭祭は官兵の乱入で突然の中断。
世相に嫌な雲行きが漂います。
... このあたりから、家族ドラマ兼、女のドラマ「明蘭」は政治色を加味していくことに成るようです。

そして26話。
明蘭の叔母による調査は進み、なんと明蘭の母の死に秘められた真相に辿り着きます。それは盛家側妻、林噙霜(りんきんそう)による謀だったと言う事実。母とその子は林噙霜によって殺されたのだと。
... この時、幼き明蘭と母を支えた侍女、小蝶(しょうちょう)が再登。彼女は明蘭の母から受け取った腕輪を、生活が苦しくても売らずに持ち、それを明蘭に渡します。
「嫁荷にお持ちください」
気丈な小蝶は、風体さえ変わらぬものの、その身振り話しっぷりは穏やかに成っていました。
「私は嵌められた」
小蝶はずっと抱えていました。誤解されたままは嫌だったんです。笑うも泣くも共にしてきた家族だから。
...感動です。でも何が待っていることか... 

大まかな10話ほどの展開。非常に波乱万丈でした。
時代のせいで、誰もが身を引き締め、胸を張り、家の名と名誉を肩書きに生きています。しかし、そんな誰もが、ふとした時、嬉しくて、悲しくて... 溢してしまう真の想い...
そんな物陰の女の姿が詰め込まれているのが、この「明蘭」なんだと思います。
賊に襲われた時、冷静に振る舞いながら、怯えきってもいる明蘭。
そんな最悪の報せを聞いていた盛夫人が義妹が来訪した時に見せる心からの安堵...
誰もが、どれだけ虚勢を張っていても、抱え込む辛さや悲しみ、恐怖、怒りをも抱いている。堪えられず、死の間際に怨みを吐き出す盛夫人...
末期に幸せを語れる現代は遥かに幸せです。
人生とは... 辛さとは... 幸せとは... 
そして縁とは.... 
たくさんのことを感じさせてくれる本作。
全73話。まだまだ旅は長いです。


タイドラマ「ニラの復讐」も良い感じです。
性別適合手術を受けてタイに帰ってきたニラ。母を失い、頼りは英国で支えてくれる知人と、精神科医ベンジャン。
彼女は母を追い詰めた父チョムタワと叔母のランロンに怨みを抱いています。虐げられた過去のせいでニラは心に傷を負っていて、怒りや不安に囚われてしまう事が有ります。

そんなニラ。唯一優しくしてくれた、叔父のチャットと接触し、心を通わせます。チャットはニラに好意を感じています。そしてニラも抑えながらも、溢れる気持ちに動揺しています。
しかし、義兄の振りをしてくれる保護者ベンジャン医師は、そんなふたりの縁を良くは思っていません。また叔母のランロンに対するニラの憤りを諌めます。
そんなニラは母から教わり、自らも極めたメイクの腕を買われ、芸能の世界に脚を踏み入れます。
当然、そこで活躍するセレブ、ランロンやチャット、そして憎き父チョムタワとの接触機会が増えてしまいます。
また、チャットは妻ランロンとの不遇な結婚生活から逃れようとするかのように妖しき魅力を放つニラとの縁を求めます。対するニラもチャットに優しくされる度に、信念さえも揺らぎます。

そして、あるトラブルから、ニラはモデルとしてのデビューを果たします。それは嫉妬心の強いランロンの怒りを買い、チャットとの縁を更に複雑にしてしまいます。
ニラはチャットとの接触を避けようとチャットにキツい事を言うように成りますが、チャットはますます、ニラへの思いを募らせることに。
また、モデル活動も堂々、開始することに成りますが、売れっ子のマナウとランロンの敵意と妨害は熾烈を極めます...
更に女たらしのチョムタワが、ニラに目を付けてモノにしようと画策めいて...
はてさて、ニラの復讐の行方は...

...本作、タイだからこそでもありますが、まあ、トランスジェンダーの多いこと。右にも左にも、レディボーイだらけです。ニラを救うも、追い詰めるもレディボーイです。
ニラをサポートするマネージャーにヨドイ。ヨドイはママと呼ばれ、業界ではやり手の新人プロデューサーでもあります。
ヨドイの元で頑張るメイク担当のベイトンは、過去に酷く辛い思いをしたそうです。黒い水牛(タイでは"水牛"は馬鹿にする言葉です)とまで言われていたそうです。
ヨドイらはニラに
「あなたも変わるかも。でも今を忘れないで」
ニラは言います。
「辛い思いをしてきたから、私は売れても変わらない」
心を潰して来たトランスジェンダーは、あなたの心の辛さ、人の弱さ、醜さを知っています。
ニラは、コンプレックスを感じる全ての人の象徴です。少しだけ、整形手術や、欲しいものを得るための執念と言う武器を携えて、私達の鬱憤を晴らしてくれます。

しかしまあ、ランロン、手直し顔で見事なほどの性格破綻者。チャットを手離さない為なら、なんだってする勢いです。
ただ、そんなランロンにも人並みの想いを抱いていたことも有ったし、またその頃に想い耽ったりもします。
本作は"悪"を絶対悪にはせず、あくまで"復讐"と言うことの行方を描ききろうとしているようです。人間はあくまで人間で、弱さから、時に強さゆえに人を傷付けたり、愛したりもするのです。
またチョムタワに関してもそうで、彼はニラ母子を蔑ろにした悪夫では有りますが、主にロンランに対して口にする忠告は、非常に正論であり、皮肉にも感心させられます。
誰もが思うけれどドラマでは聞いたためしがない「人前で騒ぎ立てる女を、誰が好きでいられる?」チョムタワのそんな忠告に、いつも「この人、実は人格者?」と頭を抱えさせられます。
気付けば、復讐を実行し始めたニラが一番の悪に見える... そんな時が来るのではないか?と思いそうな予感が... 
ベンジャン医師も、チャットと会うニラに"倫理"を口にします。
"結婚した責任"そして"不幸で居たままでいること"、"壊してでも幸せに"そんな秤が、これからチャットとニラを苦しめていく事に成ることでしょう。
先進的でありながら、仏教国であるタイならではの悟りのような達観が待っていそうな... 
ハードルはあまり上げずに楽しみます。
前回書いた"古さ"は容易く慣れました。非常に面白いです。
特にトランスジェンダーの方は必見です。多くの方が見えないものがたくさん見えるでしょう。

登場シーンは"非常に"少ないですが、セイント君ファンにも、ささやかに至福を届けます。
「ラブ・バイ・チャンス」が100回観たくなります。
このシーンは歓喜の悲鳴が上がること間違い無し。:p


☆前日、カインズで、ちょっと高めの冷感敷きパッド(布団の)を買いました。うち、寝室には冷房が無いので、いつもこの手の商品の"ひんやりの実感"は無いのですが(絶対、冷感って冷房前提ですよね。お店でいつも騙されます)、今回の敷きパッド、やはり"ひんやり"は特段、有りませんが、汗などの給水、速乾に秀でているようで、朝に汗を感じる事が非常に少ないです。
更に雨の日やその翌日など、湿気の有る日かと思いますが、空気が蒸しているのに敷きパッドがほんのり冷たく感じます。
この手の商品で初めて効果を感じています。ネットでは、安い方でも給水、速乾には評判が良いようなので、夜の暑さに悩んでいるなら、試してみるのも良いかと思います。

... でも、昨日、今日、台風の余波で風が非常に強くて、ちょっと疲れてます。

ふ~... o(T□T)O