中国ドラマ「明蘭」が凄い。 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

梅雨です。当たり前ですが、天気がスッキリしません...
私、体内ホルモンが不安定だからか、季節の変わり目にはちょっと体調が優れない事が多くあります。... 疲労感と眠気がのし掛かってぐったりしています。
更に風邪をひいてしまいました。頭が...いたひ。
また更に脇腹を痛めてしまい、もう歩く不調女に... 
なのでテレビの前で、静養してます... 

不調中。ちょっと乱文ぎみかと思います... 
中国ドラマ「王女未央」が終わり、その喪失感が残る中、いえ、未だ高揚感が冷めやらぬ中、また新たなドラマが私を惹き付けています。
「明蘭、才媛の春」。
時は北宋が栄える時代。明蘭(めいらん)は盛家の側室の子として生まれ、育ちます。
盛家での扱いは非常に厳しく、母が妊娠中にも関わらず、冬場の炭にも困る状態でした。母は身の回りのものを売りに出し、何とか最低限の炭と夫が訪れた時の為の茶を用意するだけ...
普段の食にも困っていました。
それでも、明蘭と母、衛恕意(えいじょい)と侍女、小蝶(しょうちょう)、そして明蘭の侍女の小桃(しょうとう)は、寒さと空腹に耐えながら、仲睦まじく日々を過ごしていました。
そんな時、盛家の正妻、王若弗(おうじゃくふつ)の長女、華蘭(からん)が嫁ぐ。
盛家は大々的、華やかに結納の儀を執り行った。
祝宴たけなわ、長男、長柏(ちょうはく)が、来賓、顧廷燁(こていよう)と投壺で貢ぎ物を賭けてしまいます。勝負は顧廷燁優勢。誰もが「これは良くない」と如何にして決せず止められないものか...と奔走します。
勝負は誤魔化しながら有耶無耶に成ろうとしていた時、顧廷燁の傍らに立つのは、体半分ほどしかない明蘭でした。明蘭は投壺の棒を手に取ると、皆の制止も聞かず、投げてしまいます。
すると棒は見事、壺に入ります。
明蘭への英雄のような持て囃しで、ことは穏便に終わります。しかし、明蘭の状況が変わるかと思いき、さっぱり。母は変わらず凍えています。ただ明蘭の活躍は、父、盛紘(せいこう)を母のもとに来させることに成ります。
母、衛恕意は明蘭に「余計なことは口にしてはいけません。炭のことなど絶対に言わないように」そう釘を刺しました。
が、父が帰ろうとした時、明蘭は堪えれず、家の貧しい現実を父に暴露してしまいます。
怒った盛紘は肩で風を切るかのように勇ましく主の威厳を奮わんばかり。しかし、正妻、王若弗の前に立つと、身を小さくし、竦めて、それでも衛恕意の置かれた状況を伝えます。
盛家の帳簿はもうひとりの側室、林噙霜(りんきんそう)に任されていました。林噙霜は「有り得ません」と衛恕意の状況を異常事態とし、衛恕意の家を調べることに。すると侍女、小蝶の部屋からたくさんの銀子や食べ物が発見されます。
小蝶は必死で否定しますが、誰もが小蝶の言うことなど聞く耳も持ちません。ただ処罰を口にし、処刑にまで言及されます。
衛恕意は恥を省みず、盛紘にすがり、せめて小蝶の命は救って欲しいと願い出ます。
そんな時、役人が家に。なんと、長柏が顧廷燁と共に船で賊に襲われ、長柏は無事でしたが、顧廷燁は行方不明に成ったと知らされます。
顧廷燁は白家の祖父亡き後のお家争いに巻き込まれたらしく、顧廷燁はここぞと言う時に生きて姿を見せ、白家を貪欲な親族から守ります。
その後、盛家は都から徴用され、宦官に出世することに成ります。そして、主人らは都に赴きます。
またその頃、明蘭の母、衛恕意が産気づきますが、腹の子が大きく育ち過ぎていた為に、出産が上手く行きません。
林噙霜が侍女らと産婆を連れて来ますが、難しい事態に怯えた産婆は逃亡、林噙霜はただおろおろするばかり。衛恕意は明蘭を前に、ただ衰弱していきました。
焦る明蘭に衛恕意は、古参の人を呼ぶように言いますが、主人らが家を出ていた為に皆、無責任だったり、酒を飲んで酩酊状態に。
明蘭は助けを呼ぼうと外へ出ようとしますが、門の閂はあまりに重い。塀の隙間を潜り抜けて外に、医師を求めさ迷います。そこに通り掛かったのは顧廷燁。彼は馬車に明蘭を乗せて医師のもとへ。
しかし時は既に遅く、母はもう話すこともろくに出来ないほど衰弱していました。医師も為すすべが有りません。
母は明蘭に、これからの一人きりで歩まなければならない人生を覚悟させ、そのまま息を引き取ります。
悲しみに暮れたまま、盛家は都へ旅立ちます。一家は衛恕意とその子の死の責任、そして家の権力図で揉めています。
ただ涙が止まらない明蘭... 
そこに祖母が傍らに。
「明蘭、何があろうとも、私は傍に居るからね」

ここまで4話。全75話の長い旅と成ります。
もう、詰め込まれたエッセンスと心を揺さぶる語りが観る者を離しません。
武侠アクション、勇猛皇帝、聡明王妃... そんな大それた話でも無いのに、何とドラマティックか... 波乱万丈、確実です。
この後、明蘭は顧廷燁の元に嫁ぎ、彼の白家の商いに関わっていく事に成るようです。
また、ちょっと耳にしたところによると、あの側室、林噙霜、そして子による悪辣な行為が明蘭を悩ませるそうで、不安は尽きません。

第一話を観た時、初見は「ちょっと面倒くさいかも?」と思いました。
映像が多くのテレビドラマとは違うんです。結構な高尚な撮り具合なんです。映像が画角からその密度まで非常に緻密で、それでいて適切、空間が手に取るようによく見えます。狭い部屋の中でも遠近感をフォーカスを多用し芸術感を醸しながらも、きちんと見せ、また照明もテレビ的では無く、あくまで暗いは暗い、故に行灯の光などが非常に美しい...
深い映像感が非常に豊かに仕上げられており、その画作りの丁寧ぶりは、如何にも、映画のようでした。
でも。その完璧さが、逆に重苦しかった。
無数の登場人物が溢れ、広大な屋敷を広く利用したスケール感は、たかが地方役人の居所とは思えぬほど圧倒してきます。
先ず、セットが非常に美しい。
中国は、映画セットを国策で作り、それを観光にも利用し、更にまた次々と作りました。紫禁城まで作ってしまうのですから、凄いことです。
そしてその結果、中国の映像芸術を、映画史に記録されるほどのものに仕上げています。やはりセットのスケール感と言うものは凄いです。
日本なんて町並み程度の江戸を再現した京都太秦と日光江戸村くらい?...
かつて非常に賑わって栄えた日活映画スタジオも、もう、かつての規模から遥かに小さく成っています。ろくなセットも作れません。
かつての土地にはマンションが建ってしまって、撮影所からは空も豊かに撮れません。以前には幕張新都心に移転する話が有ったのですが、頓挫しなければ、もう少しは日本映画も発展したでしょうに...
そんな問題は中国では次元が違います。
中国はセット作らなくてもそこにあるんだもの... 敵いません。制作費100億!と言ってその全てを作品の"動"の部分に惜しみ無く注ぎ込めます。そんな強みが、非常に作品に活きています。

まあ、それでも、感じる重さは拭えません。
テレビ作品の良さは、茶の間でぐだ~っとお煎餅を噛りながら観られる適度さに有ります。それが本作には確実に足らないのです。いえ、満ち足りる映像の力に溢れ、腰を据えて観なければなりません。
大変だ。しかし、目を見開き、画面を縦横無尽に這わせて観れば、それに応じた感動が保証されています。

衣装も素晴らしいです。演技も、誰もが非常に達者です。そのキャラクターの人生を感じさせるほど適切、充分な安定感が有り、作品のクオリティを飛躍的に上げています。

序盤のみどころは、先ず、華蘭の結納の儀。あまりにリアリティ溢れる描きっぷりに、私達の知らない、ある世界の姿を垣間見たような感動さえ覚えます。それも、厳かさ以上に、雑多とした風情が良いのです。
第一話まるまる、堪能です。

それから母、衛恕意と明蘭たちの不遇の日々。それを打開したくて、真実を口にした明蘭。しかし、それが小蝶を追い詰め、処刑の危機に陥る事となり、小蝶はかろうじて命は救われますが、家を追い出されてしまいます。

私、重苦しさをも感じたものの、この「明蘭」を観続けようと決めた一番の切っ掛けが、この小蝶でした。凛として、言いたいことは言ってやる、そんな逞しき侍女が非常に魅力的に見えました。
しかし、炭の問題でも彼女は酷い扱いを受けます。なんとか買って来た炭は使い古しで、煙が立って散々な事に。彼女は立場無く、涙を溢しながらも、挫けず、主のために最善を尽くします。
またそれも、衛恕意が優しいから、その強さを抱き続けていられるんです。
「私は生涯この方を信じ、そのために全力を尽くそう...」きっとそう思うから、辛くても気持ちが揺らぐことは無かった。
しかし。彼女は、林噙霜によって、主との縁を切られてしまいます。
...悲しかったです。非常に悔しかったです。
弱き立場の衛恕意たちは、為す術も無く、ただ小蝶の命だけは救って、見送ることしか出来ませんでした。

そして、明蘭の母、衛恕意の死。
これは正直、堪りません。子役明蘭の迫真の演技がまた凄く、心、揺さぶられます。

またもや林噙霜の、"おそらく"打算によって、母、そしてその子も命を落としてしまいます。
ただ悲しい、ただ憤るだけでは有りません。
あまりに明蘭を守れないものばかりが盛家に溢れていて、絶望と苦悩の日々が始まるのか... と、溜め息しか零れません。
またこの母、衛恕意の優しさは非常に私達の心を癒します。時代が時代ですし、夫に対して何を犠牲にしても...と考えるのが基本。
だから、夫に真実を口にする明蘭を彼女は叩いてしまいます。
しかし、夫が去った後、彼女は明蘭を抱き締めます。そして「痛くなかった?」
死を前にしても、何より考えたのは明蘭のこと。彼女の明日のこと。ただそれだけです。

明蘭の強みは特に有りません。ただ裏表が無い正直さしかありません。
しかし、そんな明蘭の誠実さは、何人かの心を動かします。その第一に、彼女の祖母がいました。
彼女は悲しみに暮れる明蘭に寄り添い、そしてそれからの数年、明蘭を支えます。
中国ドラマの祖母は、いつも家での力を持っていません。「お前は何てことを!」と息子を嗜め、例え責めても、主たる息子の一蹴に口ごもるばかりでした。
今作の祖母は、よく人を見ていて、ここぞにはきちんと思いを口にしますし、非常に後先まで考えて発言や行動をしているようです。
誰もが関わろうとしない明蘭を抱え込んだのも、明蘭の素養を信じただけでは無く、盛家の勢力図を踏まえた、彼女の先読み故の事でしょう。

また、本作における他作との違いに、結婚に対して"親が決める"と言う決まりごとが基本、無いことが有ります。
全く無いわけでは有りません。華蘭の結婚は親が決めたそうですし。しかし、故にか、母、王若弗は結納の儀の最中でも、華蘭を憐れみ、嘆く姿を目にしました。
北宋の時代って西暦何年くらいでしょうか?非常に進歩的で驚きました。「運命の桃花」なんて、神様ですら、親が決めているのに...
ただし、側室20人なんて話もあり、ちょっと... 金の力は凄し... です。

そう書いている内に第五話。
後継ぎたる息子を亡くした、年老いた皇帝に、宦官たちは養子を取り、退位するべきだと勧めます。
皇帝はいまだ子の死を受け入れられていないからか、怒り心頭!しかし、結局は受け入れることを約束します。
その狭間で、明蘭の父、盛紘はあわてふためくばかり。
明蘭は、学問に勤しみ、時が流れます。
明蘭には余嫣然(よえんぜん)と言う親友が居ます。非常に良い仲のようです。
また斉衡(せいこう)と言う学友とも親交を深めて行きそうです。

しかし斉衡は明蘭が思っている以上に明蘭を気に掛けているようで、その事が、側室、林噙霜の娘、墨蘭(ぼくらん)との関係に問題を生み出してしまいそうです。
また、正妻、王若弗の娘、如蘭(じょらん)もこの間で、何やらしてしまいそうな気配です。
そして。明蘭の恩人、顧廷燁が帰郷、彼はちょっとした縁で、側妻を得ていて、これまた何やら複雑な難題を持ち込んでしまっているような...気配がぷんぷんです。

何より、唐突の数年経過にびっくり。
出て来る人出て来る人「誰?」。
明蘭さえ慣れるのに時間が要りました。
序盤の展開が豊か過ぎて、観ているだけで頭も心もいっぱい。登場人物も多く、キャラは名前より顔で誰かを理解していたものだから、その頼りの"顔"が変わってしまって、パニックに成りました。また新キャラも居るので、頭フル回転、どうしたものか。
斉衡をしばらく「顧廷燁かな?、それにしては距離が有るみたい...」と、しばらく余計な謎解きをしながら観ていたので、この話、内容をめいっぱい楽しめませんでした。
まあ、そう劇的展開はしなかったので、それなりにキャラ紹介として第五話を費やしました。
明蘭も随分と印象が変わりました。物分かりが良く成り過ぎていて、ハウスアニメ劇場の主人公みたいでした。
代わりに愚痴担当なのが、侍女、小桃。小さくて、話すより泣いていたあの子が、がっしりもちもちで、明蘭をしっかり支えてくれそうです。
が。その明蘭、トラブルを避けるために、頭を巡らしまくりで、非常に賢く、策士ぎみ。
有りがちな虐げられ主人公には成らない予感がします。友達も多いですしね。

第六話は、斉衡君が明蘭にあげた二本の高級筆が面倒を起こします。明蘭はそれを、如蘭と墨蘭に横槍入れられて、面倒ごとに成る前にあげてしまいます。
それを知った斉衡君、当然、憤慨してしまいます。
また、男子たちが盛家に来訪、そこで顔を売りたい墨蘭は覗き見しに行きます。それを見掛けた如蘭は明蘭を無理矢理連れて「墨蘭の弱みを握ってやる」と押し掛け、言い合っている内に、衝立を倒してひと騒ぎを起こしてしまいます。
...ここで、最悪なことが。
父、盛紘は「恥をかいた」と怒り心頭。しかし彼の怒りは如蘭にぶつけられます。
如蘭は「私は墨蘭を追っただけ。先に居たのも、私達を押したのも墨蘭だ」と告げますが、父は何故か如蘭だけを叱ります。
明蘭は関わりたくないと思っていますが、如蘭に振られ、口ごもりながら「如蘭の言う通り」との旨を告げますが、父は信じず、続けて如蘭を責め立てます。
当然、母、王若弗は「何故、如蘭の話を聞かないのか!」と憤りをぶつけますが、父は聞く耳をもたず、ただ墨蘭を庇います。
そう、この父、気が強く物怖じない王若弗より、媚びる林噙霜を愛し、更にその娘を何より愛でているようなのです。
...くわ~!正直、そこそこギャグメーカーの役割も担っている父が、権力を奮う姿は見ていて辛いです。
権力を奮いながら、好き放題のやりたい放題で主人公やその家族を虐げておいて、ギャグパートでその全てが許されてしまう...
これ、韓国ドラマの最たる嫌なところです。
やはり観ている者は勧善懲悪を一番に期待しています。どれだけ今が辛くてもきっと善は報われ、悪は裁かれると待っています。
しかしその人が特別な地位に居た場合、それも為されず、変わることもなく、更にその人が居るからみんな幸せ...そんな終わり方も有り得ます。韓国ドラマで何百と観てきました。
「王女未央」ではそれが概ね無かったから良かったんです。中国ではセオリーは無いことを見せてくれました。
... 明蘭ではどうなるか...そこも見所です。
父、盛紘と、林噙霜、墨蘭が何かを失う、もしくは誰かの幸せを共に祝えなくなるくらいのリスクは欲しいですね。

手を棒で叩かれているところ。
本作では顧廷燁も、父(その衞士?)から何度も棒で叩かれます。彼が反発するからとは言え、体は傷だらけで、さすがにやり過ぎ。
何故にそこまで父は顧廷燁を虐げるのか?
その理由が第八話で明かされました。
彼は側妻を招き入れる為に、かつての乳母を呼び寄せます。
しかし、父は彼女を招くことを頑なに拒絶しました。
またもや浮かぶ、何故?
彼女によって明かされる、母に纏わる真実。
中国では結婚は愛の結実ではない。それも女は家の利益のために結婚させられるもの。
しかし、彼女の結婚はその中でもあまりに打算的で、冷徹、更に子にまで遺恨を残してしまった... 
正直、第七話あたりは作品も停滞していて、時間の無駄遣いとさえ感じていました。この辺り、明蘭主体で物は語られず、居るのを忘れてしまうくらいなんです。
でも、この、顧廷燁の母の話は... あまりに胸が痛かった。

この作品は時代の中の女性の不憫さもテーマだと感じます。盛家正妻、王若弗も夫を側妻に奪われ、娘を贔屓され、彼女が涙を流しながら堪え、訴える姿は、非常に物悲しく、哀れです。
老齢の女性たちは「この経験が有ったから私達は強くなった」と言わんばかりで胸を張りますが、言わせて貰えば、そんな経験しなくて宜しい。
甘く育てられる事で、如蘭のように、節度や節操がなくなり、損をする人生は確かにより哀れかもしれませんが、その前に考えなければならないのは、主が強権を持ち、それを奮うことの危うさかと思います。
時にそれで人は命を落とすからです。
ある意味、それは皇帝の息子も、そんな被害者なのかもしれませんね。
原題は「知否、知否」。意味は「ご存じですか?」と言ったものです。しかし、その言葉にはもうひとつ意味を含みます。
"葉は緑濃くなり、花は色褪せていく"

争わなくても良いのに、兄弟、姉妹でさえ、親の遺恨を背負い、時に憎しみ合うことも...

まだまだ序の序なので、楽しみ100%です。
また、この作品のもうひとつの楽しみは町並みです。どのドラマよりも豊かに町が存在しています。非常に豊かで、たくさんの北宋時代の中国を観ることが出来ます。
私の"ドラクエビルダーズ2"の町作りにも、非常にインスピレーションを与えてくれています。
また様々な風土や生活の有り様も、たくさん観る事が出来ます。
安っぽさなど微塵もありません。豊かな映像、豊かな人物描写、豊かな台詞に感情演技、そしてドラマティック過ぎる展開の数々...第五話からは展開も等身大で、劇的さは鳴りを潜めますが、平凡な生活の裏にたくさんの思いが犇めいていて、時に切なく、時に朗らかに、時に愛らしく、そして時に胸を引き裂かんばかりに痛めます。
全ての登場人物に心が有り、人生があり、誰もが某かの辛さを抱き、複雑な現実に立ち向かっています。全てです。
そんな濃密な人間ドラマ「明蘭」、最高に面白いです。
これからは皇帝周りの謀まで起こるようで、思った以上に盛り上がって行くようです。

主演、明蘭を演じるのはチャオ・リーイン。序盤はおとなしめのキャラを丁寧に演じています。実はなかなか芯のあるキャラのようなので、今後が期待です。
顧廷燁を演じるのはウァリアム・フォン。現在はまだ再登場したばかりですが、顧家での立場が良くなくて、その中でも反抗的に振る舞い、我が信念を挫けさせず、由々しく立ち回っています。
ここに明蘭が関わり、どう化学反応を起こしていくのかも、楽しみのひとつで有りましょう。
墨蘭を演じるのはシー・シー。
非常に綺麗な方ですが、美人の特性をふんだんに活かして、非常にいけすかない"したたか女"を演じています。
斉衡を演じたのはチュー・イーロン。
私、この方がなかなか好きで、序盤では、明蘭がさっぱり見向きしないので、ちょっと焦れました。無理でももう少し優しくしてあげて欲しいです。墨蘭に惚れられ、また彼女に悪い印象は無いようなので、結ばれるのでしょうか...?
ちょっと得したのは、如蘭を演じたチャン・ジャーニン。先日まで観ていた「大唐見聞録」で皇女、李安瀾を演じていましたが、そのクールビューティぶりと正反対の、歯に衣を着せないおしゃまなお嬢さんを、可愛らしく、ちょっと憎らしくも、豊かに演じていました。


ついでに「花不棄、運命の姫と仮面の王子」が終わりました。
いや~...感想。
「なにこれ...」
(厳しく、ハッキリ言わせて貰ひます... )
全編に渡り、一貫性の無い言いっぷり動きっぷりで、いつも「何で?」と頭を抱えながら観ていました。どうも、心理も状況も精査されていないとしか思えません。シナリオが酷い。
また折角の、見せ方は悪くないメローシーンも、もとより物語としてメローを描いてないので、さっぱり浮き浮きしません。

花不棄(かふき)って何?特に何でもない作られた成功者でしかありません。努力もしないし、優しくもないし、才覚が有るわけでもない。
生まれながらにして物乞いで教育は路地裏での実生活のみ。だから算盤使えない、計算出来ない、学無し、礼儀無し...
なのに、誰かの言葉で「教育を受けて」と言われたら、瞬く間に何でもやりこなすお嬢様に。
ただ、弱い方が話が進めやすい時は「物乞いだったから」と無能に成る中途半端な都合設定。
また、前述、恋のときめきがさっぱり無いので、仮面の王子、陳煜(ちんいく)と恋愛が始まっても、音楽鳴らして眼力集めて、その時だけの空っぽムード。何しろ、何時から何処から恋愛が始まったのか、さっぱり分かりません。
後に東方炻(とうほうせき)と出会い、彼に惚れられる事になりますが、まあ、説得力の無い愛でも好きな人が居るので、当然、花不棄は見向きもしません。
しかし、望まなくとも、たくさんのエピソードを踏んで行くふたりを観ていると、その偏愛は陳煜による出所不明の愛よりも遥かに説得力がありました。また東方炻、命を賭けて花不棄を守ろうと、父まで裏切る覚悟の愛... 泣けてきます。
花不棄がそんな彼を理解して(受け入れなくていい)庇うから、東方も最後には背中を押してあげる...そんなラストに期待したけれど、作り手がやりたかったのは、取って付けの血みどろ惨劇。非常に取って付けで軽さ満々。どうしようもない。キャラをたくさん出し過ぎて、都合キャラだらけに成ってます。処理場に困って最後はぽいぽい捨てちゃいます。

また、終盤、作戦とは言え、主人公側が非常に姑息でいけません。嘘の降伏に、病を蔓延させて数万もの兵士を殺害...その合間にも嘘、嘘、嘘...
なんかゲンナリ...
純愛を題材にしておきながら主人公たち以外の(命を賭けるほどの)純愛は、ささやかにも尊重されず、悲撃のヒロイン症候群の花不棄にただ唾を吐き掛けられる。
演じたアリエル・リンによる"フンッ!"や"チッ!"みたいな演技に落胆二倍でした。
東方炻、良い子でしたよ。あそこまで同情されなくする事は無いと思う。
終盤の花不棄は、死人溢れる劇的展開の中でも、自分の願うように成らないからと、不貞腐れてるばかりで、友の死さえも一度口にするだけで、基本、悼みません。
"花不棄"...主人公なのに、あまりに魅力が無い。
...更に、あの軽薄ラストは...なんです?
チャン・ビンビン好きでも、残念無念感に悶えました。
まあ... 褒めるところが有るならば... 歌は良かった。


☆最近、映画を観る機会がぐんと減ってしまっています。観ようとは思うのですが、やはり見応えある作品はちょっと題材的に重いので、観る前に躊躇ってしまいます。
比べて急に音楽を聴く機会が増えました。
始まりはタイによるT-POP。で、今は中国C-POP、その中でも周深さんが秀でて凄い。
もう衝撃的な凄さです。
彼... おそらく誰もが彼?彼女?と思う筈。中性的な美しく伸びやかで心を揺さぶる表現力に圧倒されます。
YoutubeでMVをたくさんダウンロードしてしまいました。
中には「千と千尋の神隠し」の「♪いつも何度でも」(...かな?)を中国語、日本語でも歌い、オリジナル以上に感動必至でした。
また、ディズニーアニメの「ズートピア」の主題歌「Try Everything」も歌っていて、これ、大好きなので、非常~に嬉しかったです。
更にお気に入りはドラマ「長歌行」のエンディングソング「繭」。
本当に美しい声... また豊かな歌いっぷりで、心を洗ってくれます。ドラマも観たい!
中国語字幕で一話だけ観ちゃいました。非常に面白そうです。

誰かの才覚に触れると、つい自分って何だろう... 価値がある?とまで考えてしまいます。
私、持ち前、軽いので悩んでも短時間ですが、やっぱり悩んでしまうくらい周深の歌は凄いです。囚われてます。
... まあ、本当は「ドラクエビルダーズ2」のすごい町の作り方も気になっていたりして。:p
時間を掛けて、そこそこのチャイナタウンを作りましたが、やはりダウンロードの更新無し、和風パック無しであることと、元の地形を崩さないで町作りを進めてしまったツケは確実に出てます。

でも頑張るぞ~...不毛です。ほどほどに生きませう。