素晴らしく高尚な芸術的映画と、散々な駄目映画。どちらがお好き? | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

巷ではいろんなかたちで大騒ぎしている方々が多いけれど、私達は今、最悪の脅威を前にしているのだ。
「Zoombie、ズーンビ」
エデン野生動物園。そこは絶滅危惧種の保護を目的とした広大なテーマパーク。所長のエレンはここを祖父から受け継ぎ、再興を悲願にしている。
そんな時、診療所で治療を受けていた猿が発作を起こし絶命、獣医たちは必死で蘇生を試む。猿は蘇生するが、直後、奇声をあげ獣医に襲い掛かった。異変を察知し救助に来た所員は、猿が人を襲い、傷付け、その体を貪り喰う姿を目撃する。
本作は「ジュラシックワールド」や「ジュラシックパーク」を基に、恐竜を動物に代え、更に襲撃する根拠を何らかの事情で生けるものを襲ってしまう、"ゾンビ"、と設定しました。
これゾンビなの?と思いますが、あまり気にしてはいけません。ある意味、ゾンビの源、ハイチの魔術による"ゾンビ"には、こちらの方が近くも感じます。(真相は2で)
恐竜だとCGが大変だから動物にした?と思いましたが、概ね、動物はCGで描かれていました。そこそこ手間は同じくらい掛けています。
製作はアサイラム。あのアサイラム。まあ、最近のアサイラムは頑張りも有るので、観てからでなければ捨てられません。
が。これは、良くないアサイラム品質でした。
2016年作品。
先ず、役者の演技が良くない。何とも...稚拙です。銃を撃つシーンなんて"ごっこ"にしか見えません。更にそのキャラクターの描きが淡白で活きていません。
パニックものは命を落とす全てのキャラクターにどれだけ感情移入し、口惜しさを感じるかだと思います。所員の数はそこそこ居るとは言え、やはり少なめなのだから、死が訪れる度に悔しみたいもの。ですが、どうでもいい扱いしかされないキャラばかり。
せめて襲撃シーンに妙でも有れば見応えを感じるものでしょうが、そんなシーンは、カメラを振り回すだけで緊迫感を醸し、役者がバタバタと足踏みしているだけでパニックを演じる...そんな如何にもな安っぽさに萎えるばかり。
VFXもイマイチ。今更なのに「ジュマンジ」第1作目より遥かに酷い。
脚本も最悪で、それなりにドラマを紡ごうと努力しているのは分かりますが、全編が非常に緩い繋ぎで、シンプルにパニック路線を踏めば良いのに、下手に伏線めいたりキャラをあちこちに散開させて、それぞれに異常事態が振り掛かった時の対応や違う動物に襲われる事を楽しませようとする。それは良い。しかし、キリンに襲われたり猿に襲われたり、像やライオンやらサイやらと、なかなか見せようと努力しているのに、どれもさっぱり刺激的に見えない。
おそらくレイティングの問題か、動物愛護団体対策なのか、ここぞの生き残りバトルを目撃者の表情で見せようとする、そんな映画都合が非常に残念です。
中でも話の要である筈のエレンの娘とゴリラのキフォによる友情の話は、単純に襲われるだけのパニックを一転させる重要な要素なのに、さっぱり活かさず、更に忘れた頃に大ボス扱いでキフォを登場させるセンスは非常に虚しくさせられました。
ここは少女の向き合う心が暴走キフォを止めたり、少女の感情移入が足枷に成ったりするべきなのに、そんなものさっぱりで少女は「キフォ~!」と叫ぶくらいであとはダダ走りで逃げ回っていました。
もうひとつ見せ場は、少女に迫る不穏な気配のシーン。なんとコアラが牙を剥くのですが、その対処シーンが丸ごとカット!あれだけ焦らして怖がらせ(?)ておきながら、エレンが駆け付けたら既に倒していた...そんなオチで唖然とさせられました。
またカット割りや編集が悪く、よく観ないと、どう襲われ、どう倒したかさえ分からない。
そんな見せと繋ぎの悪さも映画の出来を傾かせ、観客の入り込みたい気持ちを尽く殺いでいきます。
まあ、それもアサイラム...。そう思えばまあまあ観られる...かな?
パークの職員もまあまあ居るし、パニックに成ってからは街のパニックも映る為、ちょっと映画規模が有るような"錯覚"は覚えます。
登場人物もそれなりに個性が有るし、キフォの存在も観客の想像と期待でドラマを深め、まだ感染前?の象なども居たりと安易な"敵ばかりパニック"にしていないのも、期待だけはさせます。期待だけは...
昔、タコが海洋パークを襲う「テンタクルズ」では主人公たちを助けるイルカが居たり「コンゴ」では秘宝ブルーダイヤを守るために調教された凶暴ゴリラに襲われた際、手話まで覚えた動物園ゴリラが人間を救うなんてシーンも有りました。
つくづく象やキフォにそう言う展開を期待したのに...邪険に扱われる動物たちに、哀れみさえ感じさせられました。
キフォ。表情などにCGを使っていますが、基本、着ぐるみです。ダサさが意外と愛らしい?

作り手の見せたいものは基本、動物に襲われる人の姿。しかしそれもお座なり。何を見せたくてこの作品を製作したのか、疑います。
そんな期待と失望が入り交じりながらも、不思議と観られるのが驚きですが、同時に不思議なほど緊張感が持続しない事に驚くばかりです。
あれこれ対パニックの施策も安易に失敗を重ね、正直、呆れるレベルで酷い。「猿が危険よ!猿に気をつけて」と言うだけで被害拡大が相当減ったのに、危機を伝えるだけなので、所員は状況把握しようと逃げ腰足踏み。当然、みんなバタバタと命を落とす。登場人物は基本、数減らし。たくさんの個性的なキャラクターも活きず、台無しです。
変に「ジュラシックワールド」を意識し過ぎた為(エレンが履く靴まで模倣?)に、パニック対応と処理の仕方が現実的で無いのが更に無念。特に、あまり口にはされないけれど、折角のカタルシス"パーク再興"は良い要素に成った筈。その為に騒ぎに成ることを恐れ、通報が遅れた事が被害を拡大させた!みたいな、対応を失敗したかのようにすれば、如何にもなパニック映画の王道展開を期待出来た。更にドラマもそれなりの見せ所と成ったかも。
「保護だなんて...そんな人間の奢りが動物たちを苦しめていた。私達はそんな彼等の声無き怒りを見たんだ」
そんなキメ台詞をラストに聞きたかった。
方向は間違っていないので、丁寧にキャラを描き、カタルシスを大事に、見せ場をきちんと作ろうとすれば、良きアサイラムに持っていけたと残念に思います。

終盤の鳥園での攻防はなかなか見応えあり。ゾンビ化した小さなインコによる鳥園脱出方法はシュールですし、大型の鳥に襲われたメンバーが行ったやっつけ方も、大胆ながらシュールで、何故か笑いが零れます。
最後まで観ると良いシーンも...と言うより、ちょっと麻痺してしまう変な中毒性が有るのかもしれません。
アサイラムとは言え、CG使ってみても、40年前の動物パニックものの足下にも及ばないのは無惨としか言えない作品でしたが...
続編に期待です。:p

で。
「Zoombie、ズーンビ、ネクスト・レベル」
動物園に動物を派遣する保護施設公園では、様々な種類の動物たちが保護されていた。
深夜、密猟者が施設に侵入、動物たちに麻酔薬を基とした特殊な科学薬品を投与する。
しかし動物は思ったようには反応せず、それどころか、錯乱し、更に穏やかだった動物まで凶暴化してしまった。
その異常性は動物たちに次から次へと感染を拡大し、施設は大混乱に陥ってしまう。
責任者のブルックは何とか事態を把握しようとするが、捕らえた密猟者も口が固い。
しかし凶暴化した動物たちの牙は直ぐ目の前まで迫っていた。
原題は「Zoombie2」アサイラム製作、2019年作品です。
初見...あれ?前作の続きでは無いの?と思いました。一見、前回のエデン動物園かな?と思いましたが、何と無く違う。しばらくは事態をどう収拾させて園の再開にこぎ着けたのか?と、その辺りの鍵を探してしまいました。全くの別施設でした。
今回の動物はミーアキャットに始まり、ヤマアラシ、アナコンダ、ワニ、カバなど新種も参戦。
その可愛さ、愛らしさに反してなかなかの凶暴です。
CGは続編製作までに3年も有りながら、さっぱり進化していません。非常に出来が悪いです。
ただしヤマアラシは意外の芸達者ぶり(CGですが)、何ともおぞましくも愛らしい。
針を飛ばすは噛み付くは、指は噛み喰いちぎられ、丸ごと噛み砕かれ...まあ、殺しのシーン"だけ"はアサイラムもやる気満々。
映画としては...前作同様のノンストップ感はなかなか。前作はドラマ時に緊張感が萎えましたが、今作は途絶えません。
キャラクターも前作以上に立っていて、更になかなかの個性的。主人公ブルックはなかなか美人ですし、密猟者のジェゼルは首謀者ながら思想や意思を感じられて、更に事態の拡大を知ると「私こそ何とか出来る」と今風の科学者然として、また自らの犠牲も厭わない勇敢ぶり。なかなか魅力的でした。また密猟者のトロントも非常に人間臭く、初めは事態に泣き言ばかりで怯えまで見せますが、後に「敵味方言っている場合じゃない」と警備員たちを諭し、更に彼も自らの犠牲も厭わない勇敢さで主人公たちを救います。
そんな多様なドラマとアクションを丁寧に撮る、確実な演出が充分で、役者の演技も動きも前作を忘れるほど充分。それを追う撮影もしっかり撮っています。
CGこそイマイチでも、そこは上がった演出でカバー。脚本もなかなか書き込まれていて悪くないです。
迫る恐怖、意外な出来事、敵味方の関係図、謎の解明、事態への対応、失策、善戦...
良い形で進化してる"2"はアサイラム製にしてはなかなかの健闘を見せていました。
確かに、扉を閉めない、連絡しない、仲間が近くにいるのに声すら上げない、車で逃げずに走る...など、頭を抱える難解行動を目撃する事も多くありました。
だから期待はしちゃいけない。
とは言え、受け入れる心を前面に観続ければ、それなりに見所も待っています。
...前作も同じことを言いましたね...でも今作はひと欠片くらい違う。
警備員と悪党の尊重し合う姿、判断と意思、そして選択と理解、絆...
そんなドラマがサバイバルアクションの中に劇的に描かれていきます。
何より、楽しませようと頑張っているところが嬉しい、軽快痛快でした。
密猟者トロント、この人、最高です。

前作を観てないと分からないけれど、オチもなかなかでした。今作は"実は"が有り、前作の謎が分かる仕組みに成っています。

ただ、気持ち良く期待させておいてからのジェゼルの顛末は、あまりに酷い。キャラを散らすだけでなく、生かして活かす事も楽しませて欲しい。
とは言え、所詮のC級でも、ドラマを見直したアサイラム映画はなかなか良かったです。

ここまでは馬鹿映画。
そしてこちらは、180度目指す所の違う、高尚な映画です。
「Shadow、影武者」中国映画です。
時は戦国時代。都督は影武者を忍び育て上げていた。目的は奪われた我が国を取り戻すこと。その計画は着々と進み、思いは結集、今ぞ時が来たと、作戦は決行される。
しかし、数々の手練れたちの駆け引きは、思いもよらぬ結末へと転じて行く。
監督はチャン・イーモゥ。
序盤。正直、私の脳では何が起こって、何をしようとしているのかさっぱり分かりませんでした。「三國志」の一編が基に成っているらしいので、もしかするとその辺りを愛でている方には大したものでは無いのかもしれませんが、私は今でも細部が分かりません。
しかし、美しい映像に品格ある中国歴史ものの厳かさは、始まりから非常に魅力を醸します。
まあ、とは言え、水墨画のような、一見モノクロと思い込みそうな映像は、雰囲気があり良いのですが、その広がる黒みは"焦げ"のようにも見え、世界が焼け野原みたいに見えてしまいます。モノクロ映画に有りがちな、遠近感が無いように錯覚し、世界が狭苦しく感じられます。
更に、ある状況に陥った状態から映画が始まるので、人間相関図はおろか目的さえも分からないので、国の状況が分からないまま続く難解な会話と報告に、もういつ投げてしまおうかと止めるタイミングを測って観てしまいました。
ジリジリとお尻が浮き始め、さあ、私の記憶からこの映画を消してしまおう!と思い切る寸前。
ふと、私の目を惹くものが画面を彩ります。
武侠です。
中国の、目眩く、あの、人間の美しさを見せ付けるような"舞い"が画面いっぱいに満ち溢れます。
更に、キャラが思惑を抱きながらその謀を語り出し、目線、躊躇い、意気、決意...無駄無く繰り広げられる"人"その全てを見ているだけで、意味が分からぬとも醸す雰囲気と零れ溢れる思いに飲まれ、もう、目が離せなく成りました。
その頃には灰のような映像にも慣れ、そこに見える全てのものが輝きを放っている事に気付きます。それは作り手たちの情熱の結晶。
セットなどの拘りはあまりに素晴らしく、そこで演じる役者たちの時代の慣わしや身振り、こなしも目を飽きさせません。
静と動、衣服の擦れる音、そよぐ風、雨雫、打音、刃物の鈍い光、金属音、琴、血飛沫...全てが計算されて作られたかのように非常に落ち着いた調和を保っている。
舞いや演奏が心や思い、それらを超えて世界や哲学、理までも感じさせるような気さえしてくる...
それでも話の進行は非常に淡々。琴の調べのような繊細さとも言えるかな?芸術性は感じますが、映画としては退屈一歩手前。
何しろ前半は影武者計画が!だらだら繰り広げられる宦官たちの堕落した政治劇の裏で進められているのですが、誰のためで、どんな大義に繋がっていくのかが分からず、何とも盛り上がらない。中盤にようやく方向が見えても、その辺りから結末は想像つくので、また続く淡々さを、よりまた退屈に...

ただし。
反旗、そしてその決死の終わりは、待ちくたびれながらも圧巻でした。荒唐無稽の武器を携え、また驚愕の大作戦は、まさに漫画のような戦いで、失笑寸前。しかしその抱える大義や、複雑に揺れる関わる者たちの"想い"まで、切なくも由々しく舞い、散って行きます。
そして...シェイクスピア並みの結末に感嘆。
「影武者にも影がある...」
在り来たりながら、痺れます。
芸術性豊かな中国武侠ものが好きならば、酔えるほどの映像世界を体感出来るかもしれません。
大したことではないかもしれませんが、故に、若手の現代臭い演技が非常に浮いて見え、違和感を感じるかも。
前半は胸踊らないけれど、観終えて満たされる、そんな映画でした。
結果、私の記憶に残る映画と成りました。
止めなくて良かった...


アサイラムがもう少し志を抱いてくれたら、何か違うものが生まれるのでと思います。
ですが稀に奇跡のような作品があるのも事実。そう言う作品を作り出せる演出家や役者をアサイラム・プラチナみたいにひと格上に上げて活躍させてあげたいとつくづく願います。
画のチープな「ゾンビ影武者」をぜひ、アサイラムの映画愛を土台に、ぜひ、作って貰いたいものです。


☆スイカももう終わりかなあ。値段が格段に上がり、更に質が落ちてきました。
まだまだ暑い毎日なのでもう少し果汁たっぷりのスイカに依存したいのに。
比べて今は桃が最高です。外れが有りません。高くても試す価値有りですよ。梨も美味しくなってきました。

ホルモン治療をしていると、耐久力が無くなっていけません。体が持ちません。ホルモンが体の調律を正し、救っているのは確かなのですが、そのホルモンが体を弱くもしています。
どうしたら良いものか... 
手作りマスクで買い物に行ってきます。
お、雨の気配の曇天に躊躇ったら、雨が降ってきました。夕立ならぬ昼立?
濡れるのはまだ構わないけれど、転んだりしませんよう。