刺激的なB級映画はAより記憶に残る。 | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

先日、ドウェイン・ジョンソン主演の「スカイスクレイパー」を観ました。私、彼が好きなので、ちょっと評価増し増しで、そこに問題は感じていないのですが、これ、非常に無理がある作品で、何とも...ハリウッド映画の明日を危ぶみます。
ある香港の世界一巨大な最先端ビル"パールビル"はオープンを控えています。ウィルはセキュリティの調査を担い、そのビルには家族も連れて来ていた。そんな時、屈強な傭兵たちが侵入。彼らはビルに火をつけ、更にウィルからセキュリティを奪取する。ウィルは命を狙われ、警察を敵に回しながらも、家族を助けるために燃え盛るビルに乗り込んでいく...
すごいスケールの映画なのですが、どうも地味でいけない。パニック要素が高いのに、登場人物少な過ぎるから?
先ず、不可思議な中国毛色に違和感を感じてなりません。警察の機動隊?だった主人公が引退して建築物の安全性調査員?そして香港の世界最大のビルを任される?
引退から10年経った設定なので、有り得なくはないけれど、序盤に振ったネタは活かした仕事まわりにして欲しいです。
それから、顔認証でタブレットが使えるのに、敵は引ったくりをするのですが、認証はどうするつもりなの?最先端セキュリティの筈が一度認証したら使い放題なのも微妙。他にも最先端ビルにしては住民管理やらセキュリティドアにしろ防火扉にしろ、設備の動作が中途半端。
宿でウィルは犯行計画を知り、そこに敵がやって来るのですが、ウィルはおそらく取り押さえられているだろうと予測出来るのに、やって来た敵は機銃をむき身で持っていて、顔を合わせた途端に撃ってくる。制御室では所員を機銃掃射するも機械は全部無事...そんな違和感が後を絶ちません。
ネタとしても、犯人は「あいつかな?」が全てそのまま。犯行動機も捻り無く普通。
スマホも使いこなせないヒロインは巨大ビルディングのセキュリティ端末を軽く操作... 
敵は特にセキュリティ監視を重視しているようには描いていないのに「敵が来たらやだなあ」と思うところにはきちんと現れる。
山場の最新テクノロジーの塊である"パール"での戦いは、結局はミラーハウスなので、さっぱり盛り上がらない。
そして、何より、プロットと要素が「ダイハード」まんまなのです。
デイヴ・バウティスタ主演の「ファイナル・スコア」もプロットまんま「ダイハード」。場所がスタジアムなのでジャン・クロード・ヴァンダム主演の「サドンデス」の要素を盛り込みながら、上手くアレンジ、融合され、更に犯行動機とその顛末はなかなか見応えがありました。
しかし。今作「スカイスクレイパー」は...新味はさっぱり見られません。あえて言うなら中国?でも、おそらく世界の人が観たい中国は最先端テクノロジーに包まれた中国では無く、下町とかソウルフードなのではないでしょうか?ハイテクノロジーアクションの隙間に古き中国の香りを観ることが出来たら、どれだけ目を貫き心を満たしたことか。
バイロン・マン氏など、中国俳優を世界に売り込み、同時に如何にして中国と言う国が世界を席巻しているかを知らしめたいのでしょうが、それをドウェイン・ジョンソン主演のアメリカ映画でやらなくても...
とは言え、素晴らしい映像の数々は圧巻なものが幾つも有り、退屈しないほどアクションは続くので、見応え有るのは確かです。誰が観ても一度の視聴は充分楽しめます。私は例外。あちこちの粗が気になって「あれ変!これ変!」言いながら観てしまいました。:p
改めて「ダイハード」がどれだけ偉大かを思い知りました。
ハンスの存在感、訛り、ジョン・マクレーンとの駆け引き、先読みや情報集め、意外にもハンスがマクレーンと無線で話しながら居場所を推測し部下に指示する、そんなシーンがどれだけ緊張感を醸すものかと、演出の妙を実感させられました。
更に、目的はテロか?イデオロギーか?実は...そこが見事でしたが、「スカイスクレイパー」ではテロやイデオロギーで無いのなら、犯罪は外部に知られないように行うのが一番相応しいのに気にもしないで破壊活動しまくりなのは、ちょっとどうかと思いました。
私はそんな「スカイスクレイパー」だけで無く、最近のAランク映画の多くがあまり満足出来ていないのですが、その隙間に観た幾つかの小さな作品には何十倍もの満足を頂きました。
あくまで"私は"です。

「ボディヒート・サーガ、魔性伝説」
売れない画家アダムは同じアパートの友人につき合わされ、散々なめに合わされる。更にふたりの乗る車はひとりの女を轢いてしまう。
翌日、ふと彼のアパートにその女が現れる。そして難癖をつける管理人を目の前で殺してしまう。
しかし、アダムは彼女を恐れながらも不思議とその魅力に惹かれ囚われてしまう...
かつてドリュー・バリモアやアリッサ・ミラノによる映画「ボディヒート」は悪女のような女の子が男を翻弄するサスペンスドラマでした。原題「ポイズン・アイビー」は後にミリアム・マクドナルドへと続き、評価を得ていました。
そしてエステラ・ウォーレンの「ザ・ボディヒート」、そして今作「サーガ」へと続きます...ってさっぱりシリーズじゃありません。良くて1と2だけ。ミリアム版は乗っかり続編。エステラと今回のエリ・エバンズ版は原題から違います。
原題「MUSE」。美と芸術の女神。囚われ翻弄されるけれど、アダムは素晴らしい絵画を描くようになります。劇中、実際に絵が魅力的に成っていくのはなかなか頑張りました。
囚われるように心に焼き付く女のイメージ。その瞳は彼の人生を狂わせていく。彼女は何者なのか?女は、ことあるごとに彼の前に現れる。
夢魔のような女(暴力的なまでに愛を求める妖精リャナンシーらしい)は、在るだけで魅惑が嗅ぐわう。また演じたエリ・エバンズも非常にセンシティブで妖しく美しい。まさに画になる。
ただ残念ながら、序盤の物語が惹かれない。主人公は友人に巻き込まれ散々な思いをするが、何故、主人公はそんな人生を送っていたのか?お金が無いだけにしてはどうも説得力に欠いて感じます。意外と支持者が居たりするので、不遇さを受け取り辛いのかもしれません。お陰で初めからどうも"?"が付きまとい、感情が寄り添わず、駄目かも...と思いました。
しばらくは映画は淡々、意味不明ぎみのまま流れます。
しかし、半分過ぎた頃から映画はホラー方向に傾きます。そうなったらもう後は女優の魅力に身を委ねればいい。非常に美しく撮れています。
誘惑系映画は悪魔、妖精と言えど、感情を載せて演じ過ぎる事が多い。当然、その方が観ている方は惹かれ易いし、感情を煽られ性的に高ぶるのに適しているのだと思います。しかし、故に演技に依存し過ぎて、演技力に欠くと非常に安っぽくなります。
が、このリャナンシーは徹底してクール。悪魔的妖しさが非常に高く、性的なシーンにも如何にも精力を吸い取っているように思えてなりません。干からびて...みたいな「スペースバンパイア」的なVFX映画には成りません。あくまで"愛"を我が物にし、貪り囚う事が全てです。
その為には邪魔する者などゴミ同然。
その狂暴さは、強烈です。
終盤は男の過信から悲劇は広がります。しかし、アダムは恵まれていた。欲は、労りやささやかな愛に挫けていく...が...
そんなテーマは映画の魅力を引き立てます。
"が"の部分はオチが有ります。多くの方はそのオチが嫌いみたい。私も期待していたものとは違いましたが、あれはあれ。
欲を取るも人生か。
演出は凡々。しかし脚本が頑張ったのか映画的要素はなかなか良い。「裏窓」風のアパートの中庭を挟んで見えると言う情景を利用した、幾つかの"出来事"も、映画を引き立てています。
何しろ、妖しい雰囲気は全編を彩り、血と死の香り漂う緊張感の中、エロティシズムは私達の心を絡め、酔わせ、女はその肉体で飲み込んでいきます...

リャナンシーを演じたエリ・エバンズは「ゾンビワールドへようこそ」でストリッパーゾンビを可憐に?演じました。媚びは無く、徹底した"演じ"には満足させられると思います。彼女、カッコいいです。
「ゾンビワールドへようこそ」より。


「プロスペクト」
とある惑星に父娘は、囚人護送中の傭兵たちの依頼で、土着生物の産み出す鉱石を発掘する任を受ける。しかし娘シーは消極的。星への着陸は失敗、更に謎の男たちに身ぐるみ剥がされそうになる。夢見がちの父デイモンは次こそ次はと欲をかき、命を落としてしまう。
逃げたシーはひとり帰投を計るがポッドは直せず、食料も尽き掛けた時、彼女の前に現れたのは、父が命を落とす理由に成った男エズラだった...
この作品が描くのは近未来の宇宙世代に生きる、とある少女のこと。あくまで平凡で、亡き母を想い、音楽が好きで、のんびり生きていたいと願っている。
比べ、父は野心家で、生活の為にチャンスには飛び付き、それ以上を求めている。
そんな父が命を落とす。
少女が全てを失った瞬間だった。
しかし、父が教えた事は少女を幾度と生かし、ただ、それが完璧ではないことを思い知る。少女は選ぶ。そして別な人物と"生きる"を共にする事で、新たな可能性と選択肢を増やしていく事になる。そんな話。
親は子に、持つ知識を全て伝えるべきだと思いました。そして人と出会い、その知識を増やしていく。そうして子は強くなり生き抜いていくものだ。そう描いている。
娘にはふたりの父が居たようなものだ。家族だけを信じればいい。そう信じさせられ信じてきたが、そんな彼女は、経験し、人と向き合う事で選べるように成っていく。失敗もする。でも同じ失敗はしなくなる。そして逃げない強さまで持ち備えるまでになる。
そんなシンプルな成長物語。
この映画が惹き付けるのは、丁寧に描かれた成長物語だけでなく、細部の拘りがある。この映画のオブジェは新品が無い。全て使い古されていて、多く調子が悪かったり故障している。更に私達の現在にも思う"懐かしアイテム"が最先端?の宇宙船内に点在していたり、あれこれ食す姿を見たり、歌を聞いたりする姿も見せる。そんな宇宙世代の生活感が描かれている。かつて紹介した映画「ホワイトスペース」のように、ローセンス転じたハイセンスな魅力を放っている。
また、その音楽に関しては、それを武器にも使うシーンがある。拷問のひとつに音楽があると聞く。映画の中でも見掛けますよね。そんな行為はSFには合っていないように思えるけれど、観ればこれがなかなか新鮮に見えるものです。
そんなアイデアにも溢れています。そして低予算ながらの頑張りも。
スーツは服こそシンプルながらヘルメットは映画「スフィア」並みにフォルムが良い。充電式ライフル銃?など、ちょっと凝ったアナログタッチなアイテムも味がある。
宇宙の描きや星での風景はなかなか美しく、その雄大な自然の中にちっぽけな人間は如何にも脆そうに見える。
映画「ピッチブラック」を思い出しました。あれのジャングル版。殺人モンスターは居ませんが、変わった土着生物はちらほら目撃出来ます。CGでは無いので80年代SF映画のようで、愛らしささえ感じます。
後半はシーとエズラのふたり旅に成ります。シーは、裏切られる恐怖を抱えながら、ずっとエズラを見定めようとしています。
しかし、彼は知らない人。危なげで、けしかけるような事を言い続ける嫌なやつ。彼は無事に星を出たいと思い巡らせている。きっといざと言う時、隙を見せたら裏切られる...
シーは粋がりながらも、頻繁に弱さを露にしてしまいます。隙は幾らでもあった。しかしエズラはそんなシーを決して傷付けようとはしなかった。
シーの計画は、父デイモンが雇われた傭兵たちの船に乗せて貰うこと。それだけを頼みに選択を続けるが、全てが思うようには行かない。出会う人達はみな、思惑を持っている。命の危険にも苛まれる。
そして、シーは誰を信じるかを選ぶ。
この映画は、あくまで人が織り成す、SF世界を舞台にしたドラマです。派手さは有りませんが、繋がりのドラマは非常に面白い。
それも作り手の拘りと映画愛有ってこそ。

シー役のソフィー・タッチャーは、「スイッチ・オフ」のエレン・ペイジに似た印象を持ち備えているように感じました。
まだ未熟ですが、これから期待の女優さんに成るやも知れません。
エズラ役のペドロ・パスカルは良い男ですね~。危なっかしさも携えた瞳と言動でシーを翻弄し、その上で良い男を見せ付けます。彼、「ゲーム・オブ・スローンズ」のオベリン・マーテル役で有名でしょうか。

2作とも素晴らしい作品ではありませんが、作り手の荒々しい手垢があまりに煌めきに満ちていて、私の心に痕を残しました。
こんな映画なら100回観ても飽きません...おそらく。


☆いよいよ夏の気配が満ちてきましたね。
そんな時のちょっと寒い日に、お風呂の給湯器が壊れてしまいました。
お陰で風邪ひいた~。
今、冷蔵庫も操作パネルが故障していて温度設定や氷作りが出来ません。更にBlu-rayレコーダーは異音がするし、テレビも怪しい。オーブンレンジはポンコツでいつ壊れてもおかしくない...
また、夏の嵐であれこれ痛まない事を期待します。そう言えば先日、庭にいたら上からアルミの棒が傍に落ちてきて、庭の鉢を貫きました。
アナログアンテナの棒が取れて落ちてきたようです。
あと数十センチずれていたら、私、もう、この世に居なかったかも。
そう思うと、人生は儚い。精一杯、正しく生きよう!と胸に誓うのでした。
風の強い日に煽られながら...

愛する姪のゾーイはポニーに乗馬。何て言っているのか分からないほどの悲鳴をあげていましたが、終わってみたら「乗馬大好き」だそう。
今は公園のスプリング付きお馬さんで心を満たしています。
これ、3歳の子の今日この頃です。
姪っ子の愛らしいイラスト。「アナと雪の女王」が好きなので...オラフ?かな?
大好きです、ゾーイ(*/∀\*)キャ♪