千葉は地震が頻繁中。今朝も庭に居たら、地面がぐらぐら揺れました。コロナと言い、今こそ、人生や人たるやを考える機会ですよ...と、なにがしかに囁かれているのかもしれませんね。
なので。
スケールの大きさにお腹いっぱいになる良い映画はたくさん有りますが、そちらは他の方にお譲りして、私は、人を選ぶけれど、映画愛を受け取れる作品を。
「ロード・オブ・モンスターズ」
海底資源を調査する会社ベンシックはケルマディック海溝1600mのカルデラで鉱物を発見する。しかし、直後、無人探査挺は事故を起こしてしまう。
社長のベン・フォードは、技師のシェリーズとライリー、事情で同行する国際海底機構の監視員サラ・マーレイを連れて海へ出るが、そこには巨大な未確認生物が待っていた。
原題は「Monster Island」。後に向かう島のことです。日本版のDVDパッケージは「ゴジラ、キング・オブ・モンスターズ」を意識しているのがありありですが、オリジナルは「パシフィック・リム」っぽい?「スカイライン、奪還」のロボットにも似てる?
で。アサイラム製作です。
まあ、その程度の映画...と思いき、意外にも脚本の書き込みが凄い。専門用語が次から次へ。ちょっとスルーしてしまいながら聞いていても、そのリアリティは雰囲気を醸します。登場人物それぞれの性格立てもきちんとしていて、その掛け合いは相手の反応をきちんと見ながら会話しているのがよく分かります。
チャラいながら正義感は人一倍強い社長ベン。好奇心強い女技師シェリーズ。優しいが気の弱い男性技師ライリー。仕事一徹の調査員サラ。サラはしゃかりきに怪獣に挑むメンバーの脇で口数少なく常に唖然としているようですが、実は知識が脳裏を駆け巡っている学者崩れのインテリ。地質神話学から解決への糸口を模索します。そしてサラが地質神話学の元教授レナ・ハンガロアにしてしまった事は、サラの決断を躊躇わせますが、いざ、緊急事態をレナに告げると、レナは「過去の事は過去。今は何より私の出番ね」とばかりに率先してサラたちに協力します。
また、登場シーンは少ないながら良い味を醸すのは、ベンの盟友である船のキャプテン。「鮫の惑星、海戦記」の軽薄悪漢を演じた方が演じます。またもや微妙な演技でキャプテンを演じられていますが「怪獣が相手と知っていたら来なかった」なんて言いながら、怪獣に津波にとその手腕で危機を乗り越え、最後まで仲間を見捨てず、別れ際には友情の握手をする男らしさ。
そう。この映画ではみんな、事態に一丸で立ち向かい、過去のしがらみも放り捨てる潔さ。みんな、非常にカッコいいのです。この手の映画に有りがちな仲間割れに焦れません。
唯一、お決まりの敵は軍。
プライドがちがちの融通利かないホーン大将は厄介で、話は聞かないわ、あれこれ邪魔までしてきます。
しかしベンが連邦議会の方と縁があり、大将の思惑は次々挫け、途中、撃退作戦成功目前に邪魔をしますが、それも交わされ、そのまま次のステージへ。映画は止まりません。
そして大将は自らの攻撃作戦を決行し、容易く怪獣に敗北、貢献も無く教訓も無く退場する始末...無念な方でした。
モンスターはタコ型。もしくはイソギンチャクかヒトデ。地質伝説学には太古からの記載が有り、大地、それもマグマから生まれた怪獣らしいです。そのマグマは怪獣の体の中を血のように流れ、流血し固まると傷を修復してしまいます。
その為、爆撃は敵わず、潜水艦も艦隊もオモチャのように撃沈させられてしまいます。
無敵の怪物、いえ、怪獣なのです。
「怪獣」と言うと安っぽいですが、映画の中でもみんな「怪獣!」と叫んでます。
「パシフィックリム」のお陰か"津波"に続き"怪獣"も世界共通の言葉に成っているのかもしれません。頻繁にキャラが「怪獣」「津波」と叫ぶので、ちょっと恥ずかしいです。
まあ何より、アサイラムの社長いわく、当たらない鮫映画を作り続けることに「何故、作り続けるのか?」と問いかけられ「日本が捕鯨やイルカ漁を続けるから海は人類への攻撃を止めないのさ」と言い放った過去が有りましたが、今は思ったより日本に親しみを感じているのかもしれません。
怪獣はベンたちによる撃退作戦により消沈、しかし、究極の生存本能か、卵を四散、そこから翼竜が!
...あれ?何故か卵から違う生命体が。...おそらく状況に応じて進化する生命体なのでしょう。後にヒトデ怪獣も羽根を生やして飛んで行きます。もしかしたら元は翼竜で、海底火山で力を蓄える為にヒトデ型に進化したのかもしれません。2万年前から生きているようなので、その頃は海が多く、現代では陸も多いので、超絶な速度で順応したのかもしれません...
そうして舞台はモンスター・アイランドへ...ヒトデ怪獣を倒せる怪獣テングを甦らせるのだ!
正直、島の様相くらい「キングコング、髑髏島の巨神」くらいのものを期待していました。太古の植物に溢れ、巨大ヘビとか人食い花とかが、待っているのかと。
しかし、アサイラムスタジオの裏山か、グランドキャニオンの隅っこ?と思うほどの微妙な荒れ地。怪獣テング以外に姿も痕跡すらも有りません。
微妙の種は多くても、きっとテングは凄い筈。ボストンで超絶な戦いを披露したキングギドラとゴジラには足元にも及ばないに違いないけれど、きっと描きで上を行こうと挑んでくるに違いない。
...そんな期待は容易く裏切られてしまいました。
山場である怪獣島での立ち回りは呆気なく、その伝説を絡めた解決の付け方は、唖然とするくらいお粗末。もうひとオチ有るぞ~と待っていたらエンドクレジットが流れてしまいました。
無念。
怪獣のデザインや質感、動きは独特で、模倣とは違った趣きを見せていました。また、卵から孵った怪獣も器用に動き、非常に消防で、ヘリコプターは落とすし、人を執拗に追い掛けるのでなかなか緊張感が有りました。
もう真似っこアサイラムとは言わせません!...でも本筋は「ゴジラ、キング・オブ・モンスターズ」まんまなので威張れもしませんが。
もとい。...まあ、テーマも無いので、あっさり終わります。
「映画「アビス」は本当の事件が基さ」なんて台詞も有ったので、ぜひ、人類が奢った為にやつらは人類を滅ぼしに目覚めたのだ!くらいのテーマを入れておけば良かったのに、オリジナル「ゴジラ」にも無かったから忘れちゃったみたい。
同アサイラム製作の「トリプルヘッド・ジョーズ」にはゴミ問題が有ったのに...
オチは失敗だとしても、脚本はよく書き込まれいて見事なほど。台詞が面白く、感心するほどでした。でもお陰でか、中盤は話してばっかりで中弛みを否定できません。進みはノンストップなんですけど、不思議と展開が緩くなります。
それから。「ゴジラ」でも言える事なのですが、意義や意味のある死は良いのですが、節操無く殺されていくのを観るのって楽しいですか?
映像技術として「宇宙戦争」の服だけ残して消滅!とか、誰かを守るための意義有る犠牲とか、悪漢の残虐性を際立たせるための惨劇なんてのも有りますが、ただ数を減らす展開より、登場人物おのおのが出来ることを駆使して戦い生き残り、安堵の声をこぼすその瞬間こそ、私達は観たいのではないか?
今作でも"脅威"を描いているのだから、犠牲は描くべきです。しかし何人かの死はさっぱり要らない。翼竜の特殊能力による殺害は既に1人目の軍人で見たので、更にふたりも殺される意味は有りませんでした。やるなら、やっつけたと思ったら第2形態による攻撃が!とか自爆に巻き込まれた!とか、そんな予想外の悲劇として描いて欲しかったです。
アサイラムは「シャークネード」でも無意味なほどに人を殺めて、更に笑いに転化しようとしたものだけど、登場人物の少ない今作では、そんなものは要りません。
こう言えば誰もが納得する筈。観たいのは死よりモンスターとの戦いです。
とは言え、孵化怪獣との戦いは見所です。"VS人"は必ず怪獣一体なのがアサイラムの限界ですが、それでもなかなか見せてくれました。
やはりアサイラム。でもアサイラムだと思ったら「結構、やるね」ってこぼしちゃいます。そんな映画でした。
Imdb2.6/10なので、期待は絶対にしてはいけない。
そ~れから。
「メッセージ・マン」
ライアンは船でとある島に立ち寄った。彼は物資補給と部品の修理だけのつもりだったが、とある少年ドーニと縁を作る。
部品の修理は捗らず、ドーニとの縁は家族ぐるみにへと深まっていく。
しかしその頃、島には海賊が上陸し、略奪や誘拐が起こっていた。そしてドーニが海賊の車に牽かれてしまう。ライアンは怒りのまま海賊たちを瞬く間に殺害、その事はマレーシアの財閥の男に告げられる。実は男はライアンに親を殺された過去を抱えていた。
そして、島を舞台に殺戮の炎が切って落とされる。
とある島に立ち寄った引退した孤独な殺し屋が、島の少年と親しくなり家族と触れ合う。
物語は非常に愛らしく始まります。不器用なライアンと元気いっぱいのドーニ。妹のデビとその母も、ライアンには持ち得なかった至福の存在。今までは見ないようにと遠ざけて来たけれど、つい、得てしまったささやかな縁。もしかしたらこの島が船の旅の終わりになるのかもしれない。そんな思いも過る。
しかし。島に来た海賊の車にドーニが牽かれてしまい、ライアンは海賊たちを殺してしまう。海賊の主は殺し屋がかつて殺めた夫婦の息子。彼はライアンに復讐しようとあらゆる手を講じてくる。しかしライアンも黙ってはいなかった。街には銃声が轟き、ライアンはもう戻れぬ現実を嘆き、自らの宿命に命を燃やすのでありました。
ちょっと展開はニコラス・ケイジ主演の「バンコック・デンジャラス」っぽい。主人公はニコラスよりクール。アクションもよりクール。金で依頼して狙撃主を配備したりと、殺し屋世界の有り得るリアリズムがこの作品独自の雰囲気を出しています。
しかし、敵も金で殺し屋を雇ってくる。またその相手はライアンの顔見知りの殺し屋たち。
昨日は共に戦ったが、今日はお互い殺し合う。悪いな。
そんな殺し屋世界のカタの付け方、義理のあり方が台詞に載せられ、非常にイカしています。
ドーニ君。良い子です。
格闘アクションはちょっとキレが悪いけれど、それでも銃やナイフを多用に使う戦いは見応えあり。きちんと留目を刺しながら的確に殲滅して行く戦いはなかなか強烈で、刺激的でした。
まさに殺し屋世界のリアルを背景にした魅力溢れるアクションを楽しめます。
後半はそんなアクション詰めです。「ジョン・ウィック」を意識すれば、イメージは湧くでしょう。あそこまでしっかり見せてはくれませんし、派手でも無いし、前述、ちょっとキレの悪さは否めませんが、足らずを埋めるは殺し屋たちの美学とライアンの人情。
アクション映画としても充分なのに、意外にも、人の縁が私達を惹き付ける最大の要素なのです。
ドーニたち家族、人身売買に誘拐されてきた子供たち、殺し屋仲間は勿論、敵に成る殺し屋たち、そしてタクシー運転手。
このタクシー運転手との縁は短めながらまた愛らしく、巻き込まれてからずっと逃げ出したくて堪らないのに、見捨てられない人情家。彼が私達を清々しいラストへと導きます。こんな点もやっぱり「バンコック・デンジャラス」と類似しています。おそらく意識していると思います。同様にアジアの風土が映画に活かされていて、映像的にも魅力が溢れています。やはり映える風土映像は、何より映画を彩り、際立たせてくれます。
ライアン役ポール・オブライエンは、安定した立ち回りと少し重さの有る動きを見せていて、私、てっきりプロレスラー出身の方かと思いました。実は南アフリカ出身の中堅俳優さんでした。ご覧の通りなかなかのイケメンさんです。
監督はオーストラリアの方。
なかなかのユニバーサルな映画でした。
こちらも小品ですが、比べて、人を選ばず、お薦めです。
先日「スパイダーマン、ファーフロムホーム」を観ました。映像は超絶逸品で全編において圧倒させられました。もう浮き浮きしっぱなしでしたし、その溢れるセンスには感動させられてしまいました。
ですが、何故でしょう。満足に弱い。
ジェットコースターは非常に面白い。ワクワクも、高まる意識も最上級。でも意外と記憶に残り、思い出として語るのは"イッツ・ア・スモールワールド"だったり。そんな感じかも。ディズニーは最高の満足を抱く。しかし浅草花屋敷に愛しさを感じてしまう...みたいな?
「アベンジャーズ」は本当に面白い。充実度は計り知れない。でも何故か「ジュラシックエクスペディション」の心意気に愛が湧いてしまう。「キックボクサー、リジェネレーション」の情熱を胸に生きてしまう。
...不思議だね。
不完全の可愛らしさ、見直しましょう。でもそうは言え、やっぱり「アベンジャーズ」は歴史に残る映画たちであることは間違いない。
☆コロナパンデミックが始まってから、不思議と自分本意の行動や差別が蔓延しています。
映画から学んだ事がある筈です。
今こそ、その時に感じたあなたの理想を現実に。素晴らしい来世の為に善き選択を。そして素晴らしい明日を迎えられる為に、祈ります。