♪春なのに~...映画ばっかり観てる... | まりのブログ

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性同一性障害者の私が、思いのままに生きるために頑張って生きてます。
性別適合手術をしてから2年になりました。
私はトランスジェンダーとして誇りを持って生きてます

春ですね~関東は随分と暖かくなってきました。
桜も瞬く間に花開き、心地好い花見日よりです。
世界はあれこれ乱れ、平穏とは行っていないようですが、秀でて酷いことも無く、まあ、穏やかなのかしら?
タイの選挙は王支持派と軍支持派が半数を分けたと聞きましたが、トランスジェンダーの方はどうだったのでしょう?
想い耽る朝に。
ええい。世界は変わるのよ。明日はどうなるか分からない。躊躇って出遅れだと悔やむなら、試して挫けて言い訳したほうが遥かにマシね。
桜だって散っては咲き、また散って、また咲くの。
...って何を考え込んだかと言うと、4年前の自分の写真を見たら、まあ、可愛らしいこと。:p
今の私は鈍ってました。
映画を観て、素敵な女優さんを羨んで、自分に磨きを入れませう。

最近、"映画の台詞が胸に刺さる..."そんな経験はあまりない。単純な台詞にも綴り方さえ間違わなければ、心には届くもの。
素晴らしい言葉は百万の心を揺さぶり、百万の豪傑すらも薙ぎ倒す。それに気付いてしまったら、その瞬間は魂にまで刻みを残す...
そんな映画が、観たいものです。なかなかないね。
でも映画とは。言葉だけじゃない。音や映像でも語ることが出来る。それを為す映画は素敵に違いない。
インビジブル、暗殺の旋律を弾く女」
盲目の女性ソフィアはピアノを演奏し、映画音楽を宛てる仕事をしている。街を歩くのも珈琲を頼むのも手慣れたもの。人当たりも良い。
アパートの上階の女性ベロニクは男性との縁に恵まれていないらしいが、どうすることも出来ない。
ある日、彼女がエレベーターに飛び乗ってくる。何か様子が変だが、彼女は謎のメッセージを残して、その夜に飛び降り自殺をしてしまう...

映画は、少々ポリティカルさが漂うスリラー映画です。
始まって、もう音楽がこんなに素晴らしい映画は久しぶりでした。
BGMとして挿入されるだけなら「マイティ・ソー、バトルロワイヤル」のようにノリを煽るのに充分なものも少なくない。
でも、今作は違う。意義ある選曲です。
始まって、何処か絶えず漂う不安定な旋律。それは盲目の主人公ゆえ。まるでこれから起こることの前兆であるかのように、不安げに漂う。
意味深に描かれる小さな事柄や登場人物。
それは幾つもの"音"で目撃される。正確には聞き耳たてられる?
メトロノームの音...フラッシュバック...見知らぬ人...香り...秘密の手紙...セルビアの戦犯...謎の男...
それらは、ある事件から色みを変える。
音楽は変わらず素晴らしい。何しろメトロノームの音が印象に残る。そしてその音が街に流れた時、ソフィアの世界たる歩みの調べは、このリズムで安全に保たれていたのだと思い知らされる。そして動揺に駆られた際には、彼女の調べは狂いだす。ピアノのリズムは遅れ、音の洪水に飲まれ、車に轢かれそうになったり...
映像も美しい。多様に、そして縦横を無尽に。流麗な旋律のよう。光は目映く陰は密やかに佇む。陰影豊かな世界に住む人物は、生命力を増し、時に豊かに、時にその思惑をぎらつかせる。
思わず感嘆の嗚咽を洩らしてしまう。あああ...素敵...

そして素晴らしさの最たるものはソフィアの動き。
多くアメリカ映画の視角障害者の演じは、頭を傾かせ、少し在らぬ方向を見る。歩き方は辿々しく、スティックをカツカツと地面に叩き付ける。
ソフィアは違う。整然とし凛としている。一見は健常者と変わらない。スティックは地面を這うように動かす。
人に頼らずにも何処にでも行き、帰宅できるし、状況が変われば、その晒された現状を探るように立ち止まり、耳をそば立て、鼻を利かす。そんな感じ。
よく五感のいづれかに障害を持つと他の感覚が鋭敏に成ると言われる。ソフィアは時には鈍感で時にはあまりに敏感。他人を偽ることもする。
まるで長い間、本当に視力を持たない人で在るかのようだった。評価されるべき演技でした。
主演はナタリー・ドーマー。「ゲーム・オブ・スローンズ」では辺境の皇女を演じていました。謀りを抱きながら七王国を統べる親王と婚姻しますが、更なる謀りごとを前に命を落としました。私はあまりそのキャラクターは好意を持ちませんでした。更にナタリーの風貌も少々、乙に済ました印象があり、演技が現代的に感じた事も有って印象が良く有りませんでした。
しかし、今作のソフィアは、そんな彼女のイメージさえも有効に扱えており、とても魅力的でした。
見た目は勿論、役のイメージって偏りを与えます...
謎の男マーク役はエド・スクレイン。「トランスポーター、イグニション」で主役を演じ、私は彼の英国的立ち振舞いにちょっとクラっと来そうでした。:p
今作でも怪しさの中に見せる人間性が、とても良い緊張感を漂わせてくれました。

この映画は中盤から、伏線のように振られ続けていた情報や極小さな物事が繋がり、ある真実を露にする。
実はここから映画は失速する。
何しろ映画が映像や音に頼り、素晴らしい響きを奏でる反面、言葉で語ろうとしないものだから、観客は想像をし始めてしまう。私の想像は、描かれる真実よりもっと陰謀めいてしまい「ああ...そのくらいの話ね...」とトーンダウンしてしまいました。(*_*;
邦題は反則です。「暗殺の旋律を弾く女」はネタばれ...と言うか混乱させます。だから深読みし過ぎちゃった。原題は「In Darkness」。このくらいで良いです。
余韻を味わせようとしているのか、苦痛を苦い味として認識させたがっているのか、無駄にゆるく長カットが続いたり、意味ありげなシーンを描きながら、さほど盛り上がりに繋がらなかったり。
勢い有ってこその終盤に勿体無い。
そうして幾つもの衝撃の真実が連なり、話はゆるり終演へ。
ちょっと説明不足なので、話は繋がるけれど登場人物の行動根拠や反応の真意、陰謀が、何処まで考えられていたことなのか分からず、危機に対してもどれだけ予測していた事なのかが分からず、悪い意味で言葉を失いました。
更にソフィアの真実には、台詞での説明が一切無いので、おそらくそれで良いのだろう...と自己納得しなければならず、スカッと映画を終わらせられない残念さは残りました。
それでも細部の拘りとその為の意欲は敬意に値し、更に美しい映像と魅力に溢れた音楽演出は、一見の価値が有りました。


ちょっと中国映画に肩入れしていたので「王朝の陰謀、判事ディーと人体発火怪奇事件」のBlu-rayと「グレートウォール」の4Kを購入してしまいました。
前者は「インファナルアフェア」のアンディ・ラウ主演で、中国版シャーロック・ホームズと称され、アメリカでは当時の面白い映画11位に選ばれたとか。
う~ん...そこまではお薦め出来ませんが、まあまあ面白いです。
監督は知る人には分かるツイ・ハーク。彼の映画はいつも大味で、ここまでやるか~と呆れながら、何だかんだと満足させられちゃう。
彼特有の荒さと面白さは、今でもそのままでした。
唐の時代、中国初で唯一の女性、則天が帝につく。国は戴冠を祝い、巨大な立像の完成を急いでいた。
そんな時に起こった人体発火事件。国士の命により、前王に反旗を掲げ収監されていたディーがその捜査の任に着くことになる。
彼は若い捜査官ペイと王の警護官チンアルと共に捜査にあたる。
初めは牽制し合う3人だったが、事態があまりに根深いことを知り、次第に支え合うようになる。
捜査は着実に糸口を見つけていくが、悪の刃は躊躇うこと無く、3人の命を狙ってくる。
前述のとおりツイ・ハークだもの。話は荒いし、今時のVFXじゃない駄目駄目なCGとベタなワイヤーワークに唖然とするかも。
ですが、これこそ懐かしき香港映画の魅力です。
あまりに古くさい"武侠"に観ているこちらが恥ずかしくなってくる。でも合成無しのアクションは時に言葉を失う圧倒さも見せてくる。
花びら舞う中を馬が疾走したり、闇と灯のあかり、灯籠と遊女...などなど、あまりに美しいロケーションは如何にも中国らしい。素敵です。
アクション指導は定評のあるサモ・ハン。飽きさせないハイテンポで映画を牽引します。ジャッキー・チェン時代に鍛えたジョークとアクションのミックスは良い感じで、本当に懐かしいです。
チンアル役のリー・ビンビンもアクションに全力参戦。戦う女の美しさを魅せてくれます。
また、特殊な任に在るために、犠牲にしてきた"愛"に心揺れる可憐な部分も見せていて、その切なさには涙腺潤むかもしれません。あまり煽ってくれませんが...
あくまで映画は捜査を楽しませようとしていますので...
ペイ役はダン・チャオ。アルビノなのか、髪も眉も肌も白く、妖しさいっぱい。彼がディーとチンアルと寄り添う内に心が解けていく様は、とても愛らしいです。
もう少し触れ合う姿を見たかったのですが、映画が捜査100%なので...ねえ...勿体無い。

"江戸川乱歩"並みの荒唐無稽怪奇譚と香港武侠をお腹いっぱい楽しめる事は確かです。
そしてお約束の女の魅力はふんだんに画面を彩ります。


「グレートウォール」は以前あげた通り。
4Kは見事に効果を発揮。キャラクターが浮き上がり、その薄汚れた甲冑などの細部までくっきり明瞭。
ただしあまり光の再現に重きを置かなかったようで、光量を上げているのに関わらず、何だか暗め。
折角の鮮やかな甲冑の色味が輝き足らずでした。
それでもあまりに美しい映像の数々は圧巻です。


先日、中国の大学で学生が花見をしようと、伝統服を羽織って赴いたところ、警備員に「和服で構内に足を入れる事は禁じられている」と揉み合いになったそうです。
実は和服では無かったそうですが、私は中国の割り切った反日に未来への希望を感じていたのですが、法や条令、校則にこう言う文言が有ると言うのは、非常に辛いです。
法とは感情を有さないものだから。
世界は混迷を続けています。変えるのは"法"では無く、心だと信じています。
日本もあれこれ禁止が増え続けています。「禁止だからやらない」では無く、「誰かのためにやらない」...そんな社会が一番です。
これはLGBTなどのマイノリティに対する問題も同じことだと思います。
怒る前に優しさを。寛容こそ素敵です。