3月24日。タイで首相選挙が行われます。
そしてトランスジェンダーのポーリーンさんが立候補するそう。あの軍事政権がどう変わるのか。受かるかは別にして国民がどう受け入れるのか、タイが計られるかもね。
結果が楽しみです。
前回の金城君の香港映画から、ちょっと中国映画が醸すわくわくに心が揺れていまして、CG多用の妖怪まで出てくるラブストーリーを観たら、まあ、何とも言えない酷い出来。(*T^T)。
ラブストーリーを観たいのに最近はあまり来日していないみたい。なのでちょっと前に観て、心浮き浮きさせられた作品を見直してみました。
「ミッション:アンダーカバー」
なんともパクりチックなタイトルでしょう...
基本はタイトル通り「インファナル・アフェア」同様の潜入捜査もの。あれこれ似てますが、今作はエンタに秀でようと挑まれています。麻薬密売組織に潜入し長い日々が過ぎて、自分が何者か危うい境界線に漂う...そんな状況に居るリン・カイことリウ・ハオジュン。彼の身分は公式記録から削除されている。
密売のルートを探る中、カイは幾度もの危機を脱し、タイの"ルートの始まり"まで足を踏み入れる。
誰を信じ、信じさせておくか。
そんな駆け引きの中で、事態は縺れ、彼を追い詰めていく。しかし、同時に麻薬ルートは着実に明らかに成っていく...
「インファナル・アフェア」は静の緊張に満ちていましたが、こちらは動の中に緊張を魅せる。常に事態は動き、深みが露になる度にカイの立場は危うくなる。
何処で止まるか、何処まで踏み込むか...先の読めない駆け引きが続く。捜査は芋づるのように麻薬ルートを紐解くが、カルテルの勢力図は複雑に変化し、また、彼は立場を危うくしてしまう。それも結構、傷付くし、命に危険にも苛まれる。
もう、何とかしてあげて...そう喘いでしまうほど厳しい。
中国の映画の美徳は悪役の怖さ。笑顔の中にさえ、狂気を見るときがある。取り巻きにも無名の役者を多数配置し、その見慣れぬ表情に私達の予測を越えて翻弄してくる。
素晴らしい。"見世物"を越える映画を作ろう、そんな意欲が中国映画の質を引き上げる。
更に映画は多様な顔を覗かせる。然り気無い"いとま"のシーンは美しく、陰影深く、柔らかい光や自然の音、画から穏やかさが伝わってくる。凄惨なシーンの事後であるのに数少ない心安らげるシーンだったりする。
ルートを辿る旅は、土塵を巻き上げ、ジープが列を為して走り行く。その様は、戦場に向かう軍列のよう。この先に待つ、もののけの顎に自ら飛び込んで行かんばかりのおぞましさ。
一瞬たりとも気が抜けず、満ちる緊張感に、目が離せません。
麻薬捜査は山場を迎え、最悪の状況に追い詰められる。
状況は複雑な巴の渦中、カイは壮絶な戦いに堕ちていくことになる。たくさんの銃弾と、たくさんの死との先に、戦いは終わる。
切ない終局です。
アクションは壮絶きわまりない。まあ、よくぞそこまでと思うほどの荒唐無稽なアクションもありながら、なかなかのリアリズムもあり、ちょっとドキドキ胸を高まらせながら見せられてしまいます。
終盤のカー&バイクアクションは必見です。凄いです。ちょっと凄すぎて笑えちゃったりして。(๑ÖㅁÖ๑)☆
男達の熱意と哀愁のドラマは素敵です。
しかし、この映画のミソはひとりの女、チンシュイにある。
化粧気も無くクールで冷酷冷徹、しかし自分の立場や縁に対してはとても人間性を持ち、情熱的でもある。彼女が裏切られた時、その怒りを躊躇わず対象にぶつけていく。怖くもあり頼もしい。そんな危うい存在として活き活きとしている。
多くそう設定されたキャラは男と変わらぬ粗雑さに染まるものだが、彼女は青いマフラーを首に巻き、髪は編み込んで、立ち振舞いも意外と可愛らしい。あくまで女を捨てない。そこがまたいい。
今作では麗しの紅一点とまでは行かないけれど、何故か女性の魅力が映画を彩るのは、中国映画の秀でた魅力だと思います。チャン・ツィイーとか思い出しますよね。
今作のチンシュイはもう一歩だけ、活躍が見たかったところ。やっぱり男のドラマなのね(*T^T)。
主演はホアン・シュアン。何とも哀感漂わせる良い男で、彼が追い詰められる度に、私の情がうるうる呻きました。:p
話によると監督さんは「インファナル・アフェア」に関わってる?携わってる?更にアクションチームは「マッハ!」の組だそう。面白い訳ですね。
山場の舞台はタイ。やっぱり良いなあ...タイですよ。
むふ(*ˊᵕˋ*)。
「フォロイング」や「ドラゴン×マッハ」に観たような活きるタイと言うよりは映画のセットのように見えますが、合間に見る本物のタイの様相は、田舎とは言え、やはり私の見て味わって来た、愛らしいタイ。
堪りません(*^^*ゞ
珍しい正統派のアクション・サスペンス映画でした。
最近の中国映画は文化大革命の正当性を訴えるものや反日嗅ぐわせるエンタ映画も少なくありませんからね。
映画には愛国や思想が込められない方がいいです。残念ながら、韓国や中国には時に気が滅入るほど、そういうものが全編に漂う事があります。
映画とは、歴史の遺恨を超越出来るものです。いえ、別の次元で作られるべきです。
以前、韓国で作られた映画に、日本が日本成り立ちの虚偽を示す金印を奪取しようと100隻以上のイージス艦を日本海に集結し、戦争勃発寸前に!なんて映画がありました。韓国はその映画を"実話"として公開し、子供が「日本なんて最低だ」とテレビのマイクに高らかに声をあげていたのを思い出します。
有名反日俳優大挙で、当然、日本未公開。
愛国や思想が込められないこと。映画はそうあるべき。
そろそろ、そうしよう。
韓国も良い映画は有るんですよ。
「チェイサー」は好きです。
ある駄目駄目チンピラで元刑事のジュンホは、女性を派遣型性的サービスをさせる店を経営。自慢話ばかりでだらだらと生きていた。しかし女性達が失踪。街では連続殺人も発生していた。
ジョンホは客のヨンミンに辿り着くが、ヨンミンは警察に捕まり、更に自白までするのだが、証拠不十分で解放されてしまう...
この映画、先ずジョンホの駄目さ加減に呆れてしまいます。こんな男が主人公なの?とゲンナリしてしまうかも。女性の失踪を知り、案じているかと思いき、意外と保身に走る駄目駄目さ。
まあ、尽く呆れるのだけれど、彼、多少はプライドを持っている。始めこそそれが堕落とのギャップに駄目さを格上げしてしまうけれど、それこそがジョンホの最後の人情を戦いの原動力に代えていく。
動き出したジョンホは凄い。執念に近い。
でもなんか笑える。これぞ役者の力か。
キム・ユンソク。TVドラマでは一見、平凡な親父崩れだけど、韓国ではイケメンらしい。主役も張って、なかなかの大物ぶり。
犯人役のハ・ジョンウも似たようなキャリア。
でも私はこの「チェイサー」のキム・ユンソクが好きです。「俺のせいだ」とばかりに犯人に挑んでいく彼のボロボロ感は堪らない。愛すべき駄目男の悲哀はあまりにも魅力的でした。
「ミッション:アンダーカバー」とはあまりに正反対ですね。
実話を基にしたストーリーはなかなか良く出来ていて、ちょっと残酷で終局も切ないながら、ちょっとしたアクションも怒濤の興奮必至で、見応え有りました。