膨らむ疑念(回顧録11 2023年11月) | 夫が前頭側頭型認知症になりました

夫が前頭側頭型認知症になりました

2023年12月に夫が67歳で「前頭側頭型認知症」と診断されました。
現在進行形の介護をブログにしていきます。

11月、私の仕事は一年の中で最大の繁忙期を迎える。

この一か月強は土日のどちらかは出勤、11月に二回ある祝日も休めずに残業が60時間を超える。

フルリモートで通勤はないとはいえ、なかなかハードなのである。

 

昼休憩も満足に取れないため、朝のうちにセットしておき午後に焼きあがったホームベーカリーで焼いたパンを片手に、ひたすらPCに向かう日々。

晩御飯も作る時間もなく、主人に頼んでコンビニで買ってきてもらったり、

デリバリーを利用したり。

 

そんな私を気遣ってか、主人は毎日のように「マックでいいよ」と言う。

「毎日マックはさすがに飽きるよ」と言っても、

日に何度も「マックでいいよ」と言う。

「何回も同じこと言わないで。今日はコンビニで済まそう」と言っても、

数時間後には「マックで・・・」となる。

 

そしてこの頃から、「そろそろ起きて」「歯を磨いて顔を洗って」「お風呂に入って」と何度も言わないとやらないようになった。

起こさないといつまでも寝ている、起きてから歯も顔も洗わない、夜も急かさないとお風呂に入らない。

一回二回ではない、何十回も言わないと動かないのだ。

 

ただでさえ忙しい時期、寝る時間も少なくなっているのに、全く動かない主人にイライラが募る。

しかも私はペットロス状態、愛猫の死から立ち直れないままの繁忙期突入。

心身ともに疲労困憊だ。

 

そんな状態が続き、いよいよ主人がおかしいかもしれないと思うようになった。

 

日中に黙って散歩に出かけたり、相変わらずゴミ捨てにこだわったり、私のWEB会議中に急に部屋に入ってきたりを繰り返す。

 

会話もチグハグというか、こちらが話している途中で急に違う話をしてきたりする。

私がちょっと買い物に出るときにも「どこ行くの?何時に帰るの?」としつこく聞く。

 

何回もテレビでやっている映画やドラマの再放送を、さも初めて観るようなリアクションをしたり、昼間やっていたニュースを夜の番組で取り上げているのを観て「え、こんなことがあったんだ」と驚いたりする。

 

相変わらず服は同じものしか着ないし(さすがに寒くなったので上着は着るが)、

タバコをつけたままトイレに行くのも続いていた。

 

そして11月のある日、散歩から帰ったあと、「あれ、帰ってたの?車がないから出かけたのかと思ったんだけど」と言った。

平日、しかも超絶繁忙期に日中に出かけるわけはないし、そもそも主人が散歩に行ったときは私はいたのに、である。

 

「え、車がないってどういうこと?」

「駐車場に車がなかったんだよ」

「そんなわけないでしょ?」

「いや、本当になかった」

本当になかったら盗難である。

 

慌てて駐車場に行くと、当然だが車はあった。

 

「あったよ」

「いや、さっきはなかったんだって」

「見間違いでしょう」

「そんなことはない、絶対になかった!」

 

この出来事で「もしかして認知症なのかもしれない」と思い始め、認知症についてネットでいろいろと検索をしてみた。

 

今まで認知症についてあまりよく知らず、食事したことを忘れる、徘徊して迷子になるくらいのイメージだったのだが、調べてみていくつか主人にも当てはまる項目があった。

 

「認知症かも」という疑念が大きく膨らんだのだった。