前回読んだ「オーストリア滞在記」に比べると、1章あたり4ページに収められており読みやすい。
特に興味深かったり、面白かったのが以下
・慢性蕁麻疹
・寛解
・自宅軟禁
・ブロンドの女スパイ
・ワクチンパス
・ブースター摂取
・スイス考
・トゥーランガリラ交響曲
中谷さんは2007年ぐらいから栄養療法(分子整合栄養医学と呼んでいる)に取り組んでいるみたいだが、どうやら一時帰国すると血液検査をするそうだ。
クリニックで処方されたというウルトラインフラメックスはMでも扱っているからひょっとして?と思ったが、栄養療法をしているクリニックなんていくらでもあるから違うのかな。
しかし、これだけ健康に留意して誰よりもストイックで意識の高い中谷さんが、3回も打っているのが意外だった。
p237 このまま一生自由が制限されるくらいなら、副反応で死んでもいいとまで覚悟してワクチン接種に臨んだ。
まあ、そのへんはご夫婦の職業柄、仕方ないのでしょうね・・
以下は慢性蕁麻疹で悩む妻にもためになると思うので「慢性蕁麻疹」と「寛解」の章だけまとめてみる。
慢性蕁麻疹
p120
とある歯科医院で超音波スケールと手技によって1時間以上におよぶ丁寧なクリーニングを受けた直後からだんだん右頰が腫れ上がる。その時は数時間で収まったが、それをきっかけにことあるごとに唇が腫れ、抗ヒスタミン薬で対応。また接触性の蕁麻疹も出現するようになりヒートテックが着られなくなる。
かわりにカシミアとシルクの混紡のインナーを上下で5セット購入。た、高い!
分子整合栄養医学の先生に相談したら、歯科でのクリーニングがトリガーとなり歯周病菌が血管に侵入し、免疫を司る腸管に傷をつけたことで、アレルギーが発症した可能性があるとのこと。ちなみに中谷さんの歯は差し歯もインプラントもなく、全て天然の歯だという。
p122
傷ついた腸管の修復と、殺菌のために先生から処方されたのは、ライスプロテインに炎症を抑える亜鈴とビオチン、銅、クルクミンなどを合わせたものと、マグネシウム、そしてグルタミンにオリーブ葉。これらをいつものビタミンA、B、C、D、Eに加えて積極的に摂り始め、アレルギーに効果のあるとされるラクトバチルス・プランタルムや、ビフィズス菌ロンガム種などを含む10種類の乳酸菌に加えて酪酸菌、更には抗ヒスタミン効果があると言われる梅肉エキスを朝晩服用している。まだ完治はせぬものの、抗ヒスタミン剤の服用間隔が毎日だったものが次第に2日に1回、3日に1回となり、寛解への道はそう遠くないと希望を持って治療に励む日々である。
寬解
この章は内容が濃すぎてまとめられないから、そのまま引用してしまおう。
p124
半年にわたり煩わされていた慢性の蕁麻疹との闘いが終わった。煩の異常な腫れから始まった蕁麻疹は、魚介類や一部のナッツなど、いくつかの食品に反応して度々表れ、化学繊維着用時の接触性の膨疹も重症化して、毎日抗ヒスタミン剤を服用しなければ全身を掻きむしるほどであったけれど、ありとあらゆる手段を施した結果、何が奏功したのかすっかりおとなしくなってくれた。
まずは腸内細菌叢の異常を調べるべく、検査をしてみた。排泄物をオーストリアから隣国ドイツのラボに送ること約3週間、送られてきた診断結果によると、懸念されていたカンジタは全く検出されず、見事なまでに善玉菌が多いとのこと、ビフィズス菌とバクテロイデス菌がとりわけ優性であった。恐らく、蕁麻疹の発症以来ずっと摂り続けているOMNIBIOTIC10という、10種類の有効な乳酸菌を混合したサプリメントや酪酸菌のおかげで、検査を勧めてくださったドクターも驚くほどバランスがよかった。その一方で、αアンチトリプシン、IgAともに炎症反応を示しており、腸管にわずかに傷がつき、リーキーガットの手前であるとのこと、体内でアレルギー反応が起きていることは顕著であった。
次に、日本への一時帰国時に、分子整合栄養医学の専門医のもとで、血液検査及び尿検査を行った。すでに10年以上ほど分子整合栄養医学に基づいた栄養療法を実践しており、糖質制限を筆頭に、ビタミンA、B、C、D、Eおよび鉄分、ナイアシン、オメガ3、プロテイン、必須アミノ酸、グルタミン、BCAAなどを積極的に摂取し、大概のトラブルはサプリメントで治してきた。よりによって、健康に細心の注意をはらっている私がなぜ蕁麻疹などに悩まされるのか全くもって理解不能だった。
検査結果が出るまでの一ヶ月ほどは、腸管の修復のためにウルトラインフラメックスというライスプロテインに、ビオチン、亜鉛、銅、クルクミノイド、グルタミンなどが加えられたものが新たに処方され、蕁麻疹がなかなか治らないということは、副腎疲労が考えられるため、マグネシウムもそれに追加された。
歯周病菌の影響が疑われたものの、歯科医院で調べたところ口腔内フローラも極めて良好だった。
急性期にはいつも頼りにしている漢方が珍しく効かなかったので、自然療法の知恵を拝借して抗ヒスタミン効果があるという徳重紅梅園の梅肉エキスに昔ながらの酸味の強い梅干し、抗炎症作用のあるオメガ3オイルも頻回摂取した。アレルギーの原因となる牛乳やグルテンも極力避けた。外食もやめて、鶏の手羽先や、牛骨でボーンブロスを作り、毎日の食事に添えた。藁をもつかむ気持ちで、これらを真面目に続けること約一ヶ月、それまで毎日服用していた抗ヒスタミン剤を2日に1回、3日に1回と徐々に減薬してみたところ、時折ぶり返すものの、症状は明らかに軽くなっていった。
さて、待ちに待った一月後の検査結果によると、即時型アレルギーの項目に大好きな海老が入っており、白エビやボタン海老を生で食べることができなくなったことが何よりも哀しかった。遅延性アレルギーの項目には、牛乳、ライ麦、卵白とあった。この半年間猛威を振るった蕁麻疹の原因はやはり牛乳だったのだ。思えば、オーストリアのザルツブルクの暮らしでは、田舎のため買い物の度に時間がかかる上、手に入る食材が少なく、夏の昼食時には毎日のように桃の冷製スープを食していた。熟した桃にクリームチーズと牛乳を加えてミキサーで撹拌したそれは、木漏れ日の差し込む屋外のテーブルで味わうと、たまらなくおいしく、飽きもせず毎日作っていたのだった。また、スイートポテトやパプリカなどを牛乳で溶いたポタージュスープを作ることも多かったし、カフェ発祥の地ウィーンでは、カフェラテや抹茶ラテをいただくことも多かった。乳糖不耐症については、欧州でもよく知られており、乳糖を除外した牛乳やチーズがスーパーで普通に販売されているほどだったけれど、私の場合はカゼインアレルギーに相当するとのことで無乳糖の牛乳で代用できるものではないらしい。昔ながらの牧畜ではブラウンスイス種などA2タイプのカゼインを含む牛乳ばかりだったけれど、より効率よく搾乳できるために広まったホルスタイン種は、A1タイプのカゼインを含有しており、どうやら私の腸はこれに反応してリーキーガット症候群を発症していたのだった。
牛乳は乳がんの原因になるとも言われており、それがアレルギーの原因にもなるのならば、極力控えようではないか。
「チーズなら発酵の過程でたんぱく質が分解されるから、少しくらい食べても大丈夫」とのこと、「アレルゲンとなる食材をどうしても食べたい時には、消化酵素を服用すると、症状が出ない可能性もある」とのありがたい裏技もご紹介いただいた。
貴重なタンパク源であった卵が卵白アレルギーにより食べられなくなったのは大きな痛手だった。「毎日食べなければ大丈夫」とのご指導をいただいたものの、蕁麻疹が怖くてしばらくの間は、避けるようになり、とりわけ卵を生食することは控えるようにしている。
体内の炎症を抑えるウルトラインフラメックスと、粘膜の修復を助けるビオチン、腸内細菌のバランスを整えるOMNIBIOTIC10に酪酸菌、ビタミンCにビタミンA、マグネシウムなど、ありとあらゆるサプリメントの摂取に加えて、A1カゼインを含むと言われる牛乳由来の乳製品に卵の除去、ボーンブロスと野菜のスープを毎日食すこと数ヶ月、気が狂いそうになるほどの痒みから解放され、ついに寛解を迎えたのだった。