そんなことを繰り返し、私は深呼吸をする。
これが日課だ。
何はともあれ。
私はいつも疲れている。
私はいつも緊張している。
私はいつも幻聴にさいなまされている。
そんなことだろう。
他人事のように私は思う。
意識を失ってからも、私を取り巻く環境が変わるわけもなく、毎日が繰り返される。
痛みも辛さも消されるはずもない。
ある朝、その日もアラームで目覚めた。
記録された眠りは深かった。
前日にうまく眠れなかったからだろう。
睡眠薬を飲んだにもかかわらず。
よくそんな日がある。
というか、気にかかることがあったのだ。
そんな日は眠れないものだ。
誰にとっても夜は怖い。
深く深く怖い。
迎えの車が8時50分前後に来るはずだ。
それに乗り込めばいいわけだ。
車椅子を乗せて。
おぼつかない足で乗り込む。
ゆっくりゆっくり。
振り向きざまに、遮るように扉が閉められた。
違う世界に紛れ込んだように。
しかし、その場に馴染むのに時間はかからなかった。
天気は雨。
雨粒が車の窓を叩く。
雫が飛び去る。
かなりのスピードが出ているのだ。
あの時の交差点を同じように左に曲がる。
左に曲がると一体何があるんだい?
そこは未知なる世界なのか?
はぁーと深く息を吐く。
落ち着こう。