福島第一原発では、23日、１号機の格納容器の圧力が上がりましたが、その際、班目（まだらめ）春樹・原子力安全委員会委員長が、１号機を「最も危険な炉」と指摘していると報道されています。
その後、海水の注入量を減らしたら圧力上昇は止まった、と。
これがわざわざ指摘するほど最も危険な炉？と大きな疑問が沸きます。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110324-OYT1T00335.htm
１号機では２３日、炉心を取り囲む格納容器内の圧力が上昇したため、班目春樹・原子力安全委員会委員長が同日、最も危険な炉であると指摘、東電は対応を検討していた。経産省原子力安全・保安院によると、炉心を冷やすための海水の注入量を毎分約１７８リットルから約１６０リットルに減らした結果、２４日午前７時には圧力上昇は止まった。保安院は、圧力を下げるために蒸気を外部に放出する必要性は低くなったとみている。
この斑目氏という方、門外漢の私はもちろんよく知りませんが、ちょっとググっただけでこんな情報が引っかかります。http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=558
「班目春樹氏は委員長として不適格 交代をもとめる」
2007.7.31 原子力資料情報室 共同代表 山口幸夫、西尾漠、伴英幸
7月16日に起きた中越沖地震により被災された人々は大きな不安の中で避難生活を余儀なくされている。加えて、柏崎刈羽原発への不安も高まっている。
（略）
ところが、班目委員長は、想定外の揺れにB,Cクラスは壊れても仕方がない、Aクラスは壊れず原子力の安全は確保されていると早々と安全宣言をしている。さらに、１～２年で運転再開ができるような見通しを繰り返しコメントしている。まだ、格納容器内部を見ていない段階で、このような発言をすることは学者としての倫理を疑わざるをえない。氏のこのような発言から、設置される委員会すらもお座なりな調査・対策しか行えないとの批判を免れないだろう。
一方で、昨日書いたように、最近、日本では３号機がプルサーマル発電でMOX燃料で危険性が高いことに、テレビ・新聞等々のマスメディアでは全く触れられていません。
そこで、世界ではどう報道されているのか、調べてみました。
その結果、多くのサイトでMOX燃料の危険性が報道されていることがわかりました。
抜粋して、拙い訳をつけてみます。
New York Times Published: March 23, 2011
http://www.nytimes.com/2011/03/24/world/asia/24nuclear.html?_r=1&scp=1&sq=Fukushima%
No. 3 is considered one of the most dangerous of the reactors because of its fuel — mixed oxides, or mox, which contain a mixture of uranium and plutonium and can produce a more dangerous radioactive plume if scattered by fire or explosions.
３号機は、その燃料：混合酸化物（MOX)のせいで最も危険な反応器と考えられる。MOXは、ウランとプルトニウムを含み、もし火事や爆発でばら撒かれたらより危険な放射性プルーム（煙）を生成する。
CNN USA March 23, 2011
http://edition.cnn.com/2011/WORLD/asiapcf/03/23/japan.reactors.status/ #
Reactor No.3
Officials say fuel inside the reactor has been partially exposed as temperatures rose and water levels dropped. Workers have injected seawater into the reactor. Its fuel includes plutonium mixed with the uranium in its fuel rods, which experts say could cause more harm than regular uranium fuels in the event of a meltdown.
３号機： 当局は、温度が上がり水位が下がって、反応器の中の燃料が部分的に露出していたと言っている。その燃料棒にはウランと混ざったプルトニウムを含んでおり、専門家によると通常の燃料よりメルトダウンした場合により大きな害を起こす。
BBC 24 March 2011 Last updated at 03:04 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12844346
The unit is of special concern because it used a type of fuel known as Mox, a mixture of plutonium oxide and uranium oxide. The radioactive fallout from any meltdown would be far worse than from the other reactors.
このユニットは、MOXとして知られる酸化プルトニウムと酸化ウランの混合物の燃料を使用していたので、特別な関心が持たれる。メルトダウンからの放射性の降下物（死の灰）は、他の反応器に比べてずっと悪い。
Business Insider Mar. 21, 2011, 5:27 PM
http://www.businessinsider.com/japan-nuclear-crisis-what-about-the-plutonium-mox-2011-3
If the smoke billowing from the Fukushima reactor 3, amongst other reactors, does indeed contain plutonium, then this nuclear crisis has exposed Japan and the world to a much more extreme danger than the one originally envisaged. If so, we all ought to know about it. There should be some more specific investigations in regard to the contents.
もしその煙が、他でもない福島の３号機からうねっているとすれば、プルトニウムを含んでおり、核の危機は、通常認識されるよりも極めて大きな危険に、日本と世界をさらしている。もしそうなら、我々はそのことについて知るべきである。中身についてのもっと特別な調査があってしかるべきである。
Al-Jazeera 19 Mar 2011 02:43
http://english.aljazeera.net/news/asia-pacific/2011/03/2011318233240309774.html
Underlining authorities' desperation, fire trucks sprayed water overnight in a crude tactic to cool reactor No 3, considered the most critical because of its use of mixed oxides, or mox, containing both uranium and highly toxic plutonium.
当局が死に物狂いで強調したので、ウランと高い毒性のプルトニウムを含む混合酸化物（MOX)を使っていることから最も危険と考えられている第３反応器を冷却するため、消防車は粗雑な作戦で一晩中放水した。
このように、MOX燃料を使用している３号機が最も危険であることは世界の常識であり、世界中で３号機の事故に対する関心・懸念は高いことがわかります。
それなのに、日本では全く報道されていない。
しかも「原子力安全委員会委員長」がわざわざ１号機を「最も危険な炉」と指摘したことが、わざわざ報道されている。
いやいや、私は今まで情報操作などにあまり関心のない人間でしたが、ここまで明らかな違いを自分でみつけて、唖然とするとともに、怒りを覚えています。
東電・政府・マスコミが一緒になって、国民に対して何を隠しているのでしょうか？
一個人が簡単にインターネットでこんな情報を集められる時代に、なぜ、あえて隠さなければいけないのでしょうか？
今まで頼もしく感じていた枝野官房長官もNHKの水野解説委員も、きわめて遺憾ながら、にわかに信じられなくなってきてしまいました・・・。