「ブラック・ジャック」に登場した全身の刺青 |  「カラダ」と「ココロ」をととのえ若返り! とまりしゅんいちろう のブログ

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今日のブログは、

カラダを元気に」の分野から

現役のお医者さんであり、

作家でもある

久坂部羊さんの「カラダはすごい!

モーツアルトとレクター博士の医学講座」らの引用です。


 

ひとつお断りしておきます。

以下の内容は、あくまでも

久坂部先生の「持論」です。

異論がある、ということも

充分ご理解のうえ、お読みください。

 

 

 

 

皮膚にマジックで何か描いて、

洗わないでおいてもやがて

消えます。それは角質層が脱落

するからです。刺青が一生

消えないのは、脱落しない真皮

にまで、色素が押し込められて

いるからです。

 

刺青は、身体装飾として

古代から行われており、

日本では土偶にも紋様が

見られることから、縄文時代

よりあったと考えられて

います。「魏志倭人伝」にも、

当時(3世紀ごろ)の日本人が

刺青をしていたことが記録

されています。

 

その後、刺青は刑罰として

入れられたり(江戸時代の罪人)、

「彫り物」「がまん」などと

称されて、ヤクザに愛好されたり

しましたが、近年では「タトゥー」

と称して、ファッションの一部

として入れられるものも

あります。

 

谷崎潤一郎(18861965)の

小説「刺青」は、元浮世絵職人

の彫り師が、理想の肌を持つ

女の背中に、大きな女郎蜘蛛の

刺青を彫るという倒錯した内容

です。谷崎の実質的な処女作

で、後年のフェティシズムや、

マゾヒズムの萌芽を十分に

感じさせてくれます。

 

高橋伴明監督の「TATTOO

[刺青]あり」(1982年)は、

1979年に起きた三菱銀行

人質事件の犯人、梅川昭美

をモデルとしたもので、刺青

は甘えた反社会男の

自己顕示欲の象徴として

描かれます。

 

ヤクザや任侠の刺青では、

ほぼ全身に紋様を彫った

ものがあり、中には当人の

死後、皮を剥いで保存されている

場合があります。大阪大学

医学部の法医学教室にも

一枚あり、額装されて壁に

掛けられていました。私は

それを学生時代に見ました

が、頭部と手足を除く皮膚を

広げて大の字に貼り付けて

ありました。

 

手塚治虫の「ブラック・ジャック」

には、この刺青標本が

登場します。全身に刺青のある

ヤクザの親分が肝臓がんに

なり、ブラック・ジャックが手術

を依頼されます。まったく傷を

残さないように手術をしますが

親分の死後、その息子が

メスを入れたのは許せない

と怒る。

 

そのとき、親分の皮膚は

標本となっていて、

よく見ると、足首に

「ブラック・ジャック先生よ、

ありがとう」と彫ってあり、

息子も納得するという

ストーリーです。タイトルは

「イレズミの男」。

 

手塚治虫は大阪帝国大学

付属医学専門部の卒業

なので、学生時代にこの

標本を見たのでしょう。

私が医学生のころは

「ブラック・ジャック」が

「少年チャンピオン」に連載中

で、手塚治虫と同じ場所で

同じ標本を見たことに、

感慨を深くしたのを

覚えています。

 

 

 

久坂部 羊「カラダはすごい!モーツアルトとレクター博士の医学講座」参照