健気な精子たち |  「カラダ」と「ココロ」をととのえ若返り! とまりしゅんいちろう のブログ

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「考えて食べる」を実践し、そのうえで「カラダ」と「ココロ」をととのえる健康寿命ナビゲーター とまりしゅんいちろうによる情報パワーステーション

 

 

皆さん、こんにちは。

自ら行う「セルフ・リラクゼーション」で

カラダとココロを整える、

健康寿命ナビゲーターの

とまりしゅんいちろうです。


 

こちらのブログでは、

あなたの食と美容と健康に

役立つ手軽にできて

効果のある情報をお伝えしています。

 

 

今日のブログは、

カラダを元気に」の分野から

現役のお医者さんであり、

作家でもある

久坂部羊さんの「カラダはすごい!

モーツアルトとレクター博士の医学講座」らの引用です。


 

ひとつお断りしておきます。

以下の内容は、あくまでも

久坂部先生の「持論」です。

異論がある、ということも

充分ご理解のうえ、お読みください。

 

 

 

男性の生殖細胞は「精子」、

女性の生殖細胞は「卵子」です。

ともに生殖細胞であることには

変わりありませんが、そのでき方

はまるで違います。

 

精子は、睾丸の中にある

「精祖細胞」から作られます。

精祖細胞は生まれたときから

ありますが、小さいころは変化せず

思春期になってやっと分裂を

はじめ、「精源細胞」から

「精母細胞」になり、さらに分裂

して精子になります。

 

つまり、精子は思春期以降に

日々、新しいものが作られる

というわけです。

 

これに対し、卵子は女性が

母親の胎内にいる間に

「卵祖細胞」が用意され、

生まれる前に増殖と分裂を

繰り返し、「卵母細胞」から

卵子にまでなっています。

すなわち、女性は生まれた

ときに、すでに一生分の卵子

を卵巣に持っているという

ことです。

 

この差がいちばん大きく出る

のが、放射線の被曝です。

 

男性は少々放射線を浴びても

傷ついた精子を捨ててしまえば

問題ありませんが、女性は

卵子が放射線を浴びたら、

新しく作りなおすことが

できません。だから、レントゲン

検査を受けるときには、

女性のほうが注意しなければ

ならないのです。

 

精子はオタマジャクシのように

運動能力を持ち、頭部、

中心部、尾部に分かれています。

大きさは0.06mm前後。

ちなみに卵子は0.20.25mm

で、人間の細胞の中で最大です。

 

精子は肉眼では見えませんが、

光学顕微鏡があれば簡単に

見えます。精液をスライドグラス

に乗せ、カバーグラスを

かけるだけで、染色する

必要もありません。

 

私はパプアニューギニアの

日本大使館に勤務していた

とき、医務室にあった顕微鏡

で自分の精液を観察したことが

あります。青年海外協力隊の

隊員が調べてほしいと

言ってきたので、ついでに

自分のも見てみたのです。

倍率は250倍。

 

 

顕微鏡の視野には、

銀色に光る精子たちが

無数にうごめいていました。

 

これが1個の細胞とは

思えないほど、複雑な構造を

していました。さらには

一匹一匹が意志を持っている

かのように、独自の動き方を

していました。

 

せっかちなもの、

おっとりしているもの、

せわしなく頭を振るもの、

強引に突き進むもの。

 

このそれぞれが自分の

分身かと思うと、

見ていて飽きません。

 

精子たちは、スライドグラス

に乗せられていることも

知らず、本能の命ずるまま、

懸命に目標に向かおうと

しているようでした。

 

しかし、当然のことながら

卵子はいません。

それでも闇雲に動く姿は、

なんだか哀れを誘いました。

 

こんなところで放出して

しまったことを申し訳なく

思いましたが、どうすることも

できません。

 

私はスライドグラスを廃棄

するのに忍びなく、

その日は顕微鏡の上に

置いたままにして帰りました。

 

翌日、もしやと思って

顕微鏡をのぞくと、かなりの

精子がまだ動き回って

いました。前日と比べると

勢いは衰えているものの、

それでも必死に泳ぎまわって

います。

 

あたりには力尽きた精子も

数多く横たわっていました。

見ているうちにも、徐々に

動きを弱め、ぴくぴくと

けいれんするだけになって

しまうものもいました。

 

三日目の朝、

私は出勤と同時に顕微鏡を

のぞいてみました。

視野には死屍累々という

感じで、無数の精子の死骸が

横たわっていました。

まるで大量虐殺の現場です。

形が崩れ、尾部だけに

なったり、全体に溶けかけ

たりしている精子も

ありました。

 

もう、すべて死に絶えた

だろうと思って視野を動かす

と、わずかに生き残って

いるものがあり、かすかに

動いていました。

 

同志の死骸に囲まれながら、

最期の力を振り絞り、

必死に命をつなごうとしている。

その健気さ、痛ましさに、

私は熱い思いがこみ上げる

のを禁じ得ませんでした。

 

もし機会があれば、

ご自身またはパートナーの

精子を、顕微鏡で観察して

みることをお勧めします。

自分の知らないところで

繰り広げられる細胞の

ドラマに、生命観が変わるかも

しれません。

 

 

 

 

 

久坂部 羊「カラダはすごい!モーツアルトとレクター博士の医学講座」参照