勝負がついた後、号泣している子がいました。「からっぱこ」のファンでしょうか、いつまでも泣きやまずに、仲間が必死で慰めてました。心底、応援していたのでしょう。
応援しているアーティストのために涙まで流すファンがいるということが、どれだけかけがえないことか、ちゃんと受け止めなければならない。その子にしてみれば悔しくて悲しくて流した涙なのだろうけれど、それは音楽に関わる者にとっては宝物のように大事なものだ。
勝負そのものが、大人の男でも泣きそうになるくらいの良い闘いだったので、もらい泣きには気をつけながら、そんなことを考えてました。
「ストリート甲子園」2回戦、14日は屈指の好カード「川越B」VS「浦和」。というより「パドリスタ」VS「浦和猿児(エンジ)」と言った方がわかりやすいでしょう。
「ストリート甲子園」とは、何度も書きますが、アーティストが3組で1つのチームを作り、投票制・トーナメント方式で対戦していく、という音楽イベントです。
「パドリスタ」は「夢来~ゆらい~」「パステルカメレオン」「二人星」の男性デュオ3組で結成されたチーム。昨年のこのイベントでも同じ名前で出場して準優勝しており、今年も優勝候補です。
「浦和猿児」は「お笑いミュージシャン」の異名をとる男性2人組「からっぱこ」、まっすぐなPOPSバンド「Footmark Makers(愛称フットメ)」、「ヘビーPOPS」バンド「HOPE」の3組。陣容は「パドリスタ」に引けをとりません。
このイベント、私は何度か行っていますが、実は初めて、どちらに投票するか決めずに行きました。自分の中では両チーム全く互角だったので、ライブの様子を見て決めようと思ったのです。
そして開演。先攻は「パドリスタ」で、「二人星」、「フットメ」、「パステルカメレオン」、「HOPE」の順にライブをしていきます。どのアーティストも自分たちの良い所を存分に発揮していました。
そして誰しもが、勝負は勝負だけれども、ライブ中は出演者全員で観客が楽しめるステージを作っていこうという気持ちが溢れていました。MCで言っているだけでなく、本当にそう思っていることがステージから伝わってきました。
本音を言えば、この時点で困り果てました。次に出てくるのは、どちらもよく知っている「夢来」と「からっぱこ」。それまでに演奏が悪かったりアーティストシップに欠ける組があったらそれで決めてしまおうと思っていたのですが、どちらも素晴らしい…。どうしたものかと…。
そして、「夢来」が人と人との絆を歌ってグッと心に迫ってくるステージを見せれば、「からっぱこ」は質の高いエンターテイメントで埼京線のラッシュアワーのように満員の観客を余す所なく楽しませてくれました。ライブとしては全く互角…。
普段はあまり真剣には聴かない、両チームのテーマソング(作ればポイントが加算されるルールなのでほとんどのチームは作ってきます。)もちゃんと聴いてました。数こそ少ないですが、「浦和」の時には「パドリスタ」の白いタオルが振られ、「パドリスタ」の時には「浦和」の赤や「からっぱこ」のオレンジのタオルが振られてました。良い光景でした。
さて、いよいよ投票。よっぽど棄権しようかと思いましたが、それも潔しとしないので、何とか「ここが良い」という所を探し出して投票しました。どちらに入れたかは秘密です。誰に聞かれても答えません。(^_-)
票数もハイレベルな闘いでしたが、結局「パドリスタ」が「浦和」をわずかに上回り、3回戦進出を決めました。
で、冒頭の光景になったのです。
音楽に優劣をつけることに抵抗がある方もいるかもしれません。確かに将来的には弊害が出てくる可能性もありますが、今の所はアーティストが良い意味で競い合い、高めあっているようです。総じて「スト甲」ではいいライブをみんなやりますし、中には見違えるように良くなってくるアーティストもあります。
そして、ファンがアーティストと嬉しさや悔しさを共有する、ということも、非常に大きな意義があるといえます。
これまで各アーティストが見せているような、「勝負はあるけれど、その前にライブとして、全アーティストで観客を楽しませる」という精神が浸透しているのであれば、「ストリート甲子園」はより重きをなすイベントになっていくでしょう。
「ストリート甲子園」、今後の注目カードです。(独断と偏見による。(^_^;))
7月25日(水)17:30~
「多摩」VS「赤羽」
「オーバービークル」「solpha」「Heartz」という強力バンドを揃えた「多摩」チームが、「ASHITA LABEL」で「オバビ」の仲間でもある星野雄太さんを初め、ふくろうさん、西村俊祐さんという、これまた強力布陣の「赤羽」チームと対戦します。今回同様、全く予断を許しません。
他にも好カード続々。
準決勝は8月12日(日)と19日(日)、決勝は9月1日(土)。
場所はいずれも田町「Quarter Note」です。
http://quarter-note.com/
「ストリート甲子園」については今後もレポートします。