ハッピーバースデー | トムのブルース

トムのブルース

NO FUTUREな飼い主と、敏捷性に欠けているアビシニアン“トム”のブルース。トムさんは旅立ってしまったけれどブルースは鳴り続ける。

君じゃなくてもよかった そういう恋をしてしまった

全然胸が痛まなくて かなしいような恋だった

って頭の中でずっと松たか子が歌ってる。

相手にとってはそんな感じだったのかもしれない。



誕生日を迎えてしまった。

何もない誕生日なんて当たり前で、おそらく人生のうち半分くらいがそんな感じだったはず。

なのに去年最大級の幸せな誕生日を経験してしまったから寂しさが半端ない。

去年もらった手紙を読み返そうと思ったが、それをすると猫たちを残して衝動的に死を選ぶ可能性もあるのでやめておく。

どうせ今は微塵も思ってないであろうことが書かれてるんだ。


今年の誕生日は予定では温泉旅行に行く事になっていた。

初めての彼女との旅行になるはずだった。

コロナ禍がなかったらもっとあちこち行けて思い出もたくさん出来てもっと仲が深まって違った未来もあったのかなと少し思ってしまう。

でもそんな事言ってても仕方がない。

何かのせいにするのは大嫌いだし、続くなら何があっても続いてたはず。

結局は自分が彼女の描く未来に一緒にいるには至らない男だったというだけ。

でも温泉旅行を決めた1週間後に振られるとは思わなかったよ。





久しぶりのトムさん。

トムさんごめんな。

彼女の夢にトムさんが出てきたって聞いた時嬉しかったよ。









「去る者は追い越す」

ローランドの名言のような生き方をしたい。