朝鮮半島ハムギョン南道(今の北朝鮮)出身、尹浩根さんという、1925年生まれの方が書いた自叙伝。
最初のページを見るとご自身の写真も満載。美しい奥様。華麗な後半生。
まだ読んでいるのは前半ですが、面白いです。
特に日本統治下での暮らし。
本人によって書かれた文章は興味深い。
朝鮮の片田舎で育つ。お父さんはどうやら独立運動に関係していたよう(詳しくはわからない)。
日本の統治におとなしく従っていればまあ、大丈夫だけど、
反体制(抗日)運動の片鱗が見える人は、しつこい監視・逮捕・拷問を受けていた。
貧しいながら学校に通い、小学校の先生になる。(校長は日本人)
日本から解放されソ連軍が入ってきて、新しい校長(共産党系)が赴任した時、
学校をやめて単身ソウルに向かう。自由な所でもう少し勉強したいと思ったみたい。
この時の決断があっさりしているけど、運命を決める決断になるんですよね。
38度線がこんなに長い間固定されてしまうなんて思ってなかった。
しかし1945年10月でも38度線を越えるのは難しかったみたい。
移動しないように要所要所で見張ってるから。(日本人の引き揚げでも北部からの移動は厳しかったらしい)
ソ連兵や共産主義者の監視をくぐりぬけ、最後には川を渡って南へ・・・。
渡ってしまえば一安心。アメリカ軍保護下になる。
教会に通ってた関係で英語ができたので、アメリカ軍関係の仕事を探す。
面接場所は景福宮前の、今はなき朝鮮総督府の建物だったとか。(←1995年に撤去)
勉強してきた英語はあまり通じないが、駐車場での仕事にありつく。英会話の勉強にもなる。
後処理の為、まだ残っていた日本人からの引き継ぎもあって
日本語と英語の通訳をしたりもする。
≪彼らは米軍地区にきたので安心した様子で、懸命に働いていた。彼らは私の態度を歓迎しているように見えたが、私は彼らが植民地時代に、朝鮮人の抑圧にどんな役割を果たしたかを考えざるをえなかった。ここでもまた私は、日本がその過去を悔い改めて、日本と隣人関係を築くことができるようになることを望んだ。≫
今はこの辺りまで読みました。
三分の一くらいかな。
これからどうなるんだろう?アメリカに渡ることになるんだろうな。
解放前後の時代を本人が直接書かれた体験談って、やっぱり面白いです。
一時一句逃さずゆっくり読んでます。
題名が良くないか…
題名はともかく、こんな良書がやはり大手出版社じゃなく、
自費出版みたいな所から出ているのはおかしいと思います。
大手出版社って、ああだこうだ知ったかぶりする本ばかりセンセーショナルに扱うのね。
真に良い本は絶版になり・・・
そこで、図書館の役割って大きいですね。
ネットで検索すると・・・
『恨半島~ある外交官の生き方』 尹浩根(ユン・ホグン)
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%A8%E5%8D%8A%E5%B3%B6%E2%80%95%E3%81%82%E3%82%8B%E5%A4%96%E4%BA%A4%E5%AE%98%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%96%B9-%E5%B0%B9-%E6%B5%A9%E6%A0%B9/dp/4885552699
アマゾン、中古しかないけど値段が「24000円」!
川西図書館にありますので、興味のある方はご一読を。
(一週間後に返却します。)