『トムラウシ山遭難はなぜ起きたか』山と渓谷社 | 韓国語教室 とるめんい川西

韓国語教室 とるめんい川西

2005年から兵庫県川西市で韓国語を教えています。

夏休みに大雪山黒岳に登ったので(登ったといっても7合目まではリフト利用)
同じ大雪山系であった、トムラウシ、夏山遭難事故(2009)が気になり、図書館で借りてきました。

連休に読もうと思ったのに、きのう寝る前に読み始めていっきに読んでしまいました。
後半は低体温症の解説になりますが、第2章までは参加メンバーの証言でまとめられているので臨場感があります。
特にサブ・ガイドのインタビューというのは新聞やネットでは出てなかったと思うので
大変勇気のいることだったと思いますが、貴重な証言だと思います。

こちらのサイトでも読後感が載っています。
http://honz.jp/13792

眠気も吹き飛ぶ…
私も同じように引き込まれて、明け方4時まで読んでしまいました。
その後寝付かれず、今日は寝不足です。


印象的だったのはメンバーの性格が表れているところ。
直後のニュースでよくしゃべっていた方は
この本のインタビューは拒否しています(さんざんネットで揶揄されたからでしょう)。

それ以外の方の証言が主になりますが、
常に前に立って進んでいた人は、後ろで起こっていることを知らないので
遭難という実感があまりなかったそうです。
逆に、常に後ろに位置していた人は
次々と倒れていく人たちを見ながらそれを追い越す形になり、
どうしようもなく見捨てたことに深い罪悪感を覚えています。

自分のことで精いっぱい!と割り切って進む人がいる反面
必要以上に自らを責める人。
両方の気持ちが理解できます。
同じメンバーでも
立ち位置やどのように動いたか、何を見たか、で随分考える内容も違うのだとわかりました。

進んで手助けする人、進んではしない人。性格が表れるところです。
私なら果たしてどのタイプになるかな?と思います。
ほとんどの人がギリギリのところまで
ツアーでたまたま一緒になった仲間のために励ましあい、
共倒れになる危険性もあるのに歩かせたり、肩を貸したり、叱ったり、
極限状態での人々の様子、言葉、心理は、読ませるものがありました。



あの美しい大雪山。
頂上ではすごい風で、人影もなく
夏山でも間違ったら死ぬなと実感できたあの寒さ。
山頂だけの一時的なものでしたが、やっぱり山は天気が大事。
晴れた日のトムラウシの写真はとても美しい。お花畑。
余裕のある日程で、天気の良い日を選んで山に登りたいものです。