自作エフェクター その5「YAMAHA CO-01 コンプレッサー」 | とれすけのブログ

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 第五弾はYAMAHA PSEシリーズのコンプレッサー CO-01。

 

 コンプレッサーはオレンジスクイーザーが好みなんですが、リードにかけるにはちょっと物足りないところがあって、ベルベットコンプとか使っていたんですが、エフェクターボードのレイアウト上やはりミニペダルサイズでなんとかならないかと色々探していました。で、自作に至る訳ですが、まずRossのコンプレッサーにチャレンジして失敗、その後ネットで見つけたオリジナルのコンプレッサー回路を元に作成して成功。ただ、効きがいまいちなので、コントロールしやすいオレンジスクイーザーを作成、そしてRossコンプにリベンジして成功と、いくつか作ってきた訳なんですが、YAMAHAのTB-01の成功もあってPSEシリーズのコンプレッサー CO-01に取り組むことに。

 

 この手のエフェクターはポピュラーでなく、回路図を探すのにまず苦労します。大体海外サイトのお世話になることが多いのですが、掲示板なんかだとせっかく情報を見つけてもリンク先にファイルがなかったりすることが結構ありますね。

 最近、iPhoneの翻訳アプリのおかげで海外の情報探索もだいぶ楽になってきました。

 

 ちなみにこれもKORG CMP-1というコンプレッサーと同じ回路になっています。回路図を見ると結構複雑そうなんですが、ポイントはNJM13600というIC。これはデュアルタイプのトランスコンダクタアンプというもので、いわゆるVCAをコントロールすることでコンプレッサーの動作をさせているということになります。

 

 コンプレッサーは大きく分けるとJFETを使ったもの、フォトカプラを使ったもの、そしてこのVCAタイプの3種に大きく分けられます。それぞれ特徴があり、今まで使ってきたオレンジスクイーザーはJFETタイプ、、Rossコンプ、ベルベットコンプはVCAタイプということになります。

 さて、肝になるNJM13600ですが、これがないんですね。ですが、探すとNJM13700というのが見つかりました。データシートを見ると、若干スペックの違いはありますが、代替はできそうです。ということで、これを使うことで作成の目処がたちました。ちなみに同種のICでCA3080というのがあり、Rossコンプなどはこれを使っていて、回路を工夫すれば置き換えも可能な感じです。

 

 さて、とはいうもののNJM13700というのは16ピンのICなので、それだけで基板のかなりの部分を占めてしまいます。ただ、抵抗は23個とそこそこありますが、コンデンサーが10個と少なめなのと、基板図を作ってみて分かったのですが、NJM13700の片チャンネルしか使っていないので、レイアウトは割と綺麗に収まりました。

 トランジスタは2SC2785が指定ですが、これも絶版品で入手が難しいです。私はたまたまFL-01用にAmazonで購入していたものが余っていたので、なんとかなりました。

 

 他に入手が難しいのが200KCのボリュームと22Kの半固定抵抗でしょうか。200Kというボリュームはありますが、Cカーブとなるとちょっと厳しい感じです。なので止むを得ずAカーブのもので妥協します。半固定抵抗は、20Kか30Kで代用する形ですね。他にATTACK切り替え用にスライドスイッチが使ってありますが、スライドスイッチはケース加工が難儀なのでトグルスイッチにします。ただ、小型サイズのトグルスイッチがなかなか見つけられないんですね。

 

 NJM13700は今回は比較的レイアウトに余裕があったのでソケットを使いました。

 

 さて、基板が組みあがってテストです。無事音は出ました。ただ、バイアスの調整加減が分かりません。

で、後で見つけた調整手順の和訳を載せておきます。

 

調整手順

1. オフセットチェックと調整

1)信号発生器信号(1 kHz、サイン波、3Vp-p)

を CO-01に入力する。アタックをソフト、出力レベル10 、感度は 10 にする。

2) オシロスコープで出力信号を観察する。

3) 入力をショートし、ショートが発生した瞬間にDC電圧変動が0V±5mVであることを確認する。図3参照。

4) 必要に応じてVR1を調整する。

 オシロスコープを使って、ちょっとめんどくさいですが、やってみました。ただ、ギターをつないで聴感で調整した方が早い感じですね。

 

 さて、塗装は元のマシンの基調カラーがイエローですが、全体を塗るということでゴールドメタリックにしました。

 

 さて、音出しですが、コンプレッサーとしてはおとなしめという感じです。上品な感じで、圧縮感は控えめですが、音はしっかり伸びます。音が歪んだり痩せたりということはなく、ナチュラルな音ですね。トランスコンダクタアンプが違うというのがどのくらい影響があるのか分からないのですが、十分実用になります。これはリード用に使いたいと思っています。コンプレッサーはやはりいくつかバリエーションを持っていたいエフェクターですね。

 

 YAMAHA PSEシリーズも段々揃ってきました。ついでのご報告ですが、取り組んで挫折していたYAMAHA PSEシリーズのフランジャーFL-01を今日なんとか稼働状況までもっていけました。BBD素子のGNDピンと電源ピンの位置が回路図と違っていたのが原因でした。BBD素子もオリジナルのMN3007と現行品のV3207の両方を入手してテストしてみたのですが、アマゾンで購入した出所不明の10個のMN3007は性能のばらつきも多く、またノイジーで、ちょっと実用にならない感じ。V3207とクロックチップV3201のセットが一番ノイズが少なく、効果も大きかったです。ただ、オリジナルのFL-01も持っているのですが、それと比較すると全体的にかかりが弱い感じ。

調整用の半固定抵抗が4つもあるのですが、調整が難しいです。オシロスコープがないとこれは手が出ません。

ですが、これでやっと遅延素子BBDモノをクリアしました。これだけの回路規模のエフェクターが作れただけでもかなりの進歩です。ちなみにFL-01はミニペダルサイズでは無理で、通常のケースサイズの基板になっています。

PSEシリーズはもう少し頑張ります。