自作エフェクター その4 「BOSS HM-2 Heavy Metal」 | とれすけのブログ

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第四弾はBOSSのディストーション 「HM-2 ヘヴィメタル」。

一応お断りしておくと、ご紹介している順番は製作順ではなく、思い入れとか難易度の高かったものといった感じです。

 

 さて、HM-2というのは1980年代に発売されたヘビーメタル用のディストーションということになります。今はもう廃盤ですが、今年BOSSの技シリーズで復刻されたりしています。

 

 なんで、これを作ろうと思ったか。そもそも私はメタルはやらないので元々興味もあまりなかったというのが正直なところなのですが、製品を購入するならともかく、作るんだったらまああってもいいか、という気分でした。メジャーなディストーション、オーバードライブをある程度作ってしまっていたので、ちょっと変わったペダルに興味が湧いてきたのと、メタルはやらないけど、メタル風なソロはとったりすることがあるので、1台くらいあってもいいなというのが作成に至った経緯です。

 

 本当は、最近のメタルゾーンとかを作りたかったのですが、回路規模が大きくてとてもミニペダルサイズでは収まらないんですね。HM-2も決して簡単な回路ではなく、かなりのチャレンジになります。

 

 さらに使われているオペアンプがM5216、M5616というもので、色々探したのですが結局入手不可能でした。回路からデュアルタイプのオペアンプだということは分かったので、代替品としてまずは無難な4558で作ることにしました。

クリップにはシリコンダイオードとゲルマニウムダイオードが使われています。ゲルマニウムダイオードはもはや廃盤ですが、秋月電子やAmazonではまだ入手可能でした。

 

 

 

 ただ、以前にも少し触れたのですが、Amazonでの購入では、業者によっては良品率が低かったりします。使用にあたっては事前にテスター等で検査をすることをお勧めします。組み上げてからでは面倒この上ないですから。検査にはやっぱりトランジスタテスターのようなものが便利です。特性も測れますし。

 

 この他にトランジスタ2SC2240、2SA970が使われています。これは手持ちの2SC1815、2SA1015で代替しています。

FETの2SK30はまだ手持ちがあったのでそれを使いました。

 

 この他は特に変わった部品はないと思います。抵抗の82kΩあたりがやや買いづらいかも知れません。抵抗は秋月電子ですと1/4W型のカーボン抵抗が100本100円とかで売っていますので、まとめ買いがお得ですが、抵抗値によってはまとめ売りがなかったり、やや割高だったりするものがあります。その場合はマルツパーツのバラ売りや金属皮膜抵抗を購入したりしています。

 コンデンサーもセラミックコンデンサーは秋月電子が揃えやすいですね。積層セラミックなどは10本セットが100円くらいで入手できますし値も豊富です。ただ、電解コンデンサーでよく使う100μFとか47μFなど、容量の大きめのものは、高さが7mmとか5mmのものが入手できるマルツパーツで購入しています。

 パーツショップによって得意不得意がありますから、色々使い分けるのがいいと思います。ただ、通販ですと送料がそれなりにかかってしまいますから、賢い買い方を探る必要があります。

 

 困ったのはレイアウトです。どう頑張っても11×24ホールのユニバーサル基板では収まりそうもありません。実は裏技的に基板の耳に部分的にルーターで穴をあけてそこに部品をつけたり、耳の部分にGNDラインを這わせたりしてレイアウトに収めることもあるのですが、今回はそれでも厳しい感じでした。

部品数でいっても、オペアンプ3、トランジスタ,FET3、ダイオード8、抵抗33、コンデンサー21ですので、どう詰め込んでも入らないんですね。そこで、オペアンプ一つで構成されているトーン回路が他の回路とはボリュームポッドでつながっていることから、この部分を別基板で作って、本体の基板の上に載せる形で配置すれば作成可能だろうとあたりをつけました。ケースでいうと、ボリュームを配置する上方の部分なら多少高さを稼げるので、その部分に入るように基板配置を考えました。

 

 本体部分の基板が出来て、トーン基板の取り付けですが、これは本体基板の上に裏側が上になるようにして配線しました。部品と部品が当たる形ですが、表に出ているリード部分の絶縁をして配線しました。トーン基板にも電源ライン、バイアスライン、GNDラインを繋げる必要がありますから、そこは本体基板からパーツのリード線の余りを立ち上げて、トーン基板に接続しました。

 

 塗装は、本物は黒ですが、黒ですとラベルでの印字が見えなくなってしまいます。そこで、近い雰囲気のダークグリーンをチョイスしました。これは車の補修ペイントでメタリックタイプのものです。予想よりやや色が暗すぎましたが、ラベルの黒印字はなんとか読み取れます。

 

 

 組み込みはなかなか大変でした。フットスイッチも入出力ジャックも極力小型のものを選定しています。いつも使っているフットスイッチは2種類あって、規模の大きな基板やボリュームが多いものではフジソクの「8Y3011」という製品。

 

 

但し値段が張るので、配置に余裕があるときはAmazonで安いものを購入しています。半額くらいでしょうか。

 

 入出力ジャックも、ものによって多少大きさが異なるので、値段とタイミングによって入手先が違ったりしています。例えば他のパーツを購入するついでに送料無料になるように買い足すとかがありますね。あと、入出力ジャックでもケースのないタイプがあり、価格も安いのですが、ケース内の配線がからまったり、プラグを挿した時に他の部分にショートしたり、また金属部分が曲がってしまったりするので使用は避けています。ボックスタイプではどうしても部品がおさまらなかったりする場合には、ボックス部分をルーターで削る方が安心ですね。

 

 

 さて、組み立て終わって音出しです。

正直オペアンプが違うので、あまり期待はしていませんでした。

GAINとLEVELを上げてゆくと歪んだ音が出てきました。メタルというよりはちょっと軽い歪みです。TREBLEとBASSを上げてゆくとそれなりにハイゲイン感のある歪みへ。さらにGAINを上げるとやや音痩せはありながらもメタルというよりはヘヴィメタという感じの歪みに。なんかちょっと汚い感じも混ざるのですが、それでも従来のディストーションとは別次元のドライブ感です。クリップがシリコン2段、ゲルマニウム1段の3段構成なせいか、歪み量は十分な感じですね。音の潰れ方がヘヴィメタです。オペアンプの違いでどうニュアンスが変わっているのか、本物を試したことがないし、なにしろメタルタイプのエフェクターは初体験ということになりますが、ヘヴィメタやろうと思えば出来るなと思いました。冒頭に書いた通りピンポイントで使う為の一台ということになると思います。

 

 基板分離による拡張は今までにないチャレンジでした。この成功で、ミニペダルサイズでのエフェクター作成の可能性が広がりました。但し、決して作りやすくもないし、トラブルの原因になりやすいので、そうそう積極的にやりたい方法ではありませんが。

 BOSSの歪みは初めのOD-1がシンプルで音もよく、無二の一台だと思うのですが、その後は段々回路も複雑になっていって、自作の難易度も上がってしまっています。ミニペダルという制約の中で、どこまでできるか、もう少しチャレンジしてみたいと思います。

 

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