自作エフェクター その2 「BOSS OD-3 オーバードライブ」 | とれすけのブログ

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 2台目にご紹介するのはBOSSのオーバードライブ OD-3。

 OD-1はいくつか作っていて、特段必要に駆られてという訳ではないのですが、今まで使ったことないし、OD-1と比較してもトーンコントロール可能な点と、もう少しパワフルなオーバードライブを試してみたいという欲求から作ることにしました。

 

 回路図を見ると、オペアンプは1つですが、トランジスタやFETが歪み回路の中心になっています。ミニペダルサイズで収めるのはなかなか難しい回路です。とにかくレイアウトが作れるかどうかが鍵になります。

 

 BOSSのペダルは電子スイッチ式になっていますが、自作の場合はスイッチ部の回路は省いて、普通のフットスイッチでトゥルーバイパス配線をおこなっています。

 

 まず基板図を作成しますが、トランジスタとFETの配置がなかなか難しいですね。電子スイッチ部を除いてオペアンプ一つとトランジスタ、FETが7個あるので電源経路が煩雑になります。なので、そちらは後回しで配置を考えていきます。

 今回の回路ではオペアンプはM5218というもの。FETは2SK184、トランジスタは2SA1048、2SC2458がオリジナルですが、入手が難しいものもあり、オペアンプは4558、FETは2SK30、トランジスタは2SA1015、2SC1815という汎用品を使いました。FETはパーツショップでも入手が難しくなっていますが、2SK30はAmazonで入手。秋月電子では2SK303や2N5457が入手できます。

 

 

 

 

これらはそれぞれピン配置が異なるので、用途によって使い分けたりしています。

また、クリップダイオードは1N914と1N4001というダイオードで二重にクリップしていますが、こちらも入手環境から1N4148と1N4007で作成しました。

 

 レイアウトはやはり基板ぎっちりで、電源経路は一部リード線で飛ばしています。基本は基板のなかでうまくとりまわして、ジャンパー線程度で収めるのですが、難しい場合にはリード線でつなぐこともよしとしています。

 

 部品の配置は、余裕があれば抵抗は寝かせ、丈のあるコンデンサーなども寝かせた配置にしていますが、今回のように抵抗37個、コンデンサー19個、ダイオード7個なんていう回路になると、抵抗も立てたり、コンデンサーも省スペースな積層セラミックタイプを使ったりして収めることになります。

 

 基板の裏はパーツのリード線で配線していくのですが、こんな回路だとランドに余裕がない感じになり、隣のランドとくっついてしまいそうになります。ですので、最終的に基板裏のランド間の絶縁のための清掃は必須となります。

 

 電源回路は供給される9Vと抵抗分圧で作る4.5Vバイアスのよくあるパターンです。いくつもエフェクターを作っていると、この辺はよく分かってきます。今回は特に回路図からレイアウトに落とし込むため、この辺の理解が進んだ感じです。

 学生の頃に自作をやっていたときは、とにかくレイアウトだけで作っていた感があり、回路のことはほとんど理解しないままだったことを考えると隔世の感があります。

 

 さて、基板ができ、ボリュームへの配線も終わったらテストです。この時はは一発でうまくいきました。ここでだめでも、諦めたらいけません。経験からすると、うまく動かないのはだいたいほんのちょっとしたミスが原因です。その原因さえ突き止められたら修復が可能です。

 

 そのために必要なのがテスター、オシロスコープ、シグナルジェネレーターの3種です。

 

 

 

 テスターは電圧と導通が分かればいいので、デジタルの安いやつでOKです。オシロスコープも私の使っているようなハンディなものでOKです。シグナルジェネレーターは実際の音声信号の代りの信号を出すものですが、あるとやはり便利です。以前は実際にギターをつないで、その信号をオシロで追いかけていましたが、ギターを抱えて何度も弦をかき鳴らしながら測定するのは結構面倒で、シグナルジェネレーターならずっと信号が出ていますから、オシロでの測定に集中できます。

 オシロでの測定も以前はギターを持っていて手が空かないので、基板裏にパーツの足でピンを立てて鰐口クリップで挟んで測定していましたが、シグナルジェネレーターを使うことで両手が自由になり、オシロの先を針型のプローブに変えて、経路を一つ一つ追えるようになりました。

 

 シグナルジェネレーターも、Amazonで物色していて、初めは良く分からなっかたのですが、試しに購入してみて正解でした。

キットなので、自分で組み立てないといけませんが、その分自分流に改造して使いやすくしています。

 まず、電源にはハンディに使えるように9Vの006P電池のホルダーをくっつけて配線し、電源ONが分かるようにLEDが点灯するようにしました。そして、Amazonのレビューを参考にコンデンサーなどを少し変更して組み立て、出力にはすぐに接続可能なように鰐口クリップをつなげました。

 使い方は簡単で、可聴域のサイン波を出力させて、GNDは基板のGNDに、信号出力は基板のインプットに接続すればOKです。

あとはオシロのブローブを黒はGNDに、赤で基板の信号経路を追いかけていけばいいだけです。

 

 塗装は、BOSSらしくイエローで一択ですね。今回はアクリルタイプを使用しました。やはりなかなか表面が固まらず、1ヶ月くらい経っても置く場所を考えないと跡がついてしまいます。

 音の方ですが、代替部品を使ったのでどうかなとも思ったのですが、なかなかどうして太い音がします。オリジナルの音を知らないのでなんとも言えないですが、自分としては十分にレパートリーに加えられる音になっています。OD-1とは別物のオーバードライブと言っていいと思います。回路からもそれは自明ですけどね。中音が際立つ感じの粘っこい歪みですが、ディストーションに比べるとやはり軽いという印象。ただ、ブースターに近い感じから深めのドライブまでカバーしていて、そこにトーンコントロールで変化を付けられるのはなかなか使い勝手がいいと思います。持っていて損はない歪みですね。