年収は学歴差で決まる? | 猫好きのブログ

猫好きのブログ

資格試験とその応用

 記事に掲載されていたデータを見ると、50代会社員について、大学院修了者と高校卒業者で年収が2倍も違っていた。

 

 このことをもって、ほら見ろ、学歴で将来は決まるのではないかと言う人が少なからずいるであろう。

 

 僕の知る例だと、高校生の孫が専門学校に行きたいと言うのを聞いた寝たきりの祖母が起き出してきて、絶対ダメダメダメと猛反対したというのもある。結局、勉強嫌いの孫は祖母に押し切られて短大に進学した。

 

 

 でもちょっと待って欲しい。この表は学歴別、企業規模別のマトリックス(行列)になっていて、両者の組み合わせで年収を確認できる。

 

 小企業に勤める大学院修了者と大企業に勤める高卒者を比べると、前者の年収は後者の7割しかなかったのだ。

 

 では何故、このような結果になったか?

 

 結論を先に言うと、学歴差よりも企業規模差の方が影響が大きいからだ。大企業で見ると、学歴に関係なく、平均年収はそれほど変わらない。同じことは小企業でも言える。

 

 このことから大学院修了者の平均年収が高いのは、高卒者に比べると大企業に入社する割合が高かったからに他ならない。

 

 常識的に考えても、高度な研究開発技術は大きな会社ほど重要であるため、大企業ほど高学歴の理系を欲しがるし、学生も専門を生かせる職場を望むものだ。

 

 このことは専門性をそれほど要求されない文系でもある程度当てはまる。学生時代の専門と職業との関係が薄い文系でも高学歴→大企業→高収入になりやすいため、高学歴があたかも高収入かのように錯覚してしまうのだ。

 

 但し、就職の失敗などで大企業に入れない場合は、学歴と収入とは関係がなくなる。試しに我が家に求職に来て、月50万円以上希望します、私は大学を出てますからと言われても、僕は貴方には月20万しか出せないですねと言うしかない。

 

 だから上(高速道路)を走っていた人でも下(一般道)に降りると渋滞でノロノロ運転になるわけだ。幾ら立派なエンジン(能力)をお持ちでも速度制限や渋滞により、速く走ることはできない。

 

 但し小企業といってもベンチャー企業や大企業と対等に付き合える実力を持つ企業は別である。一人当たりの生産性が高い為、給料も大企業並みだったりする。

 

(最後に)

寝たきりの祖母に説得されて、専門学校を諦めて短大に進んだ子は栄養士の資格を取り、総合病院の栄養科に就職した。これは栄養士としてはかなり良い就職先だったようだ。

 

 ところがお局上司の厳しい指導(パワハラ)に耐えられず3カ月で辞めてしまい、その後はパン工場で働いている。勿論、非正規だ。

 

 つまり折角、何百万も掛けて取得した学歴と資格がパーになった訳だが、本人は意外と満足している。元々勉強が嫌いだった彼女は身体を動かす方が向いていたからだ。

 

 病院栄養士となると、免疫力が低下している患者の食べる食事に非常に気を使うものだ。一歩間違うと容態が急変する訳だから、患者の体質にあった準備をしなければならない。だから上司も厳しくなるわけだ。

 

 それが逆にパワハラの温床にもなる訳で、その道で専門家としてやっていく覚悟がないと耐え切れなくなる。

 

 彼女はその重圧が無くなったお陰でパン工場でのびのびと働いている。学歴→高収入と短絡的に考えてはいけない一例だ。