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a beautiful tomorrow yea

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オリヴァー・ストーン監督作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』やトム・クルーズ主演作『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』が、アメリカで公開された
1994年、その翌年の雑誌『Esquire』日本版に最近目を通してみると、彼等のインタヴュー記事が掲載されていた。



同誌の中で、オリヴァー・ストーンは、「暴力は人間の本性に棲みつく悪魔だ」と言っている。また、インタヴュアーを務めたロバート・シアーの質問「よくも悪しくも、映画は文化に大きな位置を占めています。いま、人は本について語らず、美術も話題にならない。それなのに、ほとんどの映画はクズばかりじゃないですか」が的を射ていて、とても可笑しかったのだ(笑)。



今年は、ブログの中で、本や雑誌を度々取り上げているが、それには理由があって、このブログ読者である女の子たちから、「オススメの本を教えて下さい」とメッセージをいただいたからだ。映画や音楽、アート、レストラン、旅行、ファッションの話題よりも、について興味が人一倍強い読者が、大多数ではないにしろ、少数派でも存在するからだ。



今、自宅の書棚には2000冊ほどの本や雑誌を所有しているが、“”選びとは、若かりし頃の恋愛にどこか似ていると、俺は思う。限られた人生の中において、美しく魅力的な女性が、次から次へと目の前に現れてくるように、誘惑が多いからだ。



先述した雑誌の中で、アメリカの女流作家エリカ・ジョングが、男やセックスや人生について、次のように語っているので、一部抜粋して紹介したい。



昔付き合っていたたらしのことを、今もときどき恋しく思う。彼の電話番号を回すだけで、息が乱れ、胸が高鳴る。彼が電話口に出るまでに、アドレナリンは全身をかけめぐる。私が幸せな結婚生活を送っていたところで、なにも変わりはしない。



は求めるのは、愛と思いやりにあふれ、赤ん坊のおしめを洗ってくれる新しい男ではない。少なくともベッドの中では。もちろん、人はセックスを恐れている。そのパワーは破壊的だ。人は、自分の存在さえ吹き飛ばされかねないと感じる。私たちは、情熱では傷つかないという保証を求めたがるが、それは、決して傷つかない人生を求めることと、どこか似ている。



前置きが長くなってしまったが、本日のブログは、雑誌『エル・ジャポン 1月号(1128日発売号)で特集された、「本好きな47人の人生を変えた165冊」について、思うところなどを徒然に綴ってみようかと思ったが、昨夜のツイートをいくつか紹介したい。



他人がどんな本を読んでいるのか。エル・ジャポンの本特集頁をめくるたび、今夜不思議とワクワクした。海外セレブリティの、その洗練されたセレクションに、これホントに読んでるの?という疑問が生じた(笑)。



ひとつだけ言える確かなことは、俺自身、ジェリー・ホール(古典4冊をセレクト)と、マリアンヌ・フェイスフルとはとても気が合うなと、本選びという点で。人生の深みを教えてくれる「古典文学」好きなジェリー・ホールは、ミック・ジャガーとブライアン・フェリーにそれらの本を教えられたようだ。



ジェリー・ホール曰く、「読書はものの見方を変えてくれるし、元気づけてくれる。自分の感情や愛情を理解するには本当に難しいけれど、人生においてはとても大切なことだし、文学はそのヒントを与えてくれる。文学を通じて、人と人との関係を深められたと思っているわ。」・・・なるほど!



頁順で、取り上げられた書籍名でなく、それらの有名な作家名を挙げると、1ビクトル・ユゴー、2ジャン・コクトー、3ジョルジュ・バタイユ、4JDサリンジャー、5ドストエフスキー、6サッカリー、7ヴォルテール、8エドガー・アラン・ポー、9チャールズ・ディケンズ、10シェイクスピア、



11ジェイン・オースティン、12シャーロット・ブロンテ、13ジェイムズ・ジョイス、14メルヴィル、15フィッツジェラルド、16フィリップ・ロス、17アンデルセン、18三島由紀夫、19芥川龍之介、20ポール・オースター、21トルーマン・カポーティ、22村上春樹など、キラキラしてる。

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本に関しては、
Esquireをはじめ、GQGOETHEなど、男性誌の中でも、過去特集が組まれるなど、読者の関心は総じて高いように思われる。とはいえ、GQ JAPANが過去特集した「ビジネスに効く~」「いま、社長たちが読んでいる~」といったものには、私的関心度は低い一方、Esquireの「文学は世界を旅する」「美しい本」など、テーマを絞った特集は俺の興味を強く惹いた。



ところで、エル・ジャポンで、特に俺の興味を惹いたのが、「この本との出会いが私を変えた セレブリティの読者遍歴」の頁であり、ジェリー・ホールをはじめ、マリアンヌ・フェイスフルのセレクションは秀逸で、俺の読書傾向と似通っており、セルマ・ブレア、サム・テイラー=ウッド、パティ・スミスがセレクトした古典文学のいくつかも悪くないと思った。



今回、俺が過去に好んで読んだ英米文学、とりわけ、オスカー・ワイルドフィッツジェラルドの本が選ばれているのか、私的に注目してみたが、(俺も過去に足を運んだ)パリの本屋「シェイクスピア・アンド・カンパニー 」のオススメの1冊が、フィッツジェラルドの『夜はやさし(原題: Tender is the Night』だった。



マリアンヌ・フェイスフルのセレクションには、必ずフィッツジェラルドの本が選ばれていると確信していたが、彼女が選んだのは、ミハイル・ブルガーコフ著『巨匠とマルガリータ』、ジェイン・オースティン著『マンスフィールド・パーク』、シェイクスピア著『テンペスト』、ディケンズ著『荒涼館』の4冊だった。



なぜ、フィッツジェラルドなのかというと、ブランドン・ハースト&ビヴァリー・メイソン著で、ケイト・モス伝記本ケイト・モス 美しく呪われし者』の中に、次のような一節があり、一部抜粋して紹介したい。



ケイトの仲間のなかに、ひとり傑出した人物がいる。ケイトが師と仰ぐマリアンヌ。フェイスフルだ。マリアンヌは、自分の経験から創造性を高めるのに大切と思われることをケイトに教え込もうと考えているようだ。なんといってもケイトは最低限の学校教育しか受けていない。



マリアンヌがケイトにF・スコット・フィッツジェラルドの本を読むよう奨めたのもそうした思いからだ。退廃的な美を描いて活躍したこの20世紀前半のアメリカ人作家の作品はケイトの心をつかむに違いないと考えたのだ。彼の作品のひとつに、1922年を舞台に新興成金を風刺した『美しく呪われし者』という小説がある。
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最後になるが、オスカー・ワイルドフィッツジェラルドのような、退廃的な古典文学は俺のお気に入りであることは確かだが、
1980年代半ばから続々と世に出た現代のアメリカ人作家たち、ブレット・イーストン・エリスをはじめ、ジェイ・マキナニーなども同じような匂いがして、彼等がお気に入りとなって久しい。



ケイト・モスの伝記本は、三流ミュージシャンのピート・ドハーティが敬愛する作家、ラ・ロシュフコーの言葉「存在しているを長いこと隠し通すことはできないし、存在していないをあるように見せかけることもできない」が引用され、締めくくられている。
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そう、文学は人々の心に響き、世界を旅する、

ここからは出られないのだ。



Have a wonderful night!