飛行機の中は特別な時間 | 東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

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フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランチーフパーサーが語っています

 

 

飛行機の中、

日常とは少し違う異空間

 

長い長い時間

座っているといろいろと頭に浮かび

普段は忙しくて考えないこと

 

例えば、人生についてゆっくり考えたり

それについて誰かに話したりできる場所かもしれません

 

 

 

 

それはまだ

日本の空にB747が飛んでいた頃のこと飛行機

 

私はフランクフルトからの便乗で

満席のB4、エコノミークラスの端っこに

私服で乗っていた時のことです

 

 

便乗=デッドヘッド とは

その前後のフライトのために

乗務なしで客席に座って移動するdutyのこと

 

 

年配のご夫婦の

"可愛らしいお爺さん"

という雰囲気のご主人様の隣、通路側に私の席がアサインされていました

 

 

夜発のフライト、

一通りのサービス後は機内の照明が落ち

機内は深夜の時間になりましたお月見

 

 

何時間か経ち

ふと目を覚ました時

間違えて読書灯を肘で押してしまいました

 

 

その瞬間

 

「すみませんっ

ちょっとトイレいいですか?」

 

とお爺さん

 

「あ、はいっどうぞ、すみません

 

 

 

お爺さんは

ずっとお手洗いを我慢されていて

私が起きるのを待っていてくれたのです

 

申し訳ない気持ちでいっぱいになり

お詫びをしたのをきっかけに

いろいろな話をしてくれました

 

 

「スイスは最高でした

途中、一度スリに遭ってしまったけれど

それは自分も油断したから悪かった

ユニセフに寄付したと思ってます」

 

 

話を聞くほどに

正義感が強く、優しい方というイメージでした

 

彼は高校の先生で

定年退職をして夫婦旅行に出ていらしたとのお話

 

 

自分はとにかく生徒を大好きで

教頭や校長職など、出世には全く興味がなかった

 

生徒と話すことを最も大切にし

生徒の成長が自分の全てだったそうです

 

 

 

ガラの悪い不良の生徒もたくさんいたんですよ

でも、そんな卒業生たちがね

自分の退職の時に、来てくれてね

お祝いの会をしてくれたんですよ

本当に嬉しくてねぇ

 

 

と嬉しそうに語って下さり

涙を浮かべていらした様子に

とても心を動かされました

 

よい人生を生きておられるんだな

と思いました

 

そして私にも

先生は感じる何かを教えてくださったんだと

思っています

 

 

ほんの少しのお話を聞いただけですが

その人の人生というか

その人の歴史を感じることのできる時間

 

以前も記事に書いたことがありますが、

人には一つずつ自分の人生があります

 

 

「空の上の一期一会」

 

 

その人生にほんの少し関わることができて

ほんの少し、お話する機会がある

そんなCAの仕事が大好きでした

 

 

そして、空の上だと

誰かに自分の人生を語りたくなる

 

 

そんな特別な気持ちにさせてくれる

不思議な時間

 

飛行機の旅って

そういうファンタジーなところがあるから

魅力的です

 

 

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そらさくらんぼ