2019秋、東-法戦 ~ Once Upon a Time in Jingu ~ | YELL Onlineβ

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テスト版です

この秋のリーグ戦で、ある意味一番印象的だった試合といえる第7週、東-法2回戦。

異例ではありますが、ここに記事を貼り付け、振り返ってみたいと思います。

第6号で読んで下さっていた方も、そうでない方も、もう一度お読み下さい。

 

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1回戦、東大の4年生エース小林大雅が好投するも0対2で惜敗。

小林を勝たせる。最後のチャンスとなる2回戦。先発ならリードして5回以上投げきらないと勝ち投手にはなれない。坂口先発で、接戦に持ち込み小林投入しかないか。
しかし2回戦も先発は小林大。こうなったら先に点を取らなければならない、ということはナインも充分わかっていただろう。1回戦であまりにも打てなかった法政は、小林連投を読んでいたか二人の右打者、前日小林から二塁打を打った1年生齊藤大を1番ファーストで(法政で今年初めてのスタメン1年生)、さらに3年生羽根を6番サードで、共に初めてのスタメン起用。

 

1回裏、1回戦同様辻居がセンターオーバーの二塁打でチャンスを作る。笠原、今度はバントでしっかり送り一死3塁。石元はセンターフライ、犠牲フライに充分な当たりだったが、センター舩曳が落球(前日タイムリーを打ったことで、一部の東大ファンに呪いをかけられたか)。1点先制し、さらに一死2塁とする。青山の二塁ゴロで石元が三進、しかし武隈がセカンドゴロでチェンジ。 

3回表、一死からまた辻居がセンター前ヒットで出塁。笠原がハーフスイングを振っていない判定され、命拾いしたあとのカウント2-2からの5球目を打ち右前打となり続き1、2塁。石元は三振で二死。ここで青山が左中間二塁打を放ち2者生還、2点追加する。ここで高田から内沢に交替。武隈も右前打で続くが、梅山倒れチェンジ。

法政は4回表、先頭福田が左前打で出塁、その後二死2塁から第1打席でもヒットを打っていた羽根が右中間二塁打を放ち福田が還り1点返す。

5回表の法政は二死から齊藤大が右中間二塁打を放つが、宇草が三振でチェンジ。5回裏から法政は鈴木がマウンドへ。

6回表、小林は一死から伊藤に、このカード初めて(申告敬遠を覗く)四球を与える。毛利に代打・小池を送るがピッチャーゴロ併殺でチェンジ。6回裏、東大は先頭青山が左前打で出塁、武隈が送り一死2塁。ここで代打井上慶を送るもファーストファウルフライで二死。続く小林大が右前打を放ち、2塁から青山が爆走、ホームイン! 4対1とする。大音倒れチェンジ。
東大勝利へのムードが高まる7回表、小林は一死から相馬に四球を与える。ここで浜田監督が出て来て主審からボールを受け取る。替えてしまってひっくり返されたら、小林の勝ちは消えてしまう……!  ブルペンから走ってくる宮本。小林はもっと投げたそうにしていたが、納得してベンチへ。一塁側だけでなく、球場全体から大きな拍手が起こる。宮本は続く舩曳に四球を与え、一死1、2塁とピンチを背負い、球場全体が冷や冷やするが、代打宮﨑佑、齊藤を何とか打ち取りベンチに戻る。場内もベンチも大いに湧く。

8回表、三番手大久保がマウンドに上がる。東大応援席では「勝利の拍手」が始まる。勝利の拍手の中、一死から福田がホームランを打ち2点差となるが、その後2者を抑えチェンジ。

8回裏、東大も追加点を奪えず、2点差で迎えた9回表。マウンドには坂口が上がる。法政の下位打線を抑え、試合終了!
優勝したかのように歓喜を爆発させるナイン、中には涙を見せる選手も。応援席も、一般席でも、選手全員が小林に勝たせよう、と一丸となって掴んだ勝利だった。


3回戦は坂口が先発、V消滅となった腹いせをするように法政が打ちまくり、久々出場の安本にホームランまで飛び出し、12得点。しかし東大も6回、法政二番手内沢から辻居のヒットを足掛かりに二死3塁とし、青山に「洋服の青山」の看板直撃のホームランが飛び出し、東大ファンも狂喜乱舞。2対12で迎えた8回裏、マウンドに五番手として小林大が上がり、場内から大きな拍手が湧き起こる。小林は三人で抑え、ベンチに戻る。法政は朝山-内沢-新井と4年生でつなぎ、最後は三浦がマウンドへ。東大は代打の廣納、山下朋、堤が倒れ試合終了。勝ち点はならなかったが、場内からは温かい拍手が湧き起こったのだった―。


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野球も人生も、「たられば」の連続です。
書いても詮無いこととわかっていますが。
法東2回戦後、無念で無念で、「こうだったらどんなに良かったか」と考え、書かずにいられなかった文章です。
つまり、小林投手が他の4年生の協力により1勝を挙げる。そして東大も法政も4年生が大勢出場……。
それだけ、小林大雅投手は、「勝たせたい」と思わせるピッチャーだった、それだけのものを4年間見せてくれていた、ということですので、こういうものを載せることをお許し頂ければと思います。


改めて本当の第7週、今季最終号もお読み下さい。

https://yahoo.jp/box/yc727d

 

なお、サブタイトルは映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」から取りました。